自在コラム

⇒ 日常での観察や大学キャンパスでの見聞、環境や時事問題、メディアとネットの考察などを紹介する宇野文夫のコラム

★日米同盟を担保した北のミサイル

2017年02月12日 | ⇒メディア時評
   北朝鮮がきょう12日午前7時55分ごろ、日本海に向けて弾道ミサイルを発射したというニュースがテレビメディアで一斉に流れた。北の弾道ミサイル発射は安倍外交にとって、日米同盟を確かなものにする絶妙なタイミングだったかもしれない。

   対応が素早かった。アメリカ訪問中の安倍氏は日本時間12日午後0時30分すぎ、この北朝鮮による弾道ミサイルの発射を受けて、フロリダ州パームビーチでトランプ大統領とともに記者会見し、「北朝鮮のミサイル発射は断じて容認できない。北朝鮮は、国連決議を完全に順守すべきだ。先ほど、トランプ大統領との首脳会談で米国は常に100%、日本とともにあると明言した。トランプ大統領はその意思を示すために私の隣に立っている」と述べた。

   続いて、トランプ氏も「すべての人は、アメリカが偉大な同盟国・日本と100%ともにあることを知るべきだ」と強調し、日本とアメリカが緊密に連携して北朝鮮に対処していく考えを示した。今回の記者会見では記者から質問も飛んだが、答えることもなく1分余りで終わった。記者会見というより、共同で声明を発表したというカタチだろう。発射後わずか4時間半で日米の首脳が顔をそろえて北朝鮮を非難したのである。もし、日米首脳会談で不協和音が生じていたら、このような会見の場を設定することすらできなかっただろう。

   絶妙なタイミングというのは、前日11日の共同会見で、トランプ大統領は「北朝鮮のミサイルと核の脅威からの防衛など、私たちが共有する多くの利益があり、私たちはともに取り組みます。私はこれらが非常に重要度の高いものだと考えています」と述べていた。より日本とアメリカの緊密さを強調しながら、北朝鮮に対峙する姿勢を示していた。まさにその翌日、「重要度の高いもの」が実際に飛んできたのである。

   これにより、トランプ氏は極東における不安定要因をまざまざと実感し、日米同盟の必要性を痛感したに違いない。「同盟国・日本と100%ともにあることを知るべきだ」。トランプ氏の言葉はその心情を率直に物語る。日米首脳会談中の一発の弾道ミサイルが日米同盟をより強固なものに担保した。こんな絶妙なタイミングは外交上の演出では到底、不可能だ。安倍総理の「運の良さ」を感じる。

⇒12日(日)午後・金沢の天気  ゆき
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