ヌルボ・イルボ    韓国文化の海へ

①韓国文学②韓国漫画③韓国のメディア観察④韓国語いろいろ⑤韓国映画⑥韓国の歴史・社会⑦韓国・朝鮮関係の本⑧韓国旅行の記録

チョン・ユジョンのホラー小説「28」の感想  疫病のため封鎖された都市・華陽は1980年の光州と重なる

2013-10-16 19:06:04 | 韓国の小説・詩・エッセイ
            

 9月27日(金)鄭裕静(정유정.チョン・ユジョン)のホラー小説「28」を読了! (´∀`)ノ ヤター

 ・・・と、小説「28」の感想を書き始めたものの、記事をアップしないままもう20日も経ってしまいました。
 やっとネタバレにならないように余分な内容を削ってどうにか完成。

 <やっとチョン・ユジョンの新作「28」に取りかかるゾ!>という記事を書いたのが7月19日だから、70日かかったんですね。それでも、昨年同じ作者の「7年の夜」はほぼ同じページ数(約500ページ)で3ヵ月以上かかったのに比べれば進歩というべきかも。
 1日平均7ページといっても、1ページも読まない日もあれば、ラストの100ページなどはは3、4日でイッキ読みしたりで(イッキ読みに値する速さだろうか?)、ペースはまちまち。

 しかし「7年の夜」同様、速読にはもってこいの本です。
①文章が短く、わずらわしい心理描写や情景描写がなく、ストーリー展開がスピーディである。
②主な登場人物に危機が迫っていたり、謎が提示されていたり等、内容的にも先が読みたくなる。
③辞書を引かなければわからないような言葉は比較的少なく、テキトーに飛ばし読みしても大体はわかる。
 ・・・ということです。

 では、この小説の内容紹介。

 小説の舞台は、ソウルの北に隣接する人口29万のファヤン市(華陽市)[←架空の町]。そこで正体不明の人畜共通伝染病が蔓延する。犬と人間の間で相互に伝染し、発症すると真っ赤な目になり(白目の部分)、全身から血を流して3、4日の間に死んでしまう。疫病の正体がわからないまま犠牲者は増え続け、病院は患者を収容しきれず体育館へ、また遺体は地下スケートリンクに並べるという状態になり、生活必需品の不足、治安の悪化等都市の機能も正常を保てなくなる。政府はソウルへの疫病の拡散を阻止するため軍隊を投入して町全体を厳重に封鎖し、脱出を試みる者は容赦なく射殺する。

 小説は、5人の人物と1匹の犬(!)という6つの視点を通して描かれます。

 男性は、①消防署の救助隊チーム長・②救助隊の公益要員・③以前韓国人として最初にアラスカの犬ぞりレース<アイディタロッド>に参加するも「痛い経験」を味わった動物病院を運営する獣医師。
 女性は、④新聞記者・⑤医療センターの看護師。
 そして、犬は⑥巨大なティンバーウルフ。

 本書のタイトル「28」は、最初の感染者が発見された2014年1月24日から2月20日までの28日間の物語だからです。

 先の記事で私ヌルボ、「怖ろしい伝染病蔓延パニックの話なんですね」と書きました。読み終えてみると、はたしてそう言えるのか、少し疑問も感じます。

 つまり、「人間と疫病との闘い」がテーマではなく、この人畜共通感染症の蔓延した都市というのは怖ろしい極限状況ではあってもひとつの場面設定とみた方がよさそうです。
 そこを舞台に登場人物たちが使命感や愛や憎悪の心をもって徐々に絡み合ってくるという展開。
 また大状況としては、この都市の封鎖の徹底をはかる政府・軍に対し、市民たちはどんな行動をとるか、ということが描かれます。

 この小説について、作者鄭裕静のインタビュー記事がありました。(→コチラ。)

 その中で彼女はこの小説を書いた動機として2011年の口蹄疫報道をあげています。牛や豚が生きたまま埋められる映像に大きな衝撃を受けたと語っています。
 この小説で犬の視点を入れているのもそのためで、オオカミの感情や行動を知るためにマーク・ローランズの「動物の逆襲」等の本を読破したそうです。

 その他獣医師の人に取材したり、またこの小説では消防隊員や看護師が活躍しますが、鄭裕静自身以前看護師だったそうで、また弟も夫も消防署で仕事をしていて、いろいろ教えてもらったとか・・・。

 また、彼女の生まれは全羅南道咸平ですが、14歳の時から光州に住んでいるという点もこの作品につながります。
 彼女はこう語っています。
 15歳の時に5.18光州抗争が起きた時、市場で働くおばさんがおにぎりを作って運び、看護師、医師らが総出で傷を負った人々を必死で徹夜して治療しました。このような光景を見たので、市民の力になるのは彼ら自身で、政府やいわゆる権力を持っている人ではないのです。

 国家権力によって封鎖された町という点で、華陽は光州と重なります。

 架空の都市華陽は、読み進むと位置的に議政府市にあたることがわかってきます。南側でソウルと隣接する内陸部の都市です。議政府市は人口が40数万なので少し大きいですが。作家は事前に議政府に足を運んでいろんな所をスケッチし、作品用に地図も作ったそうです。

 ソウルを東京に置き換えて考えてみると、華陽に相当するのは草加市(人口約25万人)あたりです。もしそこで恐怖の伝染病が発生したらどんな方策がとられるのか、ということをちょっと考えたりしました。

 さて、この小説の全体的な感想・評価ですが、「夜遅くこの本を読み始めると、否応なく夜明けを迎えることになるだろう」という新聞書評は偽りではないでしょう。朝鏡の前に立って、睡眠不足のため真っ赤な目になっているのを見て驚愕した人もいるかも・・・。(笑)
 ただ、前に読んだ「7年の夜」と比べると物語の焦点がやや定まっていない点は明らかにマイナス。そもそも主人公が誰なのか?とか、疫病との闘いなのか、権力との闘いなのか、復讐の物語なのか?等々。
・・・ということで、どちらか選べということならやっぱり「7年の夜」ですね。韓国のブログ等をいくつか目を通した結果も同様でした。

          
     【先月の韓国旅行で「28」のショッピングバッグを持って歩いている人を見かけました。】

佐倉の歴博にある朝鮮関係の展示物のこと等(2)

2013-10-16 17:18:40 | 韓国・朝鮮と日本の間のいろいろ
 昔学校で習った日本史の知識で歴博を見学すると、「教わったことと違う!」ということがたくさんあります。

 大きな時代区分では、平安時代が古代ではなく中世とされていたり・・・。
 原始~古代の年代も、ずいぶん違います。全体的に、「○年前」という数字がどんどんさかのぼっています。
・人類の誕生は今の教科書では500万年、かな? 以前は200万年とか、もっと前は120万年とか。しかし歴博の説明文では700万年前。
・縄文時代の始まりは約1万5千年前、弥生時代の始まりは約3千年前(紀元前1000年)。
※弥生時代の開始年代を「約3000年前」とするのは歴博の見解。2007年の企画展示で注目されました。詳細は→コチラ
・古墳時代の始まりは、以前は3世紀末だったのが半世紀ほどさかのぼり、3世紀半ばに。したがって、「卑弥呼の時代はまだ弥生時代で彼女の墓は古墳ではない」等々と以前言っていたような言説は常識ではなくなてきている。

 前の記事に続いて、今回は[近世]以降です。

[近世]
 日本史教科書ではふつう近世の最初に置かれている安土桃山時代は歴博の区分ではなぜか中世。
 で、江戸時代から近世です。

 昔の日本史教育では常識だった江戸時代=鎖国時代というイメージは、かなり前から大きく変わっています。

 すなわち、長崎口・対馬口・薩摩口・松前口という「4 つの窓」を通じて、それぞれオランダ&中国、朝鮮、琉球、蝦夷との間に交流が行われていた、というものです。

 歴博の展示も、そのような大枠にしたがって4つのコーナーが設けられていました。
 その1つの日朝関係のコーナーの全体像がコレ。(下写真)

          

 狭くはないが、十分なスペースとも言い難い広さ。どういう展示物を並べるか、担当者としては思案のしどころだったと思います。

 メインは正面に配された2つの絵図。

       

 左は「東莱府使接倭使図」(韓国国立中央博物館蔵)、右は「朝鮮通信使歓待図屏風」(京都泉涌寺蔵)です。
 教科書等でよく見る「朝鮮通信使来朝図」(羽川藤永筆)(→コチラ)等ではなく、朝鮮側の視点からも対比させて展示している点がミソでしょうか。

