ヌルボ・イルボ    韓国文化の海へ

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韓国内の映画 NAVER映画の人気順位 と 週末の興行成績 [10月5日(金)~10月7日(日)]

2018-10-09 22:26:21 | 韓国内の映画の人気ランク&興行成績
▸昨日(8日)、9月23日以来久しぶりに映画を観てきました。それも2本連続で。久しぶりといっても15日間なんですけどね。5~7日九州に行って懸案事項を片付けてきたので「さあ、リラックスするぞ!」とシネマ・ジャック&ベティに行ったのですが、いやあ、観た映画が2本ともリラックスするどころか、その反対で・・・(笑)。
 1本目は「判決、ふたつの希望」。キリスト教徒もイスラム教徒もいるレバノンを舞台に、キリスト教徒のレバノン人と、パレスチナ難民の2人の男の間のちょっとしたもめごとが裁判沙汰となり、拡大して、という話ですが、背景として70~80年代頃からのILOやイスラエル、キリスト教系団体等の間で繰り広げられてきた残虐な事件があったことが明らかにされていきます。それは一方的なものではなく双方向で、どちらの側にも悲劇の犠牲者が多数生み出されてしまいました。そんな状況を鳥瞰図的に、また個別具体的に描いたヒューマンな作品です。私ヌルボが思い出したのは、最近読んだ韓国小説チョンスチャン「羞恥」。最近発掘された朝鮮戦争当時の集団虐殺の犠牲者の遺骨について、加害者は北朝鮮軍か米軍かで対立する話。もう1つは、一昨日見学してきた福岡県筑前町にある大刀洗平和記念館(→公式サイト)。かつてこの地にあった大刀洗飛行場は第2次大戦当時日本陸軍が東洋一と誇った航空戦略の拠点でした。ところが1945年3月27日のB29による大規模な空襲で破壊されつくします。この時、避難途中の国民学校(小学校)児童24人が即死、7人が病院で息を引き取ったということは今どれほどの人が知っているでしょうか? (私ヌルボが知ったのは行く数日前でした。) 「この責任はアメリカにある」とか「開戦した日本の指導者たちの責任」などと争う以前に深く考えるべきことがあると思います。(この記念館には、特攻隊等で戦死した兵士たちの遺影もあります。中にはB29に体当たりして散った人も。そしてそのB29に乗っていた米兵たちが一緒に笑って写っている写真も・・・。)

▸2本目の映画は「教誨師」。今年2月に急逝した大杉漣さんの遺作で、最後の主演映画です。またエグゼクティブ・プロデューサーも務め、唯一のプロデュース作品でもあります。彼自身の思いがこもった作品だと思います。大杉さんが演じたのは教誨師。つまり死刑囚と唯一面接できる民間人で、ふつう牧師や僧侶(本作品では牧師)で、面接を望む死刑囚と対話し、悔悟を促したり、助言したりする人のことです。何人もの死刑囚が登場します。いろんな人がいて、いろんな話をします。題材が題材だけに、すごく「重い」です。
 たまたま昨日(8日)の毎日新聞<万能川柳>に、こんな句が載っていました。
  「死刑までどれほど税をつかったか」
 この句に対して、私ヌルボも一句浮かびました。
  「死刑囚の命を税金(かね)で量る是非

※先週は「朝鮮日報」の「封切映画 ぴったり10字評」と「週末の劇場街」は掲載されませんでした。

         ★★★ NAVERの人気順位(10月9日現在上映中映画) ★★★

     【ネチズンによる順位】
          ※[記者・評論家による順位]とも、評点の後の( )は採点者数。初公開から1年以内の作品が対象。

①(-) アリー/ スター誕生  9.41(186)
②(2) 万引き家族(日本)  9.23(2,767)
③(3) カメラを止めるな!(日本)  9.20(707)
④(4) 私の最後のスーツ  9.20(70)
⑤(5) 蝶よ蝶よ(韓国)  9.18(33)
⑥(9) ターシャ・テューダー 静かな水の物語  9.12(274)
⑦(7) 劇場版 ポイン:スーパー変身の秘密(韓国)  9.09(82)
⑧(-) プーと大人になった僕  9.08(1,327)
⑨(8) ホイットニー  9.07(374)
⑩(10) ルイスとエイリアンたち9.00(432)

