自在コラム

⇒ 日常での観察や大学キャンパスでの見聞、環境や時事問題、メディアとネットの考察などを紹介する宇野文夫のコラム

☆「ネット選挙」その後

2012年12月23日 | ⇒メディア時評
 今頃になって、ようやくである。今回の衆院総選挙で大勝した自民党の安倍総裁が21日、来年夏の参院選からインターネットによる選挙活動を解禁したい意向を示したと各メディアの報じた(22日付)。安倍氏は記者団に「次の選挙までに解禁すべきだ。投票率の上昇につながっていくと思う」とネット解禁の効用を強調した、という。もともと自民は今回の衆院選挙の公約の「政治・行政・公務員改革」の項目の中で「インターネット利用選挙解禁法案の制定」を明記している。

 現行の公職選挙法は、公示・告示後の選挙期間中は、法律で定められたビラやはがきなどを除き、「文書図画(とが)」を不特定多数に配布することを禁じている。候補者のホームページやツイッターなどソーシャルメディアの発信は、こうした文書図画に相当し、現行では認められていない。これまで、ネット選挙解禁についての論議は何度もありながらも、政治の混乱の中で法案は提出されてこなかった。たとえば、2010年の参院選挙の前に、民主、自民、公明の与野党は候補者・政党が選挙期間中にホームページやブログを更新できるとする公選法改正に合意していたのに、である。

 来年夏の参院選挙からネット選挙が解禁されることが明確に打ち出されたことで、いよいよ現実になる。ただ、問題がないわけではない。「なりすまし」など他人の名をかたって中傷が書き込まれる可能性などいろいろと問題は懸念材料はあるだろう。そのために、虚偽の名前を記載することが罰則対象となるなどの法的な整備も必要だろう。

 ネット選挙の解禁によって、選挙活動をいわゆる「地盤・看板・ドブ板」に重きをおいたベテランたちの選挙運動の在り様も劇的に変化するだろう。とくに地方での選挙区では、インターネットを有権者のニーズに対応するスタッフが少ない。若者たちの雇用の場にもなる。候補者の選挙活動の一日を画像や動画でリアルに伝える、そんなスタッフがいてもよいのではないか。多様な活動、多様な意見をネットを通じて広める。有権者もそれを投票の判断材料にするといった効果が期待できる。選挙は多様でなければ盛り上がらない。ようやくその扉が開かれようとしている。

⇒23日(日)午前・金沢の天気  はれ

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