      
 上のような説明のほかにも、展示台の手前に下の写真のような解読の手引きが置かれていていました。

      

      

 具体的な説明が書かれていて興味がもたれます。時間があればじっくり読むところですが、かけ足見学のためパスせざるを得なかったのは残念。

 最初は上・下2回のつもりだった記事ですが、予定変更。[近代]以降は(3)に回します。

韓国内の映画 Daumの人気順位 と 週末の興行成績[10月11日(金)~13日(日)]

2013-10-15 23:53:31 | 韓国内の映画の人気ランク&興行成績
 9月27日を最後にずーっと映画を観ていません。ようやくもろもろの予定や懸案事項が片付いたので、さあ今日からガンガン見るぞ!・・・と思ったら台風26号がコチラに向かってるでないの! なんてこった!! なんとか無事にはるか遠くに外れて、静かに消滅してほしいものです。

           ★★★ Daumの人気順位(10月15日現在上映中映画) ★★★

【ネチズンによる順位】

①描きたいこと(韓国)  9.4(38)
②ニュー・シネマ・パラダイス  9.4(476)
③ロデンシア:魔法王国の伝説  9.3(24)
④道の上で(韓国)  9.3(64)
⑤ラッシュ  8.9(177)
⑥怪盗グルーのミニオン危機一発  8.9(147)
⑦ブルー・ジャスミン  8.9(63)
⑧願い(韓国)  8.7(605)
⑨25年目の弦楽四重奏  8.5(70)
⑩天安艦プロジェクト  8.4(2189)

 新登場は⑤「ラッシュ」だけです。この作品については後述します。

【専門家による順位】

①ザ・マスター  9.0(5)
②蜂蜜  8.5(2)
③悲しみのミルク  8.0(2)
④雪国列車(韓国・米・仏)  7.6(6)
⑤ブルー・ジャスミン  7.5(6)
⑥悲しみを聴く石  7.5(2)
⑦ブエノスアイレス恋愛事情  7.3(3)
⑧25年目の弦楽四重奏  7.2(4)
⑧父の秘密  7.2(4)
⑧グランド・マスター  7.2(4)

 順位・評点とも先週とまったく同じです。

         ★★★ 韓国内の映画 週末の興行成績[10月11日(金)~13日(日)] ★★★

         ヨ・ジング主演で注目の「・ファイ 怪物を呑み込んだ子」がトップに

【全体】

順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・・・・・週末観客動員数・・・・累計観客動員数・・・・累積収入・・・上映館数
1(35)・・ファイ 怪物を呑み込んだ子(韓国)・・・・・・・・・・・・・・・・・10/09 ・・・・・・・・・・・・・719,444 ・・・・・・・1,213,905・・・・・・・・9,129・・・・・・・・817
2(1)・・願い(韓国)・・・・・・・・・・・・・・・・・・10/02 ・・・・・・・・・・・・・444,588 ・・・・・・・1,719,889・・・・・・・11,925・・・・・・・・650
3(2)・・カンチョリ(韓国)・・・・・・・・・・・・・・10/02・・・・・・・・・・・・・133,250・・・・・・・・1,119,558・・・・・・・・7,986・・・・・・・・438
4(3)・・観相(韓国) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・9/11・・・・・・・・・・・・・・120,125・・・・・・・・9,018,211・・・・・・・65,226 ・・・・・・・339
5(4)・・死霊館・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・9/17・・・・・・・・・・・・・・・71,261・・・・・・・・2,222,537・・・・・・・16,072・・・・・・・・312
6(新)・・ラッシュ プライドと友情 ・・・・・10/09・・・・・・・・・・・・・・47,845・・・・・・・・・・・87,149・・・・・・・・・・646・・・・・・・・270
7(7)・・怪盗グルーのミニオン危機一発・・9/12・・・・・・・・・・・・・21,569・・・・・・・・・・940,888・・・・・・・・6,457・・・・・・・・160
8(8)・・モンスターズ・ユニバーシティ・・・9/12 ・・・・・・・・・・・・・・17,101・・・・・・・・・・860,169・・・・・・・・5,809・・・・・・・・165
9(9)・・ロデンシア:魔法王国の伝説・・10/02・・・・・・・・・・・・・・・12,897・・・・・・・・・・・88,197・・・・・・・・・・571・・・・・・・・146
10(新)・・エコー・プラネット・・・・・・・・・・10/02・・・・・・・・・・・・・・・12,741・・・・・・・・・・・27,573・・・・・・・・・・177・・・・・・・・183
       ※KOFIC(韓国映画振興委員会)による。順位の( )は前週の順位。累積収入の単位は100万ウォン。

 「ファイ 怪物を呑み込んだ子」を筆頭に、韓国映画が1~4位を占めました。「観相」は900万人に到達。「雪国列車」の932万人に追いつけるか?
 今回の新登場は1・6・10位の3作品です。
 1位「ファイ 怪物を呑み込んだ子」はアクション・スリラー。注目は主演のヨ・ジング君だそうです。ドラマの子役として高評価を得た彼も今や高校生。ドラマ「太陽を抱いた月」「会いたい」等で「女心を揺さぶった」とか。(ああ、そーですか。) 彼が演じるのは、5人の犯罪者をアボジ(父)とよぶ少年ファイ。えっ、父親が5人ってか!? その5人のリーダーがソクテ(キム・ユンソク)。彼らの下で狙撃の練習等もしてきたファイは、ある日立ち退きの応じない夫婦の殺害を命じられた5人とともにその家に向かいますが・・・。やがて知ることになる自身の秘められた過去・・・。未成年観覧不可なのか。原題は「화이 : 괴물을 삼킨 아이」です。
 6位「ラッシュ プライドと友情」は、ライバル同士の2人のF1レーサーの物語。マクラーレンのジェームス・ハント(クリス・ヘムズワース)とフェラーリの ニキ・ラウダ(ダニエル・ブリュール)がその2人。直感型のドライビングテクを誇り、奔放な性格で愛される天才型のハントと、分析型の隙のないレース運びで、冷静な判断力を備えた秀才型のラウダはキャラクターも対照的。そんな2人がトップを争った1976年、トップを走っていたラウダはニュルブルクリンクのレースでのクラッシュで大怪我を負い、再起不能と思われたが、なんと6 週間後再びサーキットに上がる。シリーズ最終決戦の舞台は日本の富士スピードウェイ。2人はライバル以上のつながりを感じながらレースに臨む・・・。韓国題は「러시 : 더 라이벌(ラッシュ:ザ・ライバル)」。日本公開は来年2月です。
 10位「エコー・プラネット」はタイの環境アニメ。「エコ」かと思ったら英語題は「Echo Planet」だから「エコー」ですね。主人公は女の子と男の子の姉弟。姉は首にいくつも金属の輪をはめているのでカチン族かな? 弟は動物や植物の話を聞けるという超能力の持ち主。世界に不穏な空気が漂っていることを察知し、自分たちの世界を守ろうとします。そこに道に迷ったキャピタル国の大統領の息子がやってきます。姉弟はわがままなその少年を送っていこうとした時、空はひび割れ、世界は熱気の大蛇に襲われることに。キャピタル国等の世界の国々は冷気爆弾を作って熱気大蛇に対抗しようとしますが、弟は強くそれを停めようとします。少年と共にキャピタル国にやってきた姉弟は地球の滅亡をくい止められるかどうか? 韓国題は「에코 플래닛 3D : 지구 구출 특급 대작전(エコー・プラネット3D:地球救出特急大作戦)」。日本公開はなさそう、かな?