 ①と⑧の2作品が新登場です。
 ①「アリー/ スター誕生」は、1937年公開の「スタア誕生」の3度目のリメイクで、レディー・ガガとブラッドリー・クーパー(監督も)が主演。「スタア誕生」の主演女優は第1回アカデミー賞主演女優賞受賞者のジャネット・ゲイナー、1954年のリメイクではジュディ・ガーランド、1976年のリメイクではバーブラ・ストライサンドか。なんか作品自体輝かしさが感じられます。物語はというと、無名歌手アリー(レディー・ガガ)が公演をしていたバーで偶然トップスターのジャクソン・メイン(ブラッドリー・クーパー)と出会い、自分を愛してくれる彼の助けを借りてスターにのぼりつめていきますが、ジャクソンは、子供の頃の傷やアーティストとしての苦悩の中で身を持ち崩していきます・・・という、オリジナルと名前等細かな点は違いがあるようですが、基本的な筋立ては踏襲されているようです。韓国題は「스타 이즈 본」日本公開は12月21日です。
 ⑧「プーと大人になった僕」は、日本では(めずらしいことに)一足早く9月14日に公開されています。韓国題は「곰돌이 푸 다시 만나 행복해」です。

     【記者・評論家による順位】

①(1) 万引き家族  8.13(8)
②(-) 暗数殺人(韓国)  8.04(7)
③(2) 生き残った子[最後の息子](韓国)  7.67(9)
④(3) search サーチ  7.60(10)
⑤(-) ビューティフル・デイ  7.40(10)
⑥(-) アリー/ スター誕生  7.40(5)
⑦(5) ザ・スクエア 思いやりの聖域  7.25(12)
⑧(7) 春川、春川(韓国)  7.25(8)
⑨(6) 暗い夜(韓国)  7.20(5)
⑩(-) 聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディア  7.14(7)
⑩(7) カメラを止めるな!(日本)  7.14(7)

 ②⑤⑥の3作品が今回の新登場です。
 ②「暗数殺人」については後述します。
 ⑤「ビューティフル・デイ」は、カンヌ映画祭で脚本賞と男優賞を受賞したイギリスのミステリー&バイオレンス。日本ではすでに6月公開されていますが、私ヌルボは観ていません。観た人のレビューをざつと見ると、評価が大きく分かれる感じ。専門家筋の評価は韓国ほど高くはないのでは? 韓国題は「너는 여기에 없었다(おまえはここにいなかった)」で邦題とは全然違いますが、コチラが原題「YOU WERE NEVER REALLY HERE」には忠実。新文芸坐で上映中。ヒマ(と金)があれば観に行ってもいいんですけどねー。
 ⑤「アリー/ スター誕生」については上述しました。

         ★★★ 韓国内の映画 週末の興行成績10月5日(金)~10月7日(日) ★★★

         日本よりひと月先に公開の「ヴェノム」が新登場で1位

【全体】
順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・週末観客動員数・・累計観客動員数・・・累積収入・・・上映館数
1(新)・・ヴェノム ・・・・・・・・・・・・・・・・・・10/03・・・・・・・・1,158,577 ・・・・・・2,081,140 ・・・・・・・18,550・・・・・・1,293
2(16)・・暗数殺人(韓国)・・・・・・・・・・・・・10/03 ・・・・・・・・・995,753 ・・・・・・1,612,405 ・・・・・・・14,294・・・・・・1,177
3(1)・・安市城(韓国)・・・・・・・・・・・・・・・・・9/19 ・・・・・・・・・234,880 ・・・・・・5,132,089 ・・・・・・・43,910 ・・・・・・・649
4(新)・・プーと大人になった僕 ・・・・・・10/03 ・・・・・・・・・127,331・・・・・・・・227,721 ・・・・・・・・1,957 ・・・・・・・527
5(2)・・交渉(韓国)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・9/19 ・・・・・・・・・・42,214 ・・・・・・1,931,373 ・・・・・・・16,786 ・・・・・・・478
6(21)・・名探偵シャーロック・ノームズ・・10/03・・・・・・・・26,083・・・・・・・・・59,339・・・・・・・・・・461 ・・・・・・・414
7(3)・・明堂[ミョンダン](韓国) ・・・・・・・9/19・・・・・・・・・・・19,969 ・・・・・・2,065,427 ・・・・・・・17,751 ・・・・・・・340
8(4)・・ワンダフル・ゴースト(韓国)・・・・9/26・・・・・・・・・・・12,100・・・・・・・・439,910 ・・・・・・・・3,647 ・・・・・・・165
9(5)・・死霊館のシスター・・・・・・・・・・・・9/19・・・・・・・・・・・・8,592 ・・・・・・1,007,370 ・・・・・・・・8,743 ・・・・・・・118
10(6)・・search サーチ ・・・・・・・・・・・・・・・8/29・・・・・・・・・・・・5,727 ・・・・・・2,944,141 ・・・・・・・25,236 ・・・・・・・・52
     ※KOFIC(韓国映画振興委員会)による。順位の( )は前週の順位。累積収入の単位は100万ウォン。

