自在コラム

⇒ 日常での観察や大学キャンパスでの見聞、環境や時事問題、メディアとネットの考察などを紹介する宇野文夫のコラム

☆腰の引けたフジテレビ

2005年06月18日 | ⇒メディア時評

   これでは、ライブドアの「完勝」と言っていい。6月14日付の「自在コラム」でライブドアとフジテレビジョンの業務提携の第一号とも言える公衆無線LAN(構内情報通信網)を紹介した。今回の注目点は、フジテレビがどのように無線LANとかかわるか、であった。結果的に、フジテレビは災害や事故の映像の送受信で無線LANを活用するというだけの話なのだ。単なるユーザーでしかない。フジテレビは15日の記者会見にわざわざ取締役を同席させ、「友好ムード」を演出したにすぎないのだ。

   記者会見によると、今回の無線LANの仕組みは東京・港区と新宿区の一部で来月から試験サービスを開始する。独自の無線LAN基地局を都内2200カ所の電柱に設置し山手線内側の80%の地域をカバー。屋外の半径100㍍でインターネットが利用できるようにする。月525円の定額制で、1つの基地局で30人程度までならば2メガか3メガの速度で使用できるという。長期的には100万人の利用者獲得を目指す。堀江貴文社長はこの記者会見で「インターネットを始めたころに夢見た、どこででも接続できるという状況を作りたい」と語った。 

   対等な業務提携を目指すというのならば、フジテレビはライブドアの無線LANを駆使したポータルの構築と放送の連動を目指すのが本筋だろう。14日の「自在コラム」でも述べたように、フジテレビとライブドアがたとえば「東京ハザード」と銘打った、一般からの動画の投稿サイトを共同運営し、東京で起きた災害・事故の映像をアーカイブすれば非常に価値がある。災害映像をフジテレビが一網打尽にでき、スクープ映像を集めて、地上波の番組にもできるからだ。

   フジテレビがなぜ無線LANを使って受発信する映像を災害や事故に限定したかというと、おそらく表向きには「事故や災害の映像をリアルタイムに受発信することにメリットがある」と交渉のテーブルでやり取りしたのであろう。しかし、本音は「こんなひ弱な回線で送れるのは画質を問わない災害・事故の映像ぐらいだろう。今回はお付き合い程度に」だったと推測する。テレビ品質の画像を受発信する際は回線容量で16メガは最低必要、というのがテレビ業界の大方の見方だ。ところが、今回の無線LANでは2メガか3メガしかないのである。だから、フジテレビはライブドアの無線LANを利用を持ちかけられたものの、最初から腰が引けていたのかもしれない。あるいは醒めていた。

   上記の分析は元「業界人」のうがった見方である。ひょっとして、放送と通信のあり方を大きく変える目の覚めるようなプランが進行中なのかもしれない。テレビ業界は曲がり角に立っている。早晩、インターネットに広告市場を奪われる。放送と通信の融合の夢を語っているのは堀江氏だけではないか。テレビ業界からは聞こえてこない。

⇒18日(土)午後・金沢の天気 晴れ 

 

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