【多様性映画】

順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・・・・週末観客動員数・・・・累計観客動員数・・・・累積収入・・・上映館数
1(1)・・うちのソニ(Our Sunhi)(韓国)・・・・・・9/12・・・・・・・・・・・・1,904・・・・・・・・・・・・・・・64,465 ・・・・・・・・・496・・・・・・・・・・27
2(3)・・アー・ユー・レディ?(韓国) ・・・・・・・・9/26・・・・・・・・・・・・1,005 ・・・・・・・・・・・・・・・9,399 ・・・・・・・・・・・67・・・・・・・・・・21
3(2)・・ブエノスアイレス恋愛事情・・・・・・・・9/12・・・・・・・・・・・・・・906 ・・・・・・・・・・・・・・20,894・・・・・・・・・・161・・・・・・・・・・10
4(5)・・ロシア小説(韓国) ・・・・・・・・・・・・・・・9/19・・・・・・・・・・・・・・456 ・・・・・・・・・・・・・・・5,338 ・・・・・・・・・・・39・・・・・・・・・・15
5(新)・・ラヴレース・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・10/17・・・・・・・・・・・・・・264・・・・・・・・・・・・・・・・・264・・・・・・・・・・・・・1・・・・・・・・・・・1

 今回の新登場は5位「ラヴレース」だけです。ラヴレースとは、話題をよんだポルノ映画「ディープ・スロート」(1972)で有名になった女優リンダ・ラヴレースのこと。彼女はポルノ作品への出演はマネージャーでもあった夫に暴力で脅されたためだと主張し、73年に離婚。その後別の男性との再婚、出産を経て、自身の経験をもとにポルノ映画産業を批判する活動家へと転向、2002年に自動車事故での怪我によって死去。注目は、このラヴレースを演じるのが「レ・ミゼラブル」で純真な娘役を演じたアマンダ・セイフライドということ。一転してダークな役柄に挑戦ですが、評価は如何? 韓国題は「러브레이스」。日本公開は未定です。

佐倉の歴博にある朝鮮関係の展示物のこと等(1)

2013-10-15 18:32:38 | 韓国・朝鮮と日本の間のいろいろ
 1つ前の記事で、つくば市の第一印象を「シムシティの、初期の発展段階で停まったまま何十年も経ったような街」と書きました。

 その翌日地元の方と顔を合わせた時、そのように言うと失礼になるかなとも思って、「こういう雰囲気の街は初めてです」とボンヤリとした言い方をしたら、彼ご自身の口から「シムシティのような街ですよ」という言葉が出たのには思わず笑ってしまいました。

 せっかくつくば市に来たからにはと、13日(日)所用を済ませた後筑波大学からすぐ、国土地理院地図と測量の科学館に行ってみたところ、12・13日は館内施設の点検のため臨時休館! 6月聞慶(ムンギョン)セジェ道立公園に行った時も古道博物館(옛길 박물관)は臨時休館だったし、このところついてないです。

 そこで、横浜にまっすぐ帰るのもアホらしいと思い、道草することに決めました。一応目的地は佐倉の国立歴史民俗博物館(歴博)。まだ行ったことがなかったので・・・。ずっーっと前に地理・歴史巡検で千葉県各地を貸切バスで見学したことはあったのですが、それは歴博の開館(1983年)以前だったので・・・。それどころか、成田空港の開港(1978年)の前年だったのか? まだ完成してない建物に入って見学した記憶がうっすらと・・・。

 成田にネット検索でお得なホテルが成田にあったので即予約して直行。
 つくば市街をスタートした時の道路の表示板がコレです。

         
   【「49㎞」という数字を見て、「遠い!」と思うのがフツーの感覚でしょうね。】

 日常生活で「徒歩30分」というと「遠いなー」とウンザリしますが、山歩きをしていると、目的地まで「あと2時間」とか書かれている案内板を見ると「もうすぐだ」と思って元気が出ます。状況によって距離や時間についての感覚は変わります。
 私ヌルボ、バイク(原付)走行の場合「48㎞」という距離はもちろん近くはないものの、遠いというレベルでもありません。

 ただ、地図を見て「アレレ?」と思ったのが成田はつくばよりも東に位置するのですね。佐倉も少し東。
 東京→千葉→茨城という順番に並んでいるという先入観があるのが間違いの元でした。横浜に帰る途中に千葉県で道草をするつもりが、これでは距離的にほとんど変わらない移動です。まあ、茨城県取手市と千葉県銚子の位置関係を思い浮かべればすぐ気がつく誤解ではありますが・・・。
 (そういえば、韓国の地理でも江原道束草が北朝鮮の開城より北にあることは知っていましたが、江原道原州がソウルより南にあることはこの6月に初めて知りました。)

 そんなこんなで、往路(10日)は横浜→牛久約100㎞牛久→つくば約20㎞走行。
そして復路(13日)はつくば→成田約50㎞、(14日)成田→佐倉約20㎞佐倉→横浜約80㎞走行。
 合計250㎞か。違うルートで帰ってきたため、千葉県は10の市と1つの町、茨城県は5つの市と1つの町を走りました。今まで漠然としか頭に入っていなかったそれらの位置関係がわかったのは収穫。実は名前も知らなかった所も複数あったんですけどね。

 道で印象に残っているのは、国道408号つくば~牛久間の並木。(下写真) モミジバフウという名の巨木がずっと続く道で、非現実的な光景の中を走っている感覚に捉われました。(→参考。)

       

 延々と続くといえば、八千代市内での国道296号(成田街道)の渋滞。3連休の最後というわけではなく、初めて通ったヌルボにも原因はすぐわかる。つまり道幅の狭さと、交差する県道等の多さ。ネット検索するとやっぱり渋滞で有名な道。
 国道といっても実にさまざま。牛久→稲敷の小野川沿いは農村地帯で、季節柄稲わらを焼く匂いが漂っていました。なぜか懐かしさを感じる、好きな匂いなんですよ。(という人はけっこう多いみたい。)

 あ、タイトルと関係ないことばかりで1500字も書いてしまった!
 で、歴博に着く・・・直前に佐倉高校の前を通ったのですよ。あの国民栄誉賞長嶋さんの母校。その歴史的風格を感じさせる佇まいと、「1792年創立の佐倉藩学問所時代より蓄積・系使用された和漢洋の書籍・歴史資料」を所蔵・展示している鹿山文庫が土日祝日無料公開、との看板があったので入って見てみました。これは正解! 「ハルマ和解」等の書籍その他の歴史資料が意外なほどたくさん展示されていて、佐倉の学問教育の風土にはからずも目を開かされました。西村茂樹もここの出身なんですね。もちろん長嶋選手関係の展示物(バットや昔の写真等)もあり、また別の建物で「梅ちゃん先生」のロケ地にもなったという明治時代の洋風建築の旧本館(国の登録有形文化財)もありで、ホントにうらやましいなー、という学校でした。

 さてと、やっと本題だぞ。(笑)
 10時30分頃入館して閉館まで6時間。原始・古代から現代まで、ふつうに観て回ったらとても時間が足りません。つとめて先を急ぐようにして、なんとか一通り眺めてきました。朝鮮・韓国に関係する展示はやや念入りに説明を読んだり写真を撮ったりしましたが・・・。

 とりあえず、朝鮮関係の主な展示物の写真を紹介します。(館内はストロボを使用しなければ撮影OKです。)

[原始・古代]
 骨格模型による「縄文人・弥生人と朝鮮半島無土器時代人との比較」については写真省略。要は弥生人は縄文人より背が高く、朝鮮半島無土器時代人との共通性がみられる。つまり朝鮮半島から渡来した人々が縄文人と混ざり合って九州~本州の弥生人が形成されたと推定されるとのこと。

         
 この展示物のタイトルは「木の鳥」とあるだけですが、いわゆる「鳥竿(とりざお)」、韓国語では「솟대(ソッテ)」ですね。これについては、過去記事<韓国オタクの佐賀紀行① 吉野ケ里遺跡の鳥竿(ソッテ)>で書きました。

        
 上は漢王朝と周辺諸国との間の関係を示した地図の一部。「漢倭奴國王」の金印は有名ですが、同じ頃漢周辺の諸勢力も同じような印を賜っていました。平壌で発掘されたのが「楽浪太守掾王光之印(낙랑태수연왕광지인)」です。
 写真のピントが合っていないので、ネット検索で拾ったのが下の画像です。
          

[中世]
        
 上は主に15世紀の「李氏朝鮮からの経典・朝鮮鐘の輸入」のグラフ過去記事でも紹介した金文京「漢文と東アジア」(岩波新書)に、中世は日本の僧侶が大量に中国との間を行き来したということが書かれていました。当時の仏教文化の盛んな交流がうかがわれるグラフです。(例の対馬の寺から盗まれた仏像の件も、こうした歴史をふまえて考察してほしいものです。)

 [近世]~[現代]については(2)に続くということにします。

つくば市まで原付で来て考えてみた韓国バイク・ツーリングのこと等

2013-10-11 23:52:11 | 韓国の街ネタ、観光ポイント、店・施設等
 所用のため、初めてつくば市に来ました。
 街でみかけた横断幕に「筑波研究学園都市50周年」とありました。筑波研究学園都市50周年の建設が閣議で了解されたのが1963年だったそうです。

