ヌルボ・イルボ    韓国文化の海へ

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韓国内の映画 NAVER映画の人気順位 と 週末の興行成績 [6月2日(金)~6月4日(日)]

2017-06-07 17:42:01 | 韓国内の映画の人気ランク&興行成績
 「トンネル 闇に鎖された男」は期待通りの映画でした。惨事を描いた作品にも実話に基づくものからほとんど特撮を主体にしたSFのようなものまで多々ありますが、この作品はフィクションとはいえ現実感があります。90年代には聖水大橋落下事故や三豊百貨店崩壊事故があり、近年ではあのセウォル号沈没事故がありました。その度に技術上の問題だけでなく手抜き工事等の問題が指摘されてきました。そして行政や業者、そしてマスコメディアの問題も。ラスト近くでオ・ダルスが「みんな失せろ! このケーセッキどもめ!」と声を張り上げる場面がありました。これは多くの韓国の人々の共通の声ではないでしょうか? (韓国ネチズンの評価は10人中5人が10点、3人が7~9点。そして1人が1点です。)

 さて、次の期待の韓国映画は、昨年の韓国の興行成績1位の大ヒット作「新感染 ファイナル・エクスプレス」(原題:「釜山行き」)。9月1日公開なのでまだ先の話。ソン・ガンホ主演の「密偵」(←原題)も公開日未定か・・・。
 なお、これも昨年ヒットした「ラスト・プリンセス -大韓帝国最後の皇女-」が6月24日公開されます。大韓帝国の最後の皇女・徳恵翁主(トッケオンジュ)を主人公にした作品ですが、韓国内でも「歴史歪曲!」との批判の声が上がったりしたほどで、観るに当たっては史実とフィクションの見定めが不可欠と思います

[追記] 今日(6月7日)の毎日新聞夕刊に、6月10日からシアター・イメージフォーラムで公開されるドキュンタリー「マダム・ベー ある脱北ブローカーの告白」についての記事が載っていました。(→コチラ。) 「脱北者への先入観覆す」という見出しが付いています。私ヌルボ、3月に<大阪アジアン映画祭>で観ましたが、ぜひもう1度観てみようと思っています。※6日に開かれたユン・ジェホ監督のトークイベントの記事は→コチラ

 先週も「朝鮮日報」の「封切映画 ぴったり10字評」は掲載されませんでした。

         ★★★ NAVERの人気順位(6月6日現在上映中映画) ★★★

     【ネチズンによる順位】
             ※評点の後の( )は採点者数
①(1) マリアンヌとマーガレット(韓国)  9.51(76)
②(2) ミス・サイゴン:25周年記念公演 in ロンドン  9.43(211)
③(4) ヒドゥン・フィギュアズ  9.35(2,943)
④(-) Le Tour:私の生涯最高の49日(韓国)  9.30(375)
⑤(5) 徐舒平(ソ・ソピョン)、ゆっくり穏やかに(韓国)  9.27(477)
⑥(-) わたしは、ダニエル・ブレイク  9.25(1,571)
⑦(6) 劇場版 黒子のバスケ LAST GAME(日本)  9.25(380)
⑧(-) カム、トゥゲザー(韓国)  9.20(41)
⑨(-) ダンサー、セルゲイ・ポルーニン 世界一優雅な野獣  9.15((576)
⑩(-) パワーバトル・ウォッチカー:ウォッチ仮面の逆襲(韓国)  9.12(25)

 ⑧と⑩の2作品が今回の新登場です。
 ⑧「カム,トゥゲザー」は「僕たちはバンドゥビ」等の社会派作品で知られるシン・ドンイル監督による新作ドラマ。実は私ヌルボ、今年3月の<大阪アジアン映画祭>で観ました。失業者135万人、債務不履行者100万名、私教育費18兆ウォンといわれる韓国社会。その中であくせく生きていた平凡な家族にも危機が迫ってきます。18年間通った会社から解雇されたポムグ(イム・ヒョングク)、過熱競争でライバルに1位の座を奪われたカード会社の営業担当者ミヨン(イ・ヘウン)、日々合格のニュースを待ちわびる浪人中のハンナ(チェ・ビン)。家族なのにお互いの問題を思いやる余裕さえない3人は、この危機の中で思いがけないことをを経験することになります・・・。作品はただ暗いものではなく、ちょっとドタバタっぽい要素あり。原題は「컴, 투게더」です。
 ⑩「パワーバトル・ウォッチカー:ウォッチ仮面の逆襲」は現代自動車やCJ E&M等が制作した韓国のアニメで、TVでは2015~16年MBCで放映されています。以前紹介したターニングメカード(TURNING MECARD)と同様にモトは玩具で、それがTVや映画と連動しているということですね。あ、最近紹介したトボットともいろいろ共通しています。物語は・・・、ヒーローズカップのチャンピオンになったジノに乱暴なことで有名なアルティメットウォッチカーバトルリーグへの招待状が届きます。そのバトルリーグの試合を観戦して帰宅する途中、ジノは謎の怪漢たちに自分のウォッチカーであるブルーウィルを奪われますが紆余曲折の末に取り戻します。怪漢たちの正体を知ったジノは彼らの陰謀を防ぐために正体を隠してウォッチ仮面になり、ブルーウィルと共にバトルリーグに参加しますが・・・。原題は「파워배틀 와치카: 와치가면의 역습」です。

