自在コラム

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☆記者会見は「戦いの場」

2020年11月26日 | ⇒ニュース走査

   きのうのブログの続き。24日、来日した中国の王毅外相、茂木敏充外務大臣の共同記者会見=写真、外務省公式ホームページ=で、茂木氏は「尖閣周辺の日本の立場を説明し、中国側の前向きな行動を強く求めた」と話したのに対し、王氏は「ここで一つの事実を紹介したい。真相が分かっていない一部の日本の漁船が絶え間なく釣魚島の水域に入っている。中国側としてはやむを得ず非常的な反応をしなければならない。敏感な水域における事態を複雑化させる行動は避けるべき」と、堂々と会見で述べていた。視聴した多くの視聴者が「日本はなめられている」との印象を受けた。もう一つ、茂木大臣が黙認していたことも納得できなかった。

   王氏の発言は、尖閣周辺の主権を侵害しているのは日本側だと、中国としてはやむを得ず対応をしていると、まるで日本側に責任を転嫁する内容だった。これに対し、茂木氏が共同記者会見の場にいたにもかかわらず、王氏の発言に何らの反論もしなければ、批判もしなかった。つまり、王氏の一方的な主張だけをアピールする場となった。この映像を海外の視聴者が見れば、日本は中国の主張を認めたと理解だろう。中国の視聴者が見れば、「大勝利」と叫ぶだろう。日本側のだらしなさが露呈したカタチだ。これほど後味の悪い記者会見は見たことががない。

    おそらく茂木氏は記者会見は「戦いの場」との認識がない。「成果報告の場」くらいの感覚だったのではないか。中国では記者会見という場の設定はないが、カメラは人民に向けたメッセージの手段という認識だろう。なので、メッセージ性の高い、抑揚を効かせた言葉を発することに慣れている。この違いがまともに表れた会見の場だった。

   外交で「戦いの場」となった事例はある。河野太郎氏が外務大臣だった2019年7月、いわゆる「徴用」をめぐる問題で、日本が求めてきた仲裁委員会の開催に韓国政府が応じなかったことから、河野氏が韓国の駐日大使を呼び抗議した。これに対し、大使が「徴用」の問題の解決に向け、韓国政府が提案した案を説明しようとすると、河野氏は発言をさえぎり、「その提案は以前、国際法違反の状況を是正するものではないと伝えている。それを知らないふりをして改めて提案するのは極めて無礼だ」と強い口調で述べた(2019年7月19日付・NHKニュースWeb版)。この場はメディアの取材が入っていたので、相互がそれを意識した発言だった。ここで河野氏が反論しなければ、韓国大使の勝利だった。

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