 私ヌルボ、このような景観の街は初めてです。「シムシティの、初期の発展段階で停まったまま何十年も経ったような街」というような印象。
 ・・・と言ったら、筑波大学2期生の知人が笑っていました。ちなみに筑波大学の開学は1973年。ついこの前の10月1日に<筑波大学開学40+101周年>の式典が催されたそうです。101年というのは、1872年に師範学校して発足して東京教育大が終止符を打った1973年までの年数です。
 その約40年前の寮生生活を送っていた知人は、当時と比べて「樹がずいぶん太くなった」と語っていました。今でも夜10時には人口20万を超える都市にしてはずいぶん暗い感じの市街地ですが、ましてや1987年のつくば市成立よりずっと前の学生生活は「勉強」とか「恋愛」とか以外の選択肢はないということを雑誌等で読んだ記憶があります。ところが今でもそんな事情はさほど変わってもいないようです。(→参考。「恋人アリの33%は同棲」)

 ところで、韓国にはこのような計画都市があったかな?と考えてみると、大田広域市にある韓国科学技術院(KAIST)を中心とした一帯。大徳(テドク)研究団地はまさに筑波研究学園都市をモデルにつくられたということで、KAISTの他にも原子力研究所、電子通信研究院、生命工学研究院等、17の政府関連研究機関と国立忠南大学等のほか、LG等企業の研究所など100余の機関が2,777万㎡に集積し、約1万7千人の研究者が研究に従事しているということですが、私ヌルボはその近くを素通りして儒城温泉に行ったのでよくわかりません。

 さてと、個人的には「つくば市に初めて来た」ということよりも「ここまで横浜から50ccバイクで来た」ことが特筆すべきことかも。

 たまたま昨日は牛久の東日本入国管理センターに見学に行ってきたのです。1月の東京拘置所(小菅)、8月の東京入管(品川)に続き、法務省所管の施設の3度目の見学。その内容は省くとして、筑波大学での所用とセットで移動の便を考えると、バイクがよかろうと考えた次第です。
片道約100㎞、走行時間は正味4時間だったので、正直なところかなり疲れはしましたが、10年ほど前の「和歌山→横浜を2日で走行」のことを思えばそんなに驚き呆れられるほどのレベルでもないでしょう、ね。

 そういえば、と何につけても「韓国の場合は・・・」と考えるのが習い性となっているヌルボ、韓国では日本からのマイカーの持ち込みはOKだがバイクはだめだったな、と思いつつネット検索で確認してみると、アレレ、→<バイク(車)でフェリーに乗って韓国へ行くページ>というサイトに「2005年7月、日韓の規制緩和により日本のナンバーそのままで、お隣の国、韓国を走れるようになった」と書いてあるでないの! いやー、もう8年も前にそういうことになってたんですね。

 上記のサイト以外にも<いざ韓国へ バイクで気楽に楽しくツーリングしましょ(^^)><サラリーマン自由人のツーリング日誌><【の】BLOG><徒然なるままに>等を読むと、手続きの段階から韓国での自身のツーリングの記録、韓国のバイクや道路事情等々がいろいろ書かれていておもしろいのです。

 これらを読んで再確認したのは「やっぱり韓国でバイクには決して乗らないゾ!」ということです。その理由は今晩は疲れていて眠たいので略しますが、多少なりとも韓国の交通事情に通じている人ならわかると思います。詳しくは<徒然なるままに>あたりを読んでみて下さい。

韓国内の映画 Daumの人気順位 と 週末の興行成績[10月4日(金)~6日(日)]

2013-10-08 21:55:36 | 韓国内の映画の人気ランク&興行成績
 このところ映画を観ていないなー、とメモをたどってみると、9月27日シネマ・ジャック&ベテイで「ポランスキー 初めての告白」と「ローズマリーの赤ちゃん」を続けて観たのが最後。目当ては前者。彼の人生は、並みの映画よりはるかにドラマチック。1933年パリで生まれたポランスキーは3歳の時ポーランドへ。第2次大戦の直前一家はクラクフからワルシャワに移り、6歳の時にドイツの侵攻に遭います。食糧は不足し、彼らユダヤ人はゲットーに送られますが、彼は父親が有刺鉄線を切った穴から脱出します。「戦場のピアニスト」には、自身が体験したり直接見た光景がいくつも取り入れられているのですね。しかし6~12歳という時期にちゃんとした教育を受けられず、初めてまともに読んだという「ローランの歌」で文字を覚えたという彼は、ボーイスカウトの活動や映画を観て知識と教養を身につけていったということのようです。社会主義体制下、「6人を使用していた事業主」の息子という理由で(北朝鮮風にいえば「成分がよくない」)映画の学校に落ちた彼にとって、非常にラッキーだったのが俳優として彼に注目していたワイダ監督からの思いがけない出演依頼。その後監督としてのデビュー作「水の中のナイフ」が外国で評価されてからのもろもろは、私ヌルボなりに過去の記憶を反芻。そうか、あの衝撃的だったシャロン・テート事件は1969年のことだったんだなー。映画の最後で、墓誌に何か1つ記すならどの作品かと問われて「戦場のピアニスト」と答えているのは当然かも。ただヌルボ個人としては「死と乙女」が一番強く印象に残っています。

 先週書いた<コリアン・シネマ・ウィーク 2013>のこと。今日までに韓国文化院から当選メールが来てないということは「ハズレ」ってことかな? 残念!
 [→夜11時58分の追記]・・・と思ったら、夜10時20分頃になって申し込んでいた10月21日(月)上映の2作品とも「観覧ご招待」のメールが届きました。ヤター!! あきらめていた分よけいにウレシイ。(比較的前の方でノートに何やら書いたりしてるのがたぶん私ヌルボです。)

           ★★★ Daumの人気順位(10月8日現在上映中映画) ★★★

【ネチズンによる順位】

①ロデンシア:魔法王国の伝説  9.6(20)
②ニュー・シネマ・パラダイス  9.4(470)
③描きたいこと(韓国)  9.4(37)
④THE HERO(韓国)  9.3(22)
⑤道の上で(韓国)  9.3(64)
⑥ドラゴン怒りの鉄拳  9.1(47)
⑦怪盗グルーのミニオン危機一発  8.9(141)
⑧グラン・ブルー  8.9(111)
⑨ブルー・ジャスミン  8.7(53)
⑩願い(韓国)  8.6(401)

 ①④⑩が新登場です。
 ①「ロデンシア:魔法王国の伝説」はペルーとアルゼンチン合作のアニメ。ロデンシアは神秘的な森の中の平和な魔法王国。そこで最高の魔法使いを夢見るアダムはロデンシア第一の魔法使いブルーに授業を受けるが、怖がりで小心な性格のせいにミスだらけ。そんなある日、偶然に闇の魔術師の悪党ロテクスが王国を独り占めしようとするゆゆしき事実を知る。アダムは仲間たちと共にロデンシアを救うために伝説の強力な宝物を探すため果敢な旅を始める。・・・うーむ、何度も聞いたような話みたいだな。韓国題は「로덴시아 : 마법왕국의 전설」です。なお、韓国の漫画・アニメコラムニストの宣政佑(mirugi)さんの9月21日のツイートを見ると、韓国で上映される外国アニメについて次のようなことが書かれていました。
 「韓国では今年だけでアメリカと日本以外にイタリア、ノルウェー、ペルー、フランス、デンマーク、フィンランド、イギリス、ドイツ、タイ、香港、中国、アルゼンチンの子供アニメが公開され、そこそこヒットした作品もある。・・・例えば韓国では2013年今年だけでペルーアニメが3作品も劇場公開された。『ILLUSIONAUTS』『Rodencia y el Diente de la Princesa』『THE DOLPHIN:STORY OF DREAMER』。・・・デンマークのアニメも3作品劇場公開。アニメの国籍に無頓着な大衆の雰囲気も一つの理由ではないかと思う。見た目が近いならアメリカアニメもペルーアニメもデンマークアニメも同じ出発点だという…。」
 ④「THE HERO」は、スーパーヒーロー物ではなく、ファミリー向けのヒューマンコメディ。1人で子育てに必死な父(オ・ジョンセ)と、子ども向けドラマ「サンダーマン」が大好きな息子。ところが「サンダーマン」は視聴率不振のため放送終了すると、息子は極度に落ち込んでしまいます。そんな息子を見かねて、父ジュヨンは自らがサンダーマンになることを決意し、恥ずかしい衣装を着て変身します・・・。高評価の作品なのに下の興行成績のランキングは20位(1502人)。上映館数が9館ということで、キム・ボンハン監督が「大きな企業から安定的な投資を受け、頑張りたかったが、僕が及ばなかったようだ。実は中小映画は予算のため、観客に会えるチャンネルが限られている」と語っている(→コチラ)気持ちがわかります。原題は「히어로」です。
 ⑩「願い」は後述。
 
