自在コラム

⇒ 日常での観察や大学キャンパスでの見聞、環境や時事問題、メディアとネットの考察などを紹介する宇野文夫のコラム

☆被災地を大雨が襲う

2019年07月03日 | ⇒ニュース走査

   九州を襲っている大雨が警戒レベル4となり、鹿児島県と宮崎県の15市町の52万世帯、110万人余りに「避難指示」が出された。110万人は石川県と同じ人口規模で、この数字だけで大変なことになっていると察しがつく。避難指示では自治体が重ねて避難を呼びかける。大雨では避難場所に移動する途中で危険な箇所もあり、臨機応変に近くのビルなど安全な建物や高い場所に逃げたほうがいい。

   きのう(2日)気象庁の予報官が記者会見を開いている様子をテレビで視聴したが、ただならぬ雰囲気だった。「非常に激しい雨が数時間続くような場合には、大雨特別警報を発表する可能性もあります。特別警報の発表を待つことなく、早め早めの避難、安全確保をお願いします」と。洪水も心配だが、がけ崩れ、道路の陥没といった土砂災害もある。気象庁予報官は「自らの命は自らが守らなければならない状況を認識して、早めの避難を行って頂きたい」と何度も繰り返していた。住民に対して避難を直接呼びかける異例のコメントだ。

    個人的に気になっているのは3年前に現地を訪れたことがある熊本県益城町だ。ニュースによると、川が氾濫していて、水田に土砂が流れ込むなどの被害が出ている。同町は2016年4月14日の前震、16日の本震で2度も震度7の揺れに見舞われた。新興住宅が建ち並ぶ中心部と昔ながらの集落からなる農村部があり、3万3千人の町全体で5千棟もの建物が全半壊した。半年後の10月に現地を訪れ愕然とした。あちこちにブルーシートで覆われた家屋や、傾いたままの家屋、解体中の建物があった。印象として復旧に手がついたばかりだった。

   とくに被害が大きかった県道沿いの木山地区では、道路添いにも倒壊家屋があちこちにあり、痛々しい街の様子が伝わってきた=写真・2016年10月8日撮影=。農村部では倒壊した家の横にプレハブ小屋を建てた「仮設住宅」で暮らしている農家もあった。益城ではスイカ、トマトなどが名産で、被災農家は簡単に自宅を離れられないという事情も想像がついた。

     震災から3年経ったとは言え、おそらく今でも復興半ばではあること想像がつく。 言葉で「復興」「復旧」「再生」は簡単だが、それを実施する行政的な手続き、復興政策の策定には時間がかかる。そこへ、今度は無情な大雨である。地殻の揺れの後だけに、表層崩壊、あるいは深層崩壊といった山崩れは大丈夫だろうか。

⇒3日(水)夜・金沢の天気     あめ
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