自在コラム

⇒ 日常での観察や大学キャンパスでの見聞、環境や時事問題、メディアとネットの考察などを紹介する宇野文夫のコラム

★トランプと豊洲のニュース

2017年02月10日 | ⇒メディア時評

  最近もう飽きたニュースがある。東京都の豊洲市場をめぐる一連の問題だ。都議会の特別委員会が元知事の石原慎太郎氏の参考人招致を決めたことについて、小池百合子知事はきょう10日の記者会見で「『記憶にありません』と逃げる姿勢も、国民がしっかり見ることになる」と述べ、石原氏をけん制した、という。テレビ局はその参考人招致の今後の成り行きを懸命に伝えているのだが、おそらく東京エリアの視聴率も低いのではないだろうか。豊洲市場の問題は東京都が結論を出せばよい話で全国ニュースではない。そもそも東京ローカルのニュースだ。こんなことをいつまで全国ニュースで伝えるのだろうか。

  むしろ国民の耳目は「安倍VSトランプ」に集まっている。そもそもトランプ大統領の挙動が連日トップニュースになっている。大統領令でできることなら何でも手当たり次第にやっているとの印象だ。テロリストの入国阻止という目的で中東・アフリカの7ヵ国からの入国を一時禁止する大統領令などはその典型だろう。さすがにこれは、ニューヨークやワシントン州の司法長官が信仰の自由を侵害し「危険で憲法違反だ」と非難する共同声明を発表し、ワシントン州連邦地裁が大統領令の一時差し止めを命じた。トランプ大統領が今のままの手法でやり続けるなら、政権は数ヶ月も持たないのではないかと思うくらいだ。

   さて、いよいよこれから、安倍総理がホワイトハウスでトランプ大統領と初めて会談する。トランプ大統領は安倍総理の訪米を利用したいところだろう。では、どのように利用するのか。アジア太平洋地域での日本とアメリカの同盟関係を重視している姿勢を示すことで、世界の同盟諸国を安心させるシンボルにしたいのではないだろうか。先日来日したアメリカのマティス国防長官は、北朝鮮の核開発や中国の軍事的台頭に対抗するための重要なパートナーとして日本をとらえていることを述べている。
   
   一方、安倍総理は強固な日米同盟を国内外に示すほか、通商分野でもさまざまな提案をするのだろう。トランプ氏が大統領就任後、外国の首脳と公式会談するのは、イギリスのメイ首相に続き、2番目だ。その後、マイアミでのゴルフ外交がどうなるのか。メイ首相とは手をつなぎ、安倍総理とはゴルフをする。そのトランプ氏の真意はどこにあるのだろうか。

   改めて、ニュース価値はどこにあるのか。東京都の豊洲市場をめぐる一連の問題は論点整理もなされないまま、ともすれば元知事と現知事の遺恨の話題で取り上げられている。こんな切り口のニュースだったら、キー局が東京のローカルニュース枠でやればよい。

⇒10日(金)夜・金沢の天気    ゆき

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