【専門家による順位】

①ザ・マスター  9.0(5)
②蜂蜜  8.5(2)
③悲しみのミルク  8.0(2)
④雪国列車(韓国・米・仏)  7.6(6)
⑤ブルー・ジャスミン  7.5(6)
⑥悲しみを聴く石  7.5(2)
⑦ブエノスアイレス恋愛事情  7.3(3)
⑧25年目の弦楽四重奏  7.2(4)
⑧父の秘密  7.2(4)
⑧グランド・マスター  7.2(4)

 ⑥「悲しみを聴く石」が初登場です。亡命アフガン作家アティグ・ラヒミのゴングール賞受賞小説「忍耐の石」を、作家自身が監督として映画化した作品。ある内戦中の町で、かつては戦闘に参加して英雄とよばれたが負傷して植物状態になった夫の世話をする妻が、反応のない夫に話すモノローグで物語が進む・・・。先月のアジアフォーカス福岡国際映画祭で上映されましたが、一般公開は未定。韓国題は「어떤 여인의 고백(ある女人の告白)」。

         ★★★ 韓国内の映画 週末の興行成績[10月4日(金)~6日(日)] ★★★

         韓国映画同士のトップ争いは「願い」が「カンチョリ」をかわしてトップ

【全体】

順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・・・・・週末観客動員数・・・・累計観客動員数・・・・累積収入・・・上映館数
1(11)・・願い(韓国)・・・・・・・・・・・・・・・・・10/02 ・・・・・・・・・・・・・483,840 ・・・・・・・・・811,730・・・・・・・・5,696・・・・・・・・640
2(37)・・カンチョリ(韓国)・・・・・・・・・・・・・10/02・・・・・・・・・・・・・407,697・・・・・・・・・・779,823・・・・・・・・5,645・・・・・・・・683
3(1)・・観相(韓国) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・9/11・・・・・・・・・・・・・・290,723・・・・・・・・8,712,855・・・・・・・63,083 ・・・・・・・484
4(2)・・死霊館・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・9/17・・・・・・・・・・・・・・213,587・・・・・・・・2,043,244・・・・・・・14,796・・・・・・・・423
5(新)・・プリズナーズ ・・・・・・・・・・・・・・10/02・・・・・・・・・・・・・・・75,571 ・・・・・・・・・141,274・・・・・・・・1,048・・・・・・・・294
6(3)・・スパイ(韓国)・・・・・・・・・・・・・・・・・9/05・・・・・・・・・・・・・・・51,212・・・・・・・・3,405,576・・・・・・・24,316・・・・・・・・224
7(6)・・怪盗グルーのミニオン危機一発・・9/12・・・・・・・・・・・・・40,374・・・・・・・・・・894,290・・・・・・・・6,145・・・・・・・・203
8(5)・・モンスターズ・ユニバーシティ・・・9/12 ・・・・・・・・・・・・・・36,483・・・・・・・・・・821,226・・・・・・・・5,549・・・・・・・・213
9(新)・・ロデンシア:魔法王国の伝説・・10/02・・・・・・・・・・・・・・31,957・・・・・・・・・・・58,399・・・・・・・・・・377・・・・・・・・220
10(新)・・ジャングル・バンチ ・・・・・・・・・10/02・・・・・・・・・・・・・・22,025・・・・・・・・・・・41,824・・・・・・・・・・269・・・・・・・・217
         :氷上への帰還
       ※KOFIC(韓国映画振興委員会)による。順位の( )は前週の順位。累積収入の単位は100万ウォン。

 話題のハリウッド大作がなく、韓国映画の新作同士のトップ争いは「願い」がわずかに「カンチョリ」を抑えてトップに。1位から落ちた「観相」は900万人にとどくかどうか・・・。
 今回の新登場は1・2・5・9・10位の5作品と半分が交代。
 1位「願い」。雨降りのある朝、通学中の女の子ソウォンは酒に酔った男に連れて行かれ、信じられない「事故」に遭う。・・・つまり、児童に対する性暴行です。同じテーマの作品は話題になった「トガニ」等々過去いくつもありました。やはり同じ素材の映画「悪い血」は、犯罪者に対する復讐の物語でしたが、この「願い」は、被害者家族が暗いトンネルを経て再び日常を取り戻すまでの歩みと周囲の人々の願いが込められた作品です。両親を演じるのがソル・ギョングとオム・ジウォン。ソル•ギョングはインターネットで見つけた被害児童の父が書いた要請の手紙を読んで出演に決定的な影響を受けたそうです。しかし、こうした作品がこれだけ作られるということは、そんなひどい現実が続いているということか・・・。
 2位「カンチョリ」は、釜山が舞台のアクション・ドラマ。釜山港で荷役の仕事をして日々暮らしているカンチョリ(ユ・アイン)は、場所柄(?)暴力団とも関わっていますが、めげない根性を持った青年です。ある日ソウルから旅行に来た自由な性格のスジ(チョン・ユミ)に会い、わずかながら笑顔を取り戻した彼は、初めて外の世界に出てみようという夢を抱き始める。しかし、具合が悪かった母の病状が急に悪化します。人生の岐路に置かれたカンチョリに、組織のボスのサンゴン(キム・ジョンテ)は 危険な選択を提示するのですが・・・。原題は「깡철이」。
 5位「プリズナーズ」はアメリカのサスペンス。娘とその友だちを誘拐された田舎町の大工が、地元警察の遅々とした捜査にしびれを切らし、犯人らしき男を拷問します。その男は近所に住む、精神年齢10歳程度の心優しき青年ですが、殺人者かもしれません。しかし娘たちの消息は依然不明。その男は本当に犯人なのか? 韓国題は「프리즈너스」。日本公開は未定のようです。
 9位「ロデンシア:魔法王国の伝説」は上述しました。
 10位「ジャングル・バンチ:氷上への帰還」は、フランスのアニメ。前述しましたが、やはり韓国では日本やアメリカ以外だけでなく各国のアニメ上映がにつきますね。日本やこれまで見て感じていたことでもあります。この作品の主人公は、偶然ジャングルで生まれて野生の猛獣に成長したペンギンのモリス。一方、非道なセイウチの襲撃で危機に瀕している南極のペンギン村。ペンギンの兄弟ピンとポンは、伝説の"偉大なトラ'を探してはるかジャングルに向かい、モリスに出会います。ピンとポンの頼みに応えて、正義に燃えるモリスは南極のペンギン村が南極にかけつけますが・・・。韓国題は「정글번치 : 산으로의 귀환」。日本公開は未定。たぶんなさそう?

【多様性映画】

順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・・・・週末観客動員数・・・・累計観客動員数・・・・累積収入・・・上映館数
1(1)・・うちのソニ(Our Sunhi)(韓国)・・・・・・9/12・・・・・・・・・・・・3,162・・・・・・・・・・・・・・・59,539 ・・・・・・・・・458・・・・・・・・・・35
2(2)・・ブエノスアイレス恋愛事情・・・・・・・・9/12・・・・・・・・・・・・1,665・・・・・・・・・・・・・・・18,330 ・・・・・・・・・113・・・・・・・・・・18
3(3)・・アー・ユー・レディ?(韓国) ・・・・・・・・9/26・・・・・・・・・・・・1,367 ・・・・・・・・・・・・・・・6,552 ・・・・・・・・・・・47・・・・・・・・・・19
4(5)・・25年目の弦楽四重奏 ・・・・・・・・・・・7/25・・・・・・・・・・・・・・786・・・・・・・・・・・・・・106,057・・・・・・・・・・796・・・・・・・・・・・5
5(4)・・ロシア小説(韓国) ・・・・・・・・・・・・・・・9/19・・・・・・・・・・・・・・412 ・・・・・・・・・・・・・・・4,384 ・・・・・・・・・・・32・・・・・・・・・・21

