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自在コラム

⇒ 日常での観察や大学キャンパスでの見聞、環境や時事問題、メディアとネットの考察などを紹介する宇野文夫のコラム

☆里山ハクビシン物語

2005年10月19日 | ⇒キャンパス見聞

   きのう(10月18日)、金沢大学の五十周年記念館「角間の里」では、ちょっとした騒動があった。その騒動の主はハクビシンだ。

   館の前を流れる角間川の橋の下で、学生が仕掛けたカゴに体長50㌢ほどのハクビシンがかかった。尾の長さも40㌢ほどある。仕掛けのエサはバナナだった。ハクビシンはこの雑食性がたたって、里に出てきてはナシやカキを食い荒らす。「鳥獣保護及び狩猟に関する法律」では狩猟獣にも指定されている。一昨年前、新型肺炎である重症急性呼吸器症候群(SARS=サーズ)の感染源ではないかと疑われ、ジャコウネコ科のこのハクビンを食す習慣がある中国では一説に2万匹が捕殺されたとのニュースも流れたと記憶している。

  「白鼻芯」の当て字がある通り、額から鼻にかけて白い線がある。よく動き回るので写真ではうまく撮影できなかったが、なかなか愛嬌のある顔をしている。調べてみると、これだけ大きく目立つ動物でありながら、国内に生息しているという最初の確実な報告は1945年の静岡県におけるものが最初で、それ以前の古文書での記載や化石の記録もない。でも北海道の奥尻島に生息しているとの報告もあり、日本の固有種なのか外来種なのかはっきりしてない。

  ところで今回の捕獲は大学院生の研究でもある。ところが実際に捕獲したものの、どのように処置すればよいか四苦八苦だ。目的は発信機をつけることなのだが、動き回るハクビシンは難物だ。ようやく首に発信機をつけて放すことに成功した。今後、生息圏の調査をする。でも考え方によっては、発信機がついていれば他の場所で捕獲されても、学術調査の研究対象ということでまた放される可能性がある。つまり狩猟獣でありながら、「生存特権」を得たようなものだ。「大学の里山で幸運を得たハクビシンのセクセスストーリー」は言い過ぎか…。

⇒19日(水)朝・金沢の天気    はれ

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2 コメント(10/1 コメント投稿終了予定)

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外来種ではないか? (高桑進)
2005-10-26 21:42:40
宇野様

ごぶさたしております内に、色々な内容が書き込まれており、嬉しく思います。

角間の里でハクビシンが捕獲ニュースは驚きました。金沢にまでハクビシンとは!

ミカンの産地、浜松で大繁殖しており、京大の院生がその生態を学会で発表していたのを思い出しました。ハクビシンは、外来種ではないかと思いますが、温暖化で金沢にも住み着いたのでしょうか?日本海側にハクビシンが生息するとは知れませんでした!

発振器をつけて、その行動を是非明らかにしてほしいものです。何をえさにしているんでしょうか?

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甘い果実 (uno)
2005-10-26 23:21:47
  高桑さま、ハクビシンは金沢ではナシ、カキなど果実の食い荒らしが事例としてあがっています。今回の捕獲ではバナナをエサとして使いました。里山自然学校のトウモロコシ畑では防護ネットをはって対策を講じました。甘いものには目がないようです…。
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