自在コラム

⇒ 日常での観察や大学キャンパスでの見聞、環境や時事問題、メディアとネットの考察などを紹介する宇野文夫のコラム

★COP10の風~上~

2010年10月21日 | ⇒トピック往来
 生物多様性条約第10回締約国会議(CBD/COP10 )が名古屋市で開催されている。ブース会場で21日から始まった「金沢大学の日」の展示を担当するため、20日夜に名古屋入りした。2008年5月にドイツのボンで開催されたCOP9にも参加しており、2度目のチャンスに恵まれた。きょうは展示の合い間を見計らって、名古屋国際会議場で開かれているワークショップやサイドイベントの会場に足を運んだ。
             サンバの迫力

 午前から午後にかけて開かれた「農業と生物多様性を考えるワークショップ」の会場=写真=をのぞいた。農業による開発と生態系保全のバランスをどう取ればよいのか、先進国や途上国の立場から発言が相次いでいた。会場で知り合いの日本人研究者と出会った。水田の生態学者である。「食料自給率が40%そこそこの日本は食料の超輸入国だ。日本は世界から見透かされている」と憤っていた。世界は農業と生態系のあり様を真剣に論じている。ところが、食料を外国に依存し、耕作放棄地が問題になっている日本はこの問題で何を言っても迫力がない、というのだ。「日本の農業をどう立て直すか考えねば」。確かにもどかしさを感じる。

 会場をぐるりと回ると、ポスターやパンフレットがあちこちに積まれ、手にとって見るだけでも楽しい。「食べて考える外来種ワークショップ」というポスターが目についた。日付をみると20日にすでに行われた日本の環境省のサイドイベントだった。このイベントに参加した人に聞くと、会場で「ブラックバスバーガー」が参加者に振る舞われたそうだ。琵琶湖で駆除された外来魚ブラックバスの切り身をフライにして、タルタルソースで味付けしパンではさんだもの。これが結構いける味だった、とか。もちろんワークショップでは、外来種が在来種の生態系を劣化させるなど世界で年数十億ドルの経済損失を引き起こしているなどの問題が話し合われた。

 行き交う人々は国際色豊かだ。午前中、会議場までの道を歩いていると。歌をうたいながら歩く女性3人がいた。サンバの旋律で、「ブラジ~ル、ラララ」と大声で。3人が横切った瞬間に、迫力という圧を感じた。COP10では、2011年からの生態系保全の取り組み指針となる新戦略目標を協議している。ブラジルなどの途上国は「生物多様性の損失を止めるためには、これまでの100倍の資金援助が必要」と先進国側に訴えている。朝の迫力を思うと、紛糾する会議の様子がどれほどか想像に難くない。

⇒21日(木)夜・名古屋の天気  くもり 

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