 今回の新登場はありません。4位「25年目の弦楽四重奏」、息長く続いています。
 3位「アー・ユー・レディ?」は、先週記したように北朝鮮での教会の状況や統一問題をテーマにしたキリスト教関係のドキュメンタリーですが、今日10月8日のSARUさんのツイッターに釜山で観た感想が書かれてました。少し長いですが、引用させていただきます。
 「北朝鮮地下教会のドキュメンタリーだと思って観たのですが、必ずしもそうではない。(なお、北朝鮮に教会がないわけではない。)朝鮮にキリスト教が伝道された歴史、朝鮮王朝による弾圧から、神社参拝を強要した帝国日本による弾圧、そして朝鮮戦争で南北分断が固定化されていく、そうした現代の状況で韓半島のキリスト教徒たちはどう考えたら、どうしていったらいいのか、というような内容。 韓国とイギリスのキリスト教関係者が喋る喋る、・・・キリスト教が盛んでない日本から来て、無宗教なおいらが観るようなドキュメンタリーではありませんでした。韓国のキリスト教徒が観るものでした。上映終了後、客席の皆さんが互いに挨拶してたりして、ああ、教会の知り合いたちなんだなと。」

高校生にすすめる本360冊(1998年版&増補) [9]

2013-10-07 23:58:48 | 高校生にすすめる本360冊

 今回は、学問のおもしろさに触れてほしい、という本を24冊。

☆印はとくに推奨。×印は品切れまたは絶版中の本(多すぎる!) △は絶版・品切れでも単行本なら出ている本。
171田中琢
佐原真
考古学の散歩道岩波新書171~194=学問も本来はおもしろいものだ。
171は考古学と現代との関わりがわかりやすく語られる。
172は茶という日常的な嗜好品を素材に、資本主義の発達をグローバルに捉える。紅茶と砂糖に対する認識が開ける。
173は信長・秀吉時代の宣教師が日欧の生活・風俗を約600項目にわたり対比。「われわれの間では四歳の子供でも自分の手を使って食べることを知らない。日本の子供は三歳で箸を使って食べる。」 そして現代の女子高生はフォークで食べる。174は江戸時代の平凡なサラリーマンの日常が現代人の共感をよんだ話題の書。
175は難解なテーマをわかりやすく論じる。
176、子供の頃、あなたは自分以外はすべて幻影ではないかと疑ったことがありませんでしたか?
177は現代人、とくに若い世代の心理を具体例をあげて分析。思い当たるふしがきっとあるはず。
178では時代の狂気の実態とその背景を考えよう。
179は有名な伝説の背後の史実を探りつつ、中世のドイツの民衆の生活実態を明らかにする。やや難しいが推理小説的興味で読ませる。
180は紀元前以来中国史を賑わせた盗賊の実態。毛沢東の革命もその上に位置づける。楽しい語り口。
181は江戸時代の自然発生的な大衆の伊勢参宮と集団的乱舞。
182は国文学と歴史学と民俗学にまたがる。
183はわれわれが食べているバナナのほとんどを産するミンダナオ島の実態から日本とアジアとの関わりを多角的に照射する。同じ著者の「アジアの歩き方」(朝日)にはバナナをテーマにした小学校での楽しい授業記録がある。
184の著者は日本民俗学の祖。読みづらい著作が多いが、これは多少はマシか。「明治大正史」(講談社学術)も名著との評価が高い。
185は大洋に沈んだ古代大陸の謎。
186は生命と名誉をかけて病原菌と闘ってき学者たちのドラマ。あくなき探究心、多くの誤謬、犠牲的精神と無駄な死等。
187は恐竜絶滅の謎をスリリングで緻密な論理により解明する。結論もショッキング。188、ネコが顔を擦りつけてくるのはマーキングといってニオイをつけているんですよ。「イヌのこころがわかる本」もおもしろい。
189と190は数学の古典的名著。
191、故黒羽先生は私の尊敬する日本史教育の先生。日本史を学ぶ人、社会科教師を志す人はぜひ全著作を読んでほしい。
192・193は単なる語学テキストに非ずる言語学習は文化・社会等の全体的な理解に関わることがよくわかる。とくに外国語=英語と思い込んでいる人、会話が語学勉強のすべてと誤解している人は目からウロコが落ちるはず。
194、日本語も他国人からみれば外国語。<新橋>のシンのイントネーションがなのに<新宿>のシンがなのはなぜ? <新橋駅>になると、難しい。ウー。
172角山栄茶の世界史中公新書
×173フロイスヨーロッパ文化と日本文化岩波文庫
174神坂次郎元禄御畳奉行の日記中公文庫
×
175
市井三郎歴史の進歩とは何か岩波新書
176永井均<子ども>のための哲学講談社文庫

177
大平健やさしさの精神病理岩波新書
178森島恒雄魔女狩り岩波新書
179阿部謹也ハーメルンの笛吹男ちくま文庫
180高島俊男中国の大盗賊講談社現代新書
×
181
藤谷俊雄「おかげまいり」と「ええじゃないか」岩波新書
182益田勝美火山列島の思想ちくま学芸文庫
183鶴見良行バナナと日本人岩波新書
184柳田国男日本の伝説朝日文庫
×
185
アンドレエーヴァ失われた大陸岩波新書
186クライフ微生物の狩人岩波文庫
187アラビー
ラブロック
恐竜はなぜ絶滅したか講談社ブルーバックス
188フォックスネコのこころがわかる本朝日文庫
189吉田洋一零の発見岩波新書
190遠山啓数学入門岩波新書
191黒羽清隆日中15年戦争教育社歴史新書
192渡辺吉鎔朝鮮語のすすめ講談社現代新書
193鐘ヶ江信光中国語のすすめ講談社現代新書
194佐々木瑞枝外国語としての日本語講談社現代新書


 やっぱり、自分の仕事とか専門分野とは直接関係ない本が楽しく読めます。エンタメ系と同様で、逃避みたいなものですね。忙しい時ほど関係ない本を読んできた、かも・・・。(笑)

 学生時代に思ったことですが、学問的に優れた業績をあげている先生の目は幼児のように輝いています。大人が疑問に思わないことを「なぜ? どうして?」としつこいほど訊くような幼児期のあくなき知的好奇心・探究心を持ち続けているということでしょうか。

 そんな情熱がこもっている著作は、学問の本でも感動しますね。

 今回のリストを見て、専門外とはいえ理科系の本が少ないのが残念。

韓国内の映画 Daumの人気順位 と 週末の興行成績[9月27日(金)~29日(日)]

2013-10-01 23:48:51 | 韓国内の映画の人気ランク&興行成績
 「朝鮮日報」の8月20日付の連載コラム「萬物相」で<홍상수 영화(ホン・サンス映画)>という記事があったことに気づき、読んでみました。(→コチラ。会員登録が必要。)
 ホン・サンス監督の映画作法等が書かれていますが、その中で次のようなくだりがありました。

 光化門裏路地に76席の小さな映画館がある。ホン•サンス映画は欠かさず上映する。昨日映画館従業員は言った。「ホン監督の映画は、新しい観客があまりありません。一度訪れた観客がまたやってきます。」

 2週間前の記事で、私ヌルボが「朝鮮日報」の裏手(徳寿宮の近く)の全州豊南会館でケーランタンを食べながら、窓越しに観たホン・サンス監督の最新作「ウリ・ソニ(우리 선희.われらのソニ)」の広告のことについて書き、下の写真を載せました。

         

 ところがこのコラムを読んでハタと気づきました。
 記事中の「光化門裏路地」の「76席の小さな映画館」というのがまさにこの全州豊南会館の隣りにあるんですね。つまり、これは広告というよも映画館の本体なのです。スポンジハウスというのがその名前で、公式サイトは→コチラ
 今度1人でソウルに行ったらこことか、他のミニシアターに行ってみたいものです。<コネスト>の参考記事は→コチラ

 10月18日(金)~22日(火)の<コリアン・シネマ・ウィーク>at韓国文化院の締め切りが6日(日)と迫ってきました。(詳細は→コチラ。)
 私ヌルボが行けるのは21日(月)の「ミナ文房具店」と「南へ走れ」だけかな? それも抽選に当たればの話ですが・・・。

           ★★★ Daumの人気順位(10月1日現在上映中映画) ★★★

【ネチズンによる順位】

①リング(韓国)  9.4(32)
②ニュー・シネマ・パラダイス  9.4(458)
③描きたいこと(韓国)  9.4(36)
④道の上で(韓国)  9.2(62)
⑤ドラゴン怒りの鉄拳  9.1(46)
⑥グラン・ブルー  8.9(108)
⑦カミーユ、ふたたび  8.9(36)
⑧怪盗グルーのミニオン危機一発  8.9(138)
⑨イン・ザ・ハウス  8.8(35)
⑩ブルー・ジャスミン  8.8(36)

