ヌルボ・イルボ    韓国文化の海へ

①韓国文学②韓国漫画③韓国のメディア観察④韓国語いろいろ⑤韓国映画⑥韓国の歴史・社会⑦韓国・朝鮮関係の本⑧韓国旅行の記録

韓国内の映画の興行成績 [9月25日(金)~9月27日(日)]と人気順位 ►秋夕の5連休に入った韓国、足は映画館に向かうか? ►7ヵ国合作のドキュメンタリー「ボテロ」、韓国で公開されたが日本では?

2020-09-30 23:56:36 | 韓国内の映画の人気ランク&興行成績
▶めっきり涼しくなり、映画関係のイベントの季節に入ってきました。
<花開くコリア・アニメーション2020>は、以下の3会場で開催。公式サイトが複雑(?)ですが、→コチラのサイトで右上のメニューを展開すればOK。あ、大阪会場は4月にやって今回はアンコール上映なので→コチラ参照。
   大阪会場[中崎町・PLANET+1] 10月11日(日)
   東京会場[アップリンク渋谷] 10月17日(土)・18日(日)
   名古屋会場[愛知芸術文化センター] 10月24日(土)・25日(日)
 東京・名古屋会場では今回唯一の長編アニメ「魔王の娘、イリシャ」が上映されます。また大阪会場では特別企画として〈アニメーション映画の源流1911-1942〉が上映されます。←日本のアニメ草創期の作品がいろいろ観られます。(※「煙突屋ペロー」はぜひ観てほしい!)
<第21回東京フィルメックス> 10月30日(金)~11月5日(木)
 昨年の公式サイト内で今年の情報がポツポツ出てきていますが、→コチラを見ると特別招待択品の中にホン・サンス監督の新作「逃げた女」が入っていました。
<第33回東京国際映画祭> 10月31日(土)~11月9日(月) 公式サイトは→コチラ
   ※上映スケジュールの発表は10月6日(火)15:00
<オンライン コリアン・シネマ・ウイーク2020> 11月1日(日)~7日(土)
   公式サイト→コチラ
   ※申込締切:10月20日(火)
 例年なら韓国文化院で開催ですが、オンラインとは。それも7作品を1回ずつで7日間。応募状況がどうなるか見当がつきません。4作品の日本初公開作に注目。

▶この1週間で観た映画の短評。「悪人伝」★★★☆(登場人物が型にはまりすぎ、凄みに欠ける連続殺人犯も「チェイサー」等に遠く及ばず。まあそれなりに楽しめたが。) 「ワンダーウォール 劇場版」★★★★☆(半世紀前の「三島由紀夫vs東大全共闘 50年目の真実」の流れで観たが京大吉田寮の問題は現在。たしかに経済価値優先で失われたものは大きい。) 「許された子どもたち」★★★★☆(子どもたちの問題を生むのは大人たち。個々の大人だけでなく社会全体が問題。) 「二人ノ世界」からとても見応えのある作品が続いていますが、いずれも業界大手の制作ではなく宣伝費もかけられないので認知度が低く、上映館が少ないのが非常に残念です。今後再上映の機会があれば多くの皆さんにぜひ観てほしいと思います。

▶今回の記事で初登場の映画は、韓国映画ではないのですが7ヵ国合作のドキュメンタリー「ボテロ」。記事の末尾で書いたように、2004年だったか(??)恵比寿ガーデンシネマに映画を観に行った時にたまたまボテロの彫刻展を見たのが彼の作品との最初の出会いでした。外国映画の公開本数は日本より韓国の方が多いと何かで見た記憶あり。はたして日本で公開されるかどうか・・・。 ※恵比寿ガーデンシネマは三越閉店に合わせて21年2月で一時休館するとのこと。

         ★★★ NAVERの人気順位(9月29日現在上映中映画) ★★★

     【ネチズンによる順位】
  ※[記者・評論家による順位]とも、評点の後の( )は採点者数。初公開から1年以内の作品が対象。
        「初登場」とは、本ブログでの初登場の意。

①(新) 転がる車輪(韓国)  9.92(13)
②(2) カイラスへ行く道(韓国)  9.64(129)
③(1) チア・アップ!  9.62(13)
④(新) 帰郷[落葉帰根]  9.57(14)
⑤(新) 再び出会った日々(韓国)  9.55(89)
⑥(3) 私を救わないでください(韓国)  9.46(78)
⑦(5) 少年の君  9.39(1,287)
⑧(新) BREAK THE SILENCE: THE MOVIE(韓国)  9.36(37)
⑨(-) ラブ・セカンド・サイト はじまりは初恋のおわりから  9.24(667)
⑩(8) 恐竜が教えてくれたこと  9.23(102)

