北京オリンピックをはじめとして連日のように「中国」が日本のメディアをにぎわせている。「たかが中国、されど中国、やっぱり中国」と感じたニュースを。北京五輪で中国を訪れているIOCのバッハ会長は、中国の前の副首相から性的関係を迫られたことをSNSで告白したとされるプロ子テニスの彭帥(ペン・シュアイ)選手と5日、夕食をとりながら会談したとIOCが発表した(7日付・NHKニュースWeb版)。新型コロナの感染対策として北京オリンピックの大会関係者が外部の人と接触しないようにしているいわゆるバブル内で、別のIOC委員を含め3人での会食だった。会談で話した内容についても詳しくは言及されていないが、3人はそれぞれオリンピアンとしての経験を話し合ったとしている(同)。
さっそくIOC公式ホームページをチェックした。サイドの「ニュース」覧に「IOC statement on meeting with Peng Shuai」の見出しで掲載されている=写真=。読んで感じたことは、なぜ3ショットの写真を掲載していないのか、そもそもこの会食はIOC公式ホームページで「声明」として取り上げるべき話題なのだろうか。さらに奇妙に感じたのはこの下りだ。
「In this context, she also shared her intention to travel to Europe when the COVID-19 pandemic is over, and the IOC President invited her to Lausanne to visit the IOC and The Olympic Museum, to continue the conversation on their Olympic experiences. Peng Shuai accepted this invitation.」(意訳:彭選手はパンデミックが治まったらヨーロッパを旅行したいと話題にすると、バッハ会長はスイス・ローザンヌにあるオリンピック博物館に彼女を招待したいと述べ、引き続きIOCとの対話を続けることを提案した。彭選手も承諾した)
文面を読めば、和やかな雰囲気が伝わってくるのだが、このホームページの記事を読んだ世界の多くの人は、「IOCのバッハ会長はなぜペン・シュアイ選手と会食したり、誘ったりしているのか。彼女がSNSを発信して一時消息が分からなくなっていた。それが問題ではないのか」と勘繰っているに違いない。
世界ではすでにIOCのバッハ会長は「Baron Von Ripper-off」(ぼったくり男爵)で知られている。IOCは公的な国際組織ではなく、非政府組織 (NGO) の非営利団体 (NPO)で、4年に1回のイベントで得た収入で運営される。収入の73%は放映権料、最上位スポンサーからの協賛金は18%を占める。収入の9割を各国・地域のオリンピック委員会(NOC)や国際競技団体(IF)に分配し、残り1割は運営費。金額で5.7億㌦(2013-16年収入実績)がIOCの手元に残る。なので、バッハ会長はパンデミックになろうと人権侵害・ジェノサイドがあろうと、オリンピックは簡単に中止にはしない。
以下裏読みだ。IOCと中国の間で「密約」があるのではないか。中国は彭選手をIOC委員として送り込もうとしている。彭選手はオリンピック3回出場(2008年北京、12年ロンドン、16年リオ)のベテラン選手でもあるので、バッハ会長もこれに同意した。オリンピック博物館に彼女を招待するのはその雇用契約のためではないのか。中国側の狙いはバックヤードからIOCをコントロールするためではないか。このように憶測すると話のつじつまが妙に合ってくる。
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