自在コラム

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☆拉致問題めぐる日朝首脳会談が実現したとして・・・

2023年06月01日 | ⇒ニュース走査

   このところ気になるニュースを。岸田総理は今月27日に開かれた「拉致被害者の即時帰国を求める国民大集会」で、「現在の状況が長引けば長引くほど、日朝間の実りある関係を樹立することは、困難になってしまいかねない。日朝間の懸案を解決し、共に新しい時代を切り開いていく観点から私の決意をあらゆる機会を逃さず伝え続けるとともに、首脳会談を早期に実現すべく、私直轄のハイレベルで協議を行っていきたい」(27日付・NHKニュースWeb版)と述べ、条件を付けずに会う意思を明らかにした。

   この報道を受けて、北朝鮮外務省のパク・サンギル副首相は「もし日本が過去にとらわれず、変化した国際的な流れと時代にふさわしく、お互いをありのままに認める大国的な姿勢で新たな決断を下し、関係改善の道を模索しようとするのであれば、朝日両国が会えない理由はないというのが共和国政府の立場だ」と談話を発表した(29日付・韓国中央日報Web版)。

    冒頭の「このところ気になる」と述べたのは、万が一、日朝の首脳会談が実現した場合、どうなるのだろうか。韓国の尹錫悦大統領は日米韓の連携強化と北朝鮮への対抗姿勢を軸に外交を展開している。北朝鮮とすれは、その中で拉致問題を重視する日本に揺さぶりをかけ、日米韓の連携に亀裂を入れる意味で、「両国が会えない理由はない」と述べたのではないだろうか。首脳会談が実現した場合に、北朝鮮側が「日本がすべての制裁を解除すれば拉致した日本人を即刻帰国させる」と述べた場合、日本側はどう対処するのか。これに日本側が応じれば、間違いなく日米韓の同盟に亀裂が入る。そして、日本の国内世論も割れるだろう。

   拉致被害者の家族会は今年の新しい活動方針に「親世代が存命のうちに被害者全員の帰国が実現するなら、政府が北朝鮮に人道支援を行うことに反対しない」と明記した。家族会が北朝鮮への「支援」に踏み込んだのは初めてのことだ。拉致問題から46年がたち、今も健在な親は横田めぐみさんの母親の早紀江さん87歳と、有本恵子さんの父親の明弘さん94歳の2人となり、家族会として焦燥感があるのかもしれない。

   国論を割るような交渉を進めるべきではない。このような北朝鮮側の条件を拒否すべきだろう。そこで、日本側から条件を付ければよい。「弾道ミサイルの発射を即時停止するれば制裁解除は可能だ」と。ここから改めて交渉が始まるのではないだろうか。もちろん、仮定の話だ。

⇒1日(木)夜・金沢の天気   あめ


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