 ①④⑤⑧の4作品が新登場です。
 ①「転がる車輪」は韓国のドラマ。ヘジン(キム・ミョンゴン)はソウルにある大きな寺の住職です。幼い頃両親に捨てられ、宗団で尊敬されている高僧のトボプ(イ・ヨンソプ)の下で育てられました。彼は仏家の戒律よりも縁にこだわってトボプを父と考え最上座として認められることを望んでいますが、生と縁いう二元的苦悩にとらわれます。ある日、上座僧侶たちはトボプ師が危篤だという知らせを伝え聞いて山奥の庵に集まります。それぞれ問題を抱えている彼らが久しぶりに老師を訪ねた理由は師の安危の問題ではなく、何か自分の利益になるような目的があったからでした。しかし、彼らが向かい合った相手は威厳に満ちた高僧ではなく、認知症と中風を患っている老人でした。そして僧侶たちはトボプの介護責任と寺の財産をめぐって互いに争うことになります。この渦中ヘジンは、これまで自分を苦しめてきた過去や自分の像と向き合い、現在の自分の姿になるまでの過程を振り返ってみるのでしたが・・・。原題は「구르는 수레바퀴」です。
 ④「帰郷[落葉帰根]」は中国・香港のドラマ。張楊(チャン・ヤン)監督の2007年の作品で、日本ではその年の<第20回東京国際映画祭>で「帰郷」のタイトルで上映されましたが一般劇場公開はなく、また韓国では今回が初公開です。東北の農村出身の趙(趙本山)は深圳に出稼ぎに来ていましたが、一緒に働いていた酒飲み仲間の劉が突然死んでしまいます。故郷・重慶の家族のそばに葬ってくれという劉の生前の約束を果たすため、趙は彼の遺体を背負って遠い旅に出ます。遺体を酔っ払いに見せかけて彼が乗り込んだバスには、強盗、愛する女性に後頭部を殴られた男、5千メートルの山に登って自分との戦いに臨む女性、ボイラー事故で片方の顔を失った女性、生きていながら自分の葬儀を見守る老人等々。亡き友と行く途方もない旅で、老趙は特別な縁と出会います・・・。韓国題は原題と同じ「낙엽귀근(落葉帰根)」です。
 ⑤「再び出会った日々」は韓国のドラマ。無名のシンガーソングライターで、現実と妥協し生きてきたことに自愧の念を抱いたテイル(ホン・イサク)は、ある日望んで音楽をしていたバンド時代を懐かしく思ってそのまま故郷へ旅立ちます。そこでテイルはバンドのメンバーだったジウォン(チャン・ハヌン)と感性だけは一杯の中二病バンド・ディストリアと出会います。好きな人と音楽の中からインスピレーションを得たテイル、ジウォンの助力を得て未完のトラックを完成させることになります。果たせなかった愛、あきらめていた夢、壊れた関係、伝えられなかった心。不器用だった青春の習作。我々は再び完成することができるでしょうか・・・。原題は「다시 만난 날들」です。
 ⑧「BREAK THE SILENCE: THE MOVIE」は韓国のドキュメンタリー。
韓国初、防弾少年団の全世界スタジアムツアー「LOVE YOURSELF:SPEAK YOURSELF」が終わりました。韓国歌手で最初のロンドンのウェンブリー・スタジアム単独公演、ビルボード月間ボックススコア1位、ロサンゼルス、シカゴ、ニューヨーク、サンパウロ、ロンドン、パリ、大阪、静岡、リヤド、そしてソウルまで。熱かったスタジアムツアーの大長征を走ってきた防弾少年団のメンバーたち。舞台の上ではなく舞台裏で、BTSによって生まれたもう一人の私として、7人のメンバーは1度も語ってこなかった内面の率直な話を聞かせてくれます。原題は「브레이크 더 사일런스: 더 무비」です。
 なお、⑨「ラブ・セカンド・サイト はじまりは初恋のおわりから」は昨年11月公開作を再び上映。日本では今年4月の公開されましたが、ちょうど新型コロナによる休館にぶつかり、そのままになっているようです。韓国題は「러브 앳(ラブ・アット)」です。

