書名 「満洲国の文化-中国東北のひとつの時代」
編 西海和海・川俣優 出版社 せらび書房 出版年 2005年 定価 2400円+税
これも長谷川濬がらみで買った本。このところ満洲ものの出版物が増えているような気がする。内容的には伝記もの、戦後政治との関わりの中での政治経済ものが主体となっているようだが、文化という切り口での本はなかなかない。その意味でこの本は、全体的な俯瞰で文化という視点から満洲を見るという点で、非常に参考になった。まったく知らない作家や演劇人の仕事や生き方をここでとりあげられている論文で知ることができ、どんな作品を書いているのか読みたくなったりもした。満洲文化の入門編として格好の書となっている。
大きく「満洲に住む日本人たちの表現」、「中国人による言葉のたたかい」、「哈爾浜という都市のイメージ」、「中国東北の過去と現在」という四章に分かれているが、哈爾浜の章が圧倒的に面白かった。「王道楽土の交響楽」の著者岩野の論考、波潟のハルビンをめぐる物語の論考などを通じて、ハルビンという都市のもつコスモポリタン性が、見事に浮かび上がってきた。また戦後少年たちを熱狂させたという山川惣次のアフリカを舞台にした漫画「少年王者」と満洲をつなぐ回路を見つけていく西海の「マンチュリア・イン・アフリカ」なども実に刺激に富んだ論考であった。
満洲文化の大きな特色となるコスモポリタン性と長谷川のつながりを見つけていくことも自分にとっては大事な作業になるような気がする。
編 西海和海・川俣優 出版社 せらび書房 出版年 2005年 定価 2400円+税
これも長谷川濬がらみで買った本。このところ満洲ものの出版物が増えているような気がする。内容的には伝記もの、戦後政治との関わりの中での政治経済ものが主体となっているようだが、文化という切り口での本はなかなかない。その意味でこの本は、全体的な俯瞰で文化という視点から満洲を見るという点で、非常に参考になった。まったく知らない作家や演劇人の仕事や生き方をここでとりあげられている論文で知ることができ、どんな作品を書いているのか読みたくなったりもした。満洲文化の入門編として格好の書となっている。
大きく「満洲に住む日本人たちの表現」、「中国人による言葉のたたかい」、「哈爾浜という都市のイメージ」、「中国東北の過去と現在」という四章に分かれているが、哈爾浜の章が圧倒的に面白かった。「王道楽土の交響楽」の著者岩野の論考、波潟のハルビンをめぐる物語の論考などを通じて、ハルビンという都市のもつコスモポリタン性が、見事に浮かび上がってきた。また戦後少年たちを熱狂させたという山川惣次のアフリカを舞台にした漫画「少年王者」と満洲をつなぐ回路を見つけていく西海の「マンチュリア・イン・アフリカ」なども実に刺激に富んだ論考であった。
満洲文化の大きな特色となるコスモポリタン性と長谷川のつながりを見つけていくことも自分にとっては大事な作業になるような気がする。
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