書名 「牝虎」
著者 ニコライ・バイコフ 訳 上脇 進
出版社 中央公論社(中公文庫) 出版年 1990年
長谷川濬のからみで、このところよく読んでいるバイコフの作品。先日のカザフ出張で読んだ。バイコフといえば動物もの、自然を相手にしたエッセイ風の作品が多いのだが、これは珍しく完全な小説になっている。バイコフの作品によく出てくるバボージンや、バイコフ自身も出てくるのだが、この作品の主人公は、満州の密林に移り住むことになるナターシャという女性。彼女がまさに命を賭けて恋するゾートフ、それを見守るバボージンと、恋物語が軸になっているのだが、長谷川と同じで、バイコフは女性を書くのが苦手なようだし、三角関係の描き方も、ぎこちない。正直いって冗漫な感じがする、悪くいうと通俗小説になっている。長谷川が、戦後書き続けていた終戦直後の新京を舞台にした「雪あかり」などの一連の牧ものの小説を思い出してしまった。やはり目を引くのは、満州の自然、そこにいきる動物たちに対する、バイコフの限りない愛である。ゾートフが虎に命を奪われたあと、ナターシャに愛を注ぐも、どこかぎこちなく、新しい恋人の出現に、さっさと姿を消す、バボージンの野生的な生き方と、この作品の作家であるバイコフが重なって見えてくる。さらには長谷川の生き方もかぶってくるような気がした。
文庫版になっているのだから、誤字については直してもらいたかったなあ。
著者 ニコライ・バイコフ 訳 上脇 進
出版社 中央公論社(中公文庫) 出版年 1990年
長谷川濬のからみで、このところよく読んでいるバイコフの作品。先日のカザフ出張で読んだ。バイコフといえば動物もの、自然を相手にしたエッセイ風の作品が多いのだが、これは珍しく完全な小説になっている。バイコフの作品によく出てくるバボージンや、バイコフ自身も出てくるのだが、この作品の主人公は、満州の密林に移り住むことになるナターシャという女性。彼女がまさに命を賭けて恋するゾートフ、それを見守るバボージンと、恋物語が軸になっているのだが、長谷川と同じで、バイコフは女性を書くのが苦手なようだし、三角関係の描き方も、ぎこちない。正直いって冗漫な感じがする、悪くいうと通俗小説になっている。長谷川が、戦後書き続けていた終戦直後の新京を舞台にした「雪あかり」などの一連の牧ものの小説を思い出してしまった。やはり目を引くのは、満州の自然、そこにいきる動物たちに対する、バイコフの限りない愛である。ゾートフが虎に命を奪われたあと、ナターシャに愛を注ぐも、どこかぎこちなく、新しい恋人の出現に、さっさと姿を消す、バボージンの野生的な生き方と、この作品の作家であるバイコフが重なって見えてくる。さらには長谷川の生き方もかぶってくるような気がした。
文庫版になっているのだから、誤字については直してもらいたかったなあ。
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