自在コラム

⇒ 日常での観察や大学キャンパスでの見聞、環境や時事問題、メディアとネットの考察などを紹介する宇野文夫のコラム

★不都合な真実か

2017年10月03日 | ⇒メディア時評
   きょう3日も日経平均株価が前日比213円高の2万0614円で終えた。連日で年初来の高値を更新だ。知り合いとの話で、「復興株」と呼ばれている日成ビルド工業(本社・金沢市)のことが話題に上がった。同社は大規模災害時にプレハブの仮設住宅を造ることで実績を上げ、立体駐車場の建設でも定評がある。知人が言うには、「ここ最近、再び上がってきた。北朝鮮がミサイルを日本に打ち込んできたら仮設住宅が必要になる。投資家はそこまで見込んでいる。買いだ」と。「そんな物騒な話で儲けようとは話にならない」と不快感を示すと、知り合いはさらに「いや、ミサイルだけではない。北からの難民が大量に日本に流れ込んでくる。その時はおそらく各地で何百、何千という単位で難民が漂着するだろう。仮設住宅が必要になるんだよ。買いだよ」と。ますます気が重くなった。

    一方の「防衛関連株」の石川製作所(本社・白山市)の終値は2986円(前日比21円高)と3000円目前に迫った。アメリカのトランプ大統領が国連総会での演説(9月19日)で、北朝鮮の金正恩・朝鮮労働党委員長を「ロケットマン」と揶揄(やゆ)すれば、金委員長はすかさず声明(9月21日)で「老いぼれ」と返した。北朝鮮メディアによる罵詈雑言は珍しくないが、最高指導者が直に発したのは異例だろう。さらに、李容浩外相は金委員長への批判について「明白な宣戦布告」と見なすと声明(9月25日)を発表した。こうした「言葉の戦争」で防衛関連株はエスカレートしているのか。

   朝日新聞の朝刊(3日付)を読んでいてある記事に目が止まった。「裁判―青酸連続死」の記事。京都、大阪、兵庫で起きた連続不審死事件で殺人罪に問われた筧(かけひ)千佐子被告の裁判員裁判。2日、京都地裁での最後の被告人質問のやりとりがそのまま掲載されていた。裁判員が「死刑になっても仕方がないと思うか」と質問すると、筧被告は「人を殺(あや)めて ごめん、助けてという気持ちは一切ない」、裁判員が「事件について反省しているのか」とただすと、被告は「そんな少女ドラマのようなことを聞かないでほしい。あなたのような若い人にここまで言われたくない。私はあなたのおばあさんのような年だ。失礼だ」と。筧被告の人格がそのまま出ているようなやりとりではないだろうか。

    と、同時にこの記事から石川五右衛門のイメージがわいてきた。京都・南禅寺で包囲され、「絶景かな、絶景かな。春の宵は値千両とは、小せえ、小せえ」とセリフを吐く。そして、三条河原で釜茹(かまゆで)の刑に処せられたとき、「石川や、浜の真砂は尽くるとも、世に盗人の種は尽きまじ」と辞世の句を詠んだ。筧被告は「私はあなたのおばあさんのような年だ。失礼だ」と大見得を切った。

⇒3日(火)午後・金沢の天気     あめ

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