 秋夕(チュソク)連休を制した「安市城」は500万人の中ヒットラインを超えたところで3位に後退しました。代わって久しぶりにアメリカ映画がトップです。
 今回の新登場は1・2・4・6位の4作品です。
 1位「ヴェノム」は、「マーベルコミック史上最も謎に満ちたダークヒーロー」を描いたアメリカのアクション大作。しかし、なんだ、このタイトルは!? 私ヌルボ、一瞬<ウェノム(倭奴)>かと思っちゃった(笑)。まあ韓国でそんな連想をする人はいないようですけどね。敏腕記者エディ・ブロック(トム・ハーディ)は、人体実験で死者を出しているという<ライフ財団>の真相を追う中、ある“最悪な”ものを発見し、接触してしまいます。それは<シンビオート>と呼ばれる地球外生命体でした。その接触により彼の体はグロテスクな<ヴェノム>に変身し、そして・・・。韓国題は「베놈」。日本公開は11月2日です。
 2位「暗数殺人」は、韓国の犯罪&ドラマ。しかし、なんだ、このタイトルは!? いくら漢字題がそうなってるといっても、日本には<暗数>という言葉はないし意味不明。→<ソウルナビ 映画>は愛用してますが、ここらへんは不親切。通じる日本語にすると「まやかし殺人」といったところかな? 収監された殺人犯カン・テオ(チュ・ジフン)は、刑事キム・ヒョンミン(キム・ユンソク)に自分がやったという他の殺人を告白します。「7人、合計7人です」。ヒョンミンは、刑事の勘でその告白が真実であることを確信し、テオが書いた7件の殺人リストを信じて捜査に入りますが、そこに巧妙に嘘と真実が混ざっていることに気づきます。捜査を続けるヒョンミンでしたが、公訴時効の日が近づいてきます・・・。とくに派手なアクションといった見せ場には欠けても、根気よく地道に捜査を続けるオーソドックスな刑事物として高評価を得ているようです。原題は「암수살인」です。
 4位「プーと大人になった僕」は、上述のように日本では9月に公開されています。
 6位「名探偵シャーロック・ノームズ」は、米英合作のアニメ。森の妖精ノームたちが登場するアニメ「ノミオとジュリエット」(2011)に続くシリーズ第2弾です。ロンドン最大の花火を前に都市全体を混乱に陥れた妖精失踪事件が発生します。そこで登場したのが最高の探偵シャーロック・ノームズとパートナーのワトソン。捜査を進めると、この事件が死んだとばかり思っていた宿敵モリアティーのしわざであるが明らかになります・・・。エルトン・ジョンが製作総指揮と音楽を手がけたとのことです。韓国題は「셜록 놈즈」。日本ではブルーレイ+DVDセットが8月に発売されています。

【多様性映画】
順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・・週末観客動員数・・累計観客動員数・・・累積収入・・・・上映館数
1(4)・・ターシャ・テューダー ・・・・・・・・・・・9/13・・・・・・・・・・・・3,227・・・・・・・・・31,188・・・・・・・・・・249・・・・・・・・・・35
2(34)・・ティー・ペット ・・・・・・・・・・・・・・・10/03・・・・・・・・・・・・3,214・・・・・・・・・・8,928・・・・・・・・・・・71・・・・・・・・・129
3(3)・・追想 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・9/20・・・・・・・・・・・・1,899・・・・・・・・・27,515・・・・・・・・・・238・・・・・・・・・・40
4(2)・・ジャコメッティ 最後の肖像 ・・・・9/27・・・・・・・・・・・・1,785・・・・・・・・・14,159・・・・・・・・・・124・・・・・・・・・・37
5(5)・・カメラを止めるな!(日本)・・・・・・・8/23・・・・・・・・・・・・1,136・・・・・・・・・15,076・・・・・・・・・・131・・・・・・・・・・10

 2位「ティー・ペット」(仮)が新登場です。原題は「阿唐奇遇」という中国アニメで、英題が「Tea Pets」。このティー・ペットとは、お茶を淹れる時に用いるちょっとした小道具のこと。中国語では<茶寵>というそうです。お茶をかけると色が変わる人形とか、離れたところにある茶碗にアクロバティックにお茶を注いだりする道具とかです。ティー・ペット仲間の中で自分だけ個性を発揮できないでいる阿唐(アタン)はある日小さなロボットと出会います。自分が誰で、どこから来たのかも憶えていないそのロボットがただ1つ憶えているのは自分が未来から来たこと。阿唐はそのロボットと自分の未来のために一緒に冒険の旅に出発します・・・。いかにも中国っぽい「トイ・ストーリー」ってとこか? 韓国題は「토이무비: 미래대모험(トイ・ムービー:未来大冒険)」です。(日本でも中国アニメをもっと観られたらいいのに。)

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