自在コラム

⇒ 日常での観察や大学キャンパスでの見聞、環境や時事問題、メディアとネットの考察などを紹介する宇野文夫のコラム

☆3月14日ショック

2015年03月15日 | ⇒トピック往来

  北陸新幹線の金沢開業のその日(3月14日)、メディアも新幹線一色だった。朝からテレビはどのチャンネルも中継番組、JR金沢駅周辺の道路では交差点に交通警察官が張り付き、空にはヘリコプターが飛び交うという、一種異様な感じさえした。ただ、空は晴天で新幹線金沢開業を祝福しているような雰囲気だった。

  最速型の「かがやき」は東京‐金沢(450㌔)を最短2時間28分で結ぶ。運行は東京‐上越妙高(新潟県)をJR東日本が、上越妙高―金沢間をJR西日本が担当するというダブル・システム。両社が共同開発した新型車両のE7系、W7系は最高時速260㌔だ。将来、北陸新幹線は東京から北陸をへて大阪までの700㌔を結ぶことになる。その波及効果も目を見張る。JR金沢駅周辺は、去年9月の基準地価で、商業地は全国一の上昇率となり、今もマンションやビル建設に加え、ホテルの開業が相次いでいる。金沢が得意とする全国規模の学術学会や国際会議が目白押し。日本政策投資銀行は、首都圏からの観光・ビジネス客は石川県で年間32万人増えると予想している。

  朝からのテレビ番組では「こうなると逆に北陸から首都圏へのストロー現象も心配」「地方創生が叫ばれる中、予想される太平洋側の大震災にそなえて大企業の北陸への分社化の動きも加速するだろう」と論義も熱かった。

  同じ14日の正午ごろ、今度はショッキングなニュースが飛び込んできた。殺人事件だ。福井大学大学院の前園泰徳・特命准教授が今月12日朝、福井県勝山市内に止めた車の中で、教え子の大学院生(女性)を殺害したとして逮捕された。報道によると、司法解剖の結果では、院生の首にはひもなどで絞められた痕がなかったが、手を使って犯行に及んだ可能性が高いとみて調べている、という。前園准教授は、勝山市で赤トンボの生態について進めていて、金沢大学が中心となって進めている北陸ESD教育の福井地区の主力メンバーだった。ESD(Education for Sustainable Development)とは聞き慣れない言葉かもしれないが、自然と生命(いのち)のつながりを感じたり、地域に根ざした伝統文化や人びとと触れながら多様な生き方を学ぶといった先駆的な教育手法だ。

  前園准教授と初めて名刺を交わしたのは昨年2014年2月22日のこと。金沢市内で私も関わっている「角間里山ゼミ」の設立記念ワークショップでお目にかかった。研究熱心で、子供たちへの環境教育のリーダー的な存在との印象だった。顔も鮮明に覚えていただけに、何かの間違えではなかと一瞬わが目と耳を疑ったほどだ。どのような背景があったにせよ、ショックという以外、言葉がない。

⇒15日(日)午前・金沢の天気   はれ  


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