自在コラム

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☆「DMZ電撃会談」、ツイッターの実力

2019年07月01日 | ⇒メディア時評

   「まさか」「いや、もしかしたら」などと考えあぐているうちに事態はどんどん進行し、ついに現実となった。前回の29日付のこのブログで取り上げたトランプ大統領のツイッターだ。「G20」大阪サミットで日本を訪れていたアメリカのトランプ大統領は29日午前7時51分のツイッターで「While there, if Chairman Kim of North Korea sees this, I would meet him at the Border/DMZ just to shake his hand and say Hello(?)!」(北朝鮮のキム主席がこれを見たら、握手してあいさつするためだけでも南北軍事境界線DMZで彼と会うかも?!)と、北朝鮮の金正恩党委員長との面談をほのめかしていた。それが、きのう30日午後3時45分、DMZでの電撃的な会談が実現した。

   ニュースの流れはこうだ。午前11時、韓国を訪れているトランプ氏は文在寅大統領と首脳会談を行う。午後1時、会談後の共同記者会見でトランプ氏は「DMZに行き、キム委員長と会う」と明言。ヘリコプターで午後2時45分ごろに現地の監視所に到着する。この1時間後の午後3時45分、板門店でトランプ氏と金氏が面会する。ここからの様子はホワイトハウスがツイッターで動画を公開している。トランプ氏は金氏の姿を確認するとゆっくりと進み、軍事境界線を挟んで握手を交わし=写真=、その後、国境をまたいで北朝鮮側に入る。現職のアメリカ大統領として、初めて北朝鮮側に入ったことになる。

   この後、韓国側の「自由の家」で午後4時ごろから3回目の米朝首脳会談が始まる。その冒頭で、トランプ氏は金氏にこう語った。「とても特別な瞬間であり、2人の面会は歴史的なことだ。ソーシャルメディアでメッセージを送って、あなたが出て来てくれなければ、またメディアにたたかれるところだったが、あなたがこうして出てきてくれたので、2人ともそうならずに済んだ。そのことに感謝したい」(30日付「NHKニュース」サイト)

   一連の流れをツイッター動画とニュースで見て、これまでメディアによって演出されてきた政治ドラマが、SNSによって演出される時代になったと、ある意味感慨深かった。おそらくどこかで仕掛け人がいて、演出がある。それを一切メディアに明かさずに、ソーシャルメディアで仕掛けて実演する。メディアを介さずに、ダイレクトに世間にばらす。トランプ流と言えばそれまでなのかもしれないが。

   それにしても、悔しがっているのは安倍総理かもしれない。「前提条件なし」に日朝首脳会談を模索している安倍氏にとって、ツイッターでいとも簡単に実現する首脳会談って何だろう、と。

⇒1日(月)朝・金沢の天気    くもり


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