     【記者・評論家による順位】

①(1) 燃ゆる女の肖像  9.22(9)
②(2) 恐怖分子  8.22(9)
③(3) ハラボジの家(韓国)  7.83(12)
④(4) その手に触れるまで  7.50(4)
⑤(-) 台北ストーリー  7.40(5)
⑥(5) 逃げた女(韓国)  7.33(6)
⑦(-) ボーダー 二つの世界  7.29(7)
⑧(6) TENET テネット  7.18(11)
⑨(7) 水の中のつぼみ  7.14(7)
⑩(9) マティアス&マキシム  7.00(4)

 今回新登場の作品はありません。⑤と⑦は再登場です。

 ★★★ 韓国内の映画 週末の興行成績9月25日(金)~9月27日(日) ★★★
         5週続く「TENET テネット」の1位も今回まで いよいよ大型連休に突入

【全体】
順位・・・・題名 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・・週末観客動員数・・累計観客動員数 ・・累積収入・・・上映館数
1(1)・・TENET テネット・・・・・・・・・・・・8/26 ・・・・・・・・・91,561 ・・・・・1,683,350・・・・・15,500 ・・・・・・・882
2(新)・・剣客(韓国) ・・・・・・・・・・・・・・・・9/23 ・・・・・・・・・83,036 ・・・・・・・108,339・・・・・・・・938 ・・・・・・・832
3(43)・・ディーヴァ(韓国)・・・・・・・・・・9/23 ・・・・・・・・・58,940・・・・・・・・・88,252・・・・・・・・745 ・・・・・・・830
4(新)・・BREAK THE SILENCE・・・・・・9/24 ・・・・・・・・・50,658・・・・・・・・・72,243・・・・・・1,951 ・・・・・・・200
       : THE MOVIE(韓国)
5(2)・・ムーラン ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・9/17 ・・・・・・・・・33,558 ・・・・・・・221,266・・・・・・1,951 ・・・・・・・686
6(新)・・アウトポスト ・・・・・・・・・・・・・・9/23 ・・・・・・・・・24,795・・・・・・・・・33,070・・・・・・・・280 ・・・・・・・454
7(3)・・オ! ムニ(韓国)・・・・・・・・・・・・・9/02 ・・・・・・・・・19,484 ・・・・・・・318,753・・・・・・2,563 ・・・・・・・384
8(4)・・奇々怪々 整形水(韓国)・・・・・・・9/09 ・・・・・・・・・・7,073・・・・・・・・・87,476・・・・・・・・779 ・・・・・・・182
9(新)・・映画 おしりたんてい・・・・・・・・9/24 ・・・・・・・・・・6,703・・・・・・・・・・7,739 ・・・・・・・・・57 ・・・・・・・157
       テントウムシいせきのなぞ(日本)
10(110)・・鋼鉄の雨2: 首脳会談(韓国)・・7/29 ・・・・・・・・5,643 ・・・・・1,789,780・・・・・14,652 ・・・・・・・・・9
     ※KOFIC(韓国映画振興委員会)による。順位の( )は前週の順位。累積収入の単位は100万ウォン。