 ②と⑩が新登場です。
 ②はトルナトーレ監督の名作の再上映。韓国題が「시네마 천국(シネマ天国)」ということは初めて知りました。
 ⑩「ブルー・ジャスミン」はウディ・アレン監督の新作。ジャスミンとはニューヨークで裕福に暮らしていた主婦 (ケイト・ブランシェット)の名前。結婚生活が崩壊してしまった彼女は、サンフランシスコで質素に暮らす妹の家に身を寄せて、心機一転仕事に燃えようとするのだが、職場では男性上司のセクハラに悩まされ・・・等々でなかなかうまくいかず。コメディー仕立てで楽しめるとなかなか好評のようです。韓国題は「블루 재스민」。日本公開は来年初夏とのことです。
 
【専門家による順位】

①ザ・マスター  9.0(5)
②蜂蜜  8.5(2)
③悲しみのミルク  8.0(2)
④ビフォア・ミッドナイト  7.7(4)
⑤雪国列車(韓国・米・仏)  7.6(6)
⑥ブルー・ジャスミン  7.5(6)
⑦ブエノスアイレス恋愛事情  7.3(3)
⑧25年目の弦楽四重奏  7.2(4)
⑧父の秘密  7.2(4)
⑧グランド・マスター  7.2(4)

 ②「蜂蜜」と⑧「父の秘密」が初登場です。
 ②「蜂蜜」は第60回ベルリン国際映画祭で金熊賞を受賞したトルコ映画。日本では2011年に公開されました。韓国題は「허니」。
 ⑧「父の秘密」は第65回カンヌ映画祭の「ある視点」部門でグランプリを受賞したメキシコ映画です。妻のルシアを失くした喪失感から抜け出せない男は、新しい土地でやり直そうと娘とともにメキシコシティへ引っ越すものの、なかなか喪失感から逃れられずにいます。娘は新しい学校で友だちもでき、楽しく過ごし始めますが、酔った勢いで関係を持った男子生徒との性行為を盗撮されてインターネットで流され、いじめの標的になってしまいますが、父親には話せないまま・・・。そんな父娘の間の小さなひび割れはやがて大きな裂け目となり、日常から逸脱してしまうことに・・・。韓国題は「애프터 루시아」。日本公開は11月2日です。

         ★★★ 韓国内の映画 週末の興行成績[9月27日(金)~29日(日)] ★★★

         「観相」が3週連続トップで800万人を超える。

【全体】

順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・・・・・週末観客動員数・・・・累計観客動員数・・・・累積収入・・・上映館数
1(1)・・観相(韓国) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・9/11・・・・・・・・・・・・・・671,768・・・・・・・・8,046,297・・・・・・・58,340 ・・・・・・・857
2(3)・・死霊館・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・9/17・・・・・・・・・・・・・・448,150・・・・・・・・1,559,728・・・・・・・11,292・・・・・・・・857
3(2)・・スパイ(韓国)・・・・・・・・・・・・・・・・・9/05・・・・・・・・・・・・・・234,267・・・・・・・・3,244,323・・・・・・・23,218・・・・・・・・407
4(新)・・ランナー、ランナー・・・・・・・・・・・・9/26 ・・・・・・・・・・・・・・94,428 ・・・・・・・・・120,644・・・・・・・・・・869・・・・・・・・362
5(4)・・モンスターズ・ユニバーシティ・・・9/12 ・・・・・・・・・・・・・・90,246・・・・・・・・・・748,629・・・・・・・・5,064・・・・・・・・296
6(5)・・怪盗グルーのミニオン危機一発・・9/12・・・・・・・・・・・・・89,636・・・・・・・・・・819,501 ・・・・・・・・5,643 ・・・・・・・306
7(17)・・ブルー・ジャスミン・・・・・・・・・・・・9/25・・・・・・・・・・・・・・36,073・・・・・・・・・・・54,647・・・・・・・・・・396 ・・・・・・・・207
8(6)・・パーシー・ジャクソンと・・・・・・・・・9/12 ・・・・・・・・・・・・・・33,880・・・・・・・・・・512,254 ・・・・・・・・3,742・・・・・・・・209
        オリンポスの神々:魔の海
9(7)・・シャドウハンター 骨の街 ・・・・・・9/12 ・・・・・・・・・・・・・・29,121・・・・・・・・・・561,124・・・・・・・・3,968 ・・・・・・・・187
10(新)・・ふるまい(韓国)・・・・・・・・・・・・・9/25 ・・・・・・・・・・・・・・11,064・・・・・・・・・・・18,626・・・・・・・・・・132 ・・・・・・・・159
       ※KOFIC(韓国映画振興委員会)による。順位の( )は前週の順位。累積収入の単位は100万ウォン。

 秋夕の大型連休が終わって、今回は軒並み動員数ダウン。「観相」も先週の222万人から激減しましたが、それでもトップの座を維持して800万人に達しました。
 今回の新登場は4・7・10位の3作品です。
 4位の「ランナー、ランナー」は、アメリカの犯罪スリラー。タイトルはポーカー用語なんだそうですが、意味よくわからず。韓国題は「히든 카드(切り札)」で、コチラの方がわかりやすいかも。優秀な頭脳の持ち主プリンストン大学院生リッチが主人公。しかし学費のローンを抱えながらも、その学費をオンライン賭博に嵌まって使い込んでしまいます。ところが彼は「ハウス」とよばれるオンライン賭博に絶対に勝てないある法則と陰謀があることに気づき、これを暴くためにコスタリカに行ってオンライン賭博界の大物イヴァンと会いますが、リッチの才能を見込んだイヴァンは膨大な金を提供して彼を賭博の世界に誘惑します。その提案を受け入れたリッチが派手な生活を続けていたある日、リッチを拉致したのはなんとFBI。その意図は・・・。
 7位「ブルー・ジャスミン」は上述しました。
 10位「ふるまい」は韓国のサスペンス・ロマン。原題の「짓(チッ)」というのは訳しにくい言葉。「つまらない真似をするな」の「真似」とか「おまえのしわざか」の「しわざ」に相当。つまり「よくないふるまい」。ここはいくつかの関連サイトと同様「ふるまい」としました。この作品のキーワードは「不倫」。女性教授ジュヒ(キム・ヒジョン)の夫ドンヒョク(ソ・テファ)が教授の教え子ヨンミ(ソ・ウナ)と不倫に落ちるのですが、その関係を知りながらも知らないふりをしてジュヒはヨンミを家に引き込みます。果たしてジュヒの隠された本心は何なのか? なんかドロドロした雰囲気だなー。

【多様性映画】

順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・・・・週末観客動員数・・・・累計観客動員数・・・・累積収入・・・上映館数
1(1)・・うちのソニ(Our Sunhi)(韓国)・・・・・・9/12・・・・・・・・・・・・6,395 ・・・・・・・・・・・・・・51,405・・・・・・・・・・395・・・・・・・・・・41
2(2)・・ブエノスアイレス恋愛事情・・・・・・・・9/12・・・・・・・・・・・・2,307・・・・・・・・・・・・・・・14,656 ・・・・・・・・・113・・・・・・・・・・18
3(新)・・アー・ユー・レディ?(韓国) ・・・・・・・9/26・・・・・・・・・・・・1,810 ・・・・・・・・・・・・・・・2,277 ・・・・・・・・・・・16・・・・・・・・・・20
4(新)・・ロシア小説(韓国) ・・・・・・・・・・・・・・9/19・・・・・・・・・・・・・・886 ・・・・・・・・・・・・・・・3,265 ・・・・・・・・・・・24・・・・・・・・・・21
5(6)・・25年目の弦楽四重奏 ・・・・・・・・・・・7/25・・・・・・・・・・・・・・779・・・・・・・・・・・・・・104,231・・・・・・・・・・781・・・・・・・・・・・5

 3・4位の2作品が新登場です。
 3位の「アー・ユー・レディ?」は2002年に同名作品がありますが、コチラは新作のドキユメンタリー。それも韓国に多いキリスト教系の、プロテスタントの福音主義的な観点から作られた作品です。テーマは朝鮮半島の統一問題。金日成政権樹立以来、クリスチャンたちが弾圧されてきた北朝鮮。そこの地下奥深くで教会が発見されたという衝撃的な真実は半島の統一の鍵になる、という。この映画の主張はシンプルで、一日も早くイエスの名で統一をした後、全世界に向けて、正確にはエルサレムにプロテスタントの "福音"を伝えなければならないということだそうです。ソマン教会などに直接言及して韓国の大型教会の弊害を強く批判した部分もあったり、北朝鮮経済が悪化し自然災害が発生したことを神の計画と説明したりしている点等は、信仰を同じくしている人以外はすんなり受け入れられないのでは、との評もあり。原題は「아유레디?」です。
 4位「ロシア小説」は韓国のミステリー。小説家シンヒョが27年間の植物人間状態から目覚めてみると、誰にも認められなかった過去の自分とは違い、彼の小説が大きく評価され、彼は‘伝説’的存在になっている。ところが、出版された小説を見ると自分が書いた原作とは完全に違うということに気づく。その疑問を解くために、彼は手がかりを握っている27年前の人物を探しに出る。対象は3人。シンヒョに代わって不滅の名作を完成させたのは誰か? うーむ、設定としてはおもしろそうかも。原題は「러시안 소설」です。