 「TENET テネット」が5週連続で1位、といってもその間数字は減り続け、10万人を切りました。今日9月30日からはいよいよ秋夕(チュソク)の5連休。9月30日だけの動員数を見ると案の定「国際捜査」「担保」以下5位まで29日公開の新作が並んでいます。今週末の順位は大幅に変わりそうです。
 今回の新登場は2・3・4・6・9位の5作品です。
 2位「剣客」は韓国のアクション。朝鮮最高の剣客テユル(チャン・ヒョク)は光海君の廃位後自ら姿を消します。一方、朝鮮を間に置いた清と昭の対立によって混乱は極に達し、清の皇族グルタイ(チョ・タスリム)は突きつけて朝鮮に圧力を加えます。民の苦痛がますます増していく中、グルタイの手下たちによってテユルの娘テオク(キム・ヒョンス)が公女として捕えらると、世間に背を向けたまま静かに暮らそうとしていたテユルは娘を救うために慈悲の念を捨てて剣を振るい始めます・・・。原題は「검객」です。
 3位「ディーヴァ」は韓国のスリラー&ミステリー。恐怖の高さ10メートルの飛込み台の端から美しく落下する・・・。
全世界が注目するダイビング系ディーヴァのイヨン(シン・ミナ)は、ある日同僚で親友のスジン(イ・ユヨン)と共に交通事故に遭います。事故の後行方不明になったスジンに対するイヨンの切なさとは違って、同僚たちはスジンに対して疑うような言葉を吐き出します。そんな混乱の渦中でもイヨンは完璧な実力を取り戻さなければなりません。最終的にはトップを守ろうとする強い欲求と、長い間友人として過ごしてきたスジンが自分の知っている姿ではないかもしれないという恐れはイヨンをだんだん狂気に追い込んでいきます・・・。原題は「디바」です。
 4位「BREAK THE SILENCE: THE MOVIE」は、上述のように防弾少年団の世界ツアーの記録です。
 6位「アウトポスト」は、アフガン紛争中の実話を素材にしたアメリカ・ブルガリア合作のアクション&ドラマ。ジェイク・タッパーのノンフィクション小説「The Outpost: An Untold Story of American Valor」の映画化作品です。(※日本で刊行されている「レッド・プラトーン 14時間の死闘」(早川書房.2017)は、同じカームデーシュの戦いで二等軍曹として現地に派遣されていたクリントン・ロメシャによる手記です。) この戦いは09年10月3日アフガニスタン東部の米軍の戦闘前哨基地をタリバンが攻撃したもので、300人のタリバン部隊に包囲されたアメリカ兵はわずら50人余。包囲され全滅の危機に瀕したが、文字通り<14時間の死闘>を耐え抜いて・・・ということのようです。なお、本作の主役はオーランド・ブルームとスコット・イーストウッド。スコットはクリントン・ロメシャを演じています。韓国題は「아웃포스트」。日本公開は未定のようです。
 9位「おしりたんてい テントウムシいせきのなぞ」は日本では今年8月「東映まんがまつり2020」の中で他の3作品と共に公開されました。韓国では昨年の「映画 おしりたんてい カレーなる じけん」に続いて2作目。では劇場で観た人18人中13人が評点10という高評価を得ています。韓国題は「극장판 엉덩이 탐정: 텐텐마을의 수수께끼」です。

【独立・芸術映画】
順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・週末観客動員数・・累計観客動員数・・・累積収入・・上映館数
1(1)・・奇々怪々 整形水(韓国)・・・・・・・・・・・9/09・・・・・・・7,073 ・・・・・・・・・87,476 ・・・・・・・・779 ・・・・・・・182
2(再)・・フランシス・ハ・・・・・・・・・・・・2014/7/17・・・・・・・1,897 ・・・・・・・・・79,089 ・・・・・・・・615 ・・・・・・・・66
3(8)・・カイラスへ行く道(韓国) ・・・・・・・・・9/03・・・・・・・1,182・・・・・・・・・・・6,983 ・・・・・・・・・54 ・・・・・・・・21
4(2)・・逃げた女(韓国)・・・・・・・・・・・・・・・・・・9/17・・・・・・・1,046・・・・・・・・・・・6,856 ・・・・・・・・・35 ・・・・・・・・46
5(新)・・ボテロ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・9/24・・・・・・・1,016・・・・・・・・・・・1,204 ・・・・・・・・・10 ・・・・・・・・33
 5位「ボテロ」が新登場です。コロンビアの画家・彫刻家で、Neo-figurativeの代表的な芸術家とされるボテロ(Botero.1932~)の人と芸術についての、カナダ・中国・コロンビア・フランス・イタリア・モナコ・アメリカ合作によるドキュメンタリーです。「ああ、ボテロ! あの太った人の絵を描く人でしょ?」。いや、彼はそれ以上です。「現存する画家の中で最も幅広い影響力を持った人。パリのシャンゼリゼ通りで大規模な展示会を開催した最初の現存する芸術家。これまで全世界の主要都市で100回以上の大規模な展覧会が開かれました。私ヌルボがボテロのことを知ったのは2004年恵比寿ガーデンプレイスで開かれた<ボテロ野外彫刻展>でたまたま彼の彫刻を見てから。男も女も、犬や馬等の動物も例外なくぼってりと太っていて、それが決してグロデスクではなく逆に穏やかで力強く感じられ、強く印象づけられました。その時の記録は→コチラの記事(画像多数)参照。また本作品の韓国版予告編はコチラ→YouTube。 韓国題は「보테로」。日本公開は未定のようです。
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