韓国のTV番組 週間視聴率ベスト20(2013年9月23日~29日)

2013-10-01 17:35:06 | 韓国のTV番組 週間視聴率ベスト20
 2011年に開局した4つの放送局中の1つがチャンネルA(채널A)。東亜日報系列のTV局です。このチャンネルAの便利なところは、その公式サイト(→コチラ)の上段にある「온 에어어(on air)」をクリックするだけでリアルタイム視聴ができること。「편성표(編成表)」から過去の番組を視聴することもできます。

 この局の毎週日曜23:00~「今会いに行きます(이제 만나러 갑니다)」という番組のことを最近人から教わって知りました。脱北者の美女たちを集めてのトークが昨年の番組開始以来人気を集めているとか。YouTubeにも常連出演者2人へのインタビューがアップされていました。(→コチラ。)
 この「番組のおかげで今まで北韓から来たことを明かせなかったのが言えるようになった」等々と語っています。

 私ヌルボ、9月に仲間と韓国に行った時にたまたまTVを見ていて初めて知ったのがKBS1で土曜の朝7:35~8:00の「南北の窓(남북의 창)」。帰ってから調べてみると「盧泰愚大統領時代の1989年3月14日から放送が続けられている」とウィキペディアにありました。<KBS WORLD>でも放映しているし、北朝鮮ウォッチャーはきっとずっと以前から見ているのでしょうね。しかし、放映されている北朝鮮の映像は朝鮮中央テレビあたりからほとんど取り込んでいるとみていいのかな?

【9月23日(月)~29日(日)】

①週末連続劇「ワン家の家族たち[왕가네 식구들]」(KBS2)  27.4%
 「最高だ、イ・スンシン」の後続番組。そういえば、2ヵ月前の記事で「莞島(ワンド)での撮影時IUが大好物のあわびを食べ過ぎて撮影中断だって!?」と書いたなー。私ヌルボも最近莞島に行ってあわびを食べましたが、食べ過ぎるほどまではフトコロ事情が・・・。
 それはおいといて「ワン家~」のこと。漢字だと「王家」ですが、誤解をさけてカタカナ書き。4世代が同居する家族。長女夫妻は会社が破産したため実家に身を寄せているのです。次女はできちゃった結婚の夫がニート。三女は小説家をめざして敢えて教師を辞めてしまう、ということで、父親の悩みは増えるばかり・・・。両親の世話をするため実家に戻る「サケ族(연어족)」、生活力がなく親のスネをかじり続ける「カンガルー族(캥거루족)」、妻の実家で生活する「妻(チョ)ワールド(처월드)」等々のリアルな家族問題を取り込んだドラマだそうです。恋愛、結婚、出産の3つをあきらめた「三抛世代(삼포세대)」という新語も関係あり。(→関係過去記事。)
 それにしても、この登場人物の名前は何なんだ!? 長女は왕수박(王スイカ)で次女は왕호박(王カボチャ)、ワン家の末っ子は왕대박(王大アタリ)ですが、その友人の女の子は구미호(クミホ.九尾狐)とはねー。長女の夫は고민중(苦悶中)で次女の夫は허세달(虚勢ダル)、三女の彼氏は최상남(最上男)等々。「シティーホール」の役名を思い出しました。

②日日連続劇「天まで届け、この想い[지성이면 감천]」(KBS1)  26.5%
 前回の22.2%からまた上昇し、順位も1つアップ。

③週末連続劇月火ドラマ「グッド・ドクター[굿닥터]」(KBS2)  19.7%
おっと、また医者か。サヴァン症候群を患う医者シオン(チュウォン)を中心に奮闘する小児外科医たちの姿を描くヒューマン・ドラマ。サヴァン症候群(→ウィキペディア)というのは特定の分野に限って優れた能力を発揮する知的障碍のことなのですが、暗記や計算の能力、芸術の才能の事例は読んだりしたことはあるものの、医者というのはどうなの?

④ドラマスペシャル「主君の太陽[주군의 태양]」(SBS)  18.8%
 「君の声が聞こえる」の後続。ソ・ジソプコン・ヒョジンの初共演ドラマはホラーの設定みたいですが怖くはないロマンティック・コメディ。自分の持つ霊視能力に悩んでいる女性ゴンシル(コン・ヒョジン)は、偶然出会ったショッピング・モールの社長ジュンウォン(ソ・ジソプ)の体に触ると幽霊が見えなくなるという事実を発見。そんな彼女をいかれた女と思って逃げようとしたジュンウォンですが、彼女との出会いで傲慢な拝金主義者の彼がだんだん変わっていく・・・のかな?

⑤KBSニュース9(KBS1)  17.5%

⑥「日夜」[일밤](MBC)  16.6%
 「日曜日 日曜日の夜に(일요일 일요일밤에)」です。前回と同順位。

⑦ギャグコンサート[개그콘서트](KBS2)  16.4%
 前回から3ランクアップ。

⑧日日連続劇「オーロラ姫[오로라공주]」(MBC)  15.5%
 前回から4ランクアップ。

⑨週末特別企画「スキャンダル[스캔들]」(MBC)  15.4%
 コチラは1ランクダウン。

⑩「全国歌自慢[전국노래자랑]」(KBS1)  14.9%
 ⑦位から3つダウン。

⑪無限挑戦[무한도전](MBC)  13.9%
 ⑳位から再浮上。

⑫キム・ビョンマンのジャングルの法則inマヤのジャングル[김병만의 정글의 법칙 IN 마야정글]」(SBS)  12.9%
 アマゾンで③位→ニュージーランドで⑩位、前々回はヒマラヤで⑤位、そして前回がカリビアンで⑨位。残されたジャングルはどこかな? やっぱりアフリカ方面? それともニューギニア?

⑬KBSニュース7(KBS1)  12.5%

⑭「人間劇場[인간극장]」(KBS1)  12.2%
 月~金の7:00~7:35に放映しているドキュメンタリー番組。

⑮週末ドラマ「愛するのは自分のため[사랑해서 남주나]」[사랑해서남주나](MBC)  12.0%
 「金よ出てこい さっさと」の後続ドラマ。これもいかにも現代らしい家族の問題がテーマ。熟年再婚によってそれまで他人同士だった人たちが家族になり、たがいに認め合いながら成長していく姿を描く。「ワン家の家族たち」等々、最近の家族ドラマの設定自体に韓国社会と家族のあり方が大きく変貌してきていることが見てとれます。

⑯歌謡舞台[가요무대](KBS1)  11.7%

⑰瞬間捕捉 世の中にこんなことが[순간포착 세상에 이런 일이](SBS)  12.2%
 順位は2ランクダウン。

⑱スターキング[스타킹]」(SBS)  11.4%
 あら、この番組初登場だったのか。毎回びっくりするような特技・ 特徴を持つ人を韓国だけでなく世界中からから紹介するバラエティ番組で、カン・ホドンと歌手BOOMがMCを担当しています。

⑲ラブ・イン・アジア[러브인아시아](KBS1)  11.3%
 韓国に嫁いできたアジア人の嫁のいる家庭を紹介する番組。

⑳特別企画「結婚の女神[결혼의여신]」(SBS)  11.4%
 有能なラジオ作家のジヘ(ナム・サンミ)は財閥である婚家になじめず、夫テウク(キム・ジフン)とのもめ事で心が晴れないまま済州島(チェジュド)に出張兼休暇に出かけ、偶然出会ったヒョンウ(イ・サンウ)と同行して・・・。エッ、「赤裸々なラブシーンに続くベッドシーン」だって!? ・・・という形で始まったドラマ。信念や価値観が異なる主人公たちが愛と葛藤を通じて結婚の意味を見つめなおすというテーマだそうです。同じく6月スタートの週末ドラマでは「スキャンダル」に負けちゃってますね。共通点は「“財閥”がトラブルメーカー」ということだそうです。「不倫」ということでは「オーロラ姫」とも共通とか。