     【記者・評論家による順位】
             ※評点の後の( )は採点者数
①(-) わたしは、ダニエル・ブレイク  8.40(15)
②(1) ラ・ラ・ランド  8.34(14)
③(2) セールスマン  8.20(5)
④(3) 夜の海岸で独り(韓国)  7.83(6)
⑤(4) ジョン・ウィック チャプター2  7.67(3)
⑥(6) 聲の形(日本)  7.50(4)
⑦(-) THE NET 網に囚われた男(韓国)  7.25(8)
⑧(7) ゲット・アウト  7.17(6)
⑨(9) エイリアン:コヴェナント  7.13(8)
⑩(10) 午後8時の訪問者  7,00(6)

 今回新登場の作品はありません。

         ★★★ 韓国内の映画 週末の興行成績6月2日(金)~6月4日(日) ★★★

         日本では8月公開の米映画「ワンダーウーマン」が1位

【全体】
順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・・週末観客動員数・・・・累計観客動員数・・・累積収入・・・上映館数
1(新)・・ワンダーウーマン・・・・・・・・・・5/31・・・・・・・・・・・831,230・・・・・・・・・・1,158,414・・・・・・・・・9,459・・・・・・・・1,034
2(2)・・パイレーツ・オブ・カリビアン・・5/24・・・・・・・・・・・498,302・・・・・・・・・・2,430,584・・・・・・・・20,027 ・・・・・・・・・776
        /最後の海賊
3(31)・・代立軍(韓国)・・・・・・・・・・・・・・5/31・・・・・・・・・・・374,348 ・・・・・・・・・・・594,505・・・・・・・・・4,511 ・・・・・・・・・786
4(2)・・盧武鉉です(韓国)・・・・・・・・・・・5/25・・・・・・・・・・・302,795・・・・・・・・・・1,176,749・・・・・・・・・9,317 ・・・・・・・・・627
5(3)・・ゲット・アウト・・・・・・・・・・・・・・・・5/17・・・・・・・・・・・143,833・・・・・・・・・・2,008,764・・・・・・・・・2,008 ・・・・・・・・・475
6(38)・・ベイブレードバースト ゴッド・・6/01 ・・・・・・・・・・・46,672 ・・・・・・・・・・・・49,448・・・・・・・・・・・374 ・・・・・・・・・198
        :ゴッド ヴァルキリーの誕生(日本)
7(5)・・ザ・ボス・ベイビー・・・・・・・・・・・・5/03 ・・・・・・・・・・・33,519・・・・・・・・・・2,385,979・・・・・・・・18,454 ・・・・・・・・・253
8(42)・・すすめ! オクトノーツ シーズン4・・6/01・・・・・・・・22,321 ・・・・・・・・・・・・24,112・・・・・・・・・・・157 ・・・・・・・・・167
        :ザ・ファイナル
9(6)・・君と100回目の恋(日本) ・・・・・5/25・・・・・・・・・・・・15,907 ・・・・・・・・・・・・59,146・・・・・・・・・・・467 ・・・・・・・・・114
10(60)・・ビフォア・アイ・フォール・・・・5/31・・・・・・・・・・・・15,871 ・・・・・・・・・・・・25,947・・・・・・・・・・・198・・・・・・・・・・226
     ※KOFIC(韓国映画振興委員会)による。順位の( )は前週の順位。累積収入の単位は100万ウォン。

 1位はあいかわらずの(ほとんど)1週間交代のアメリカのアクション。今回もまた、です。
 今回の新登場は1・3・6・8・10位の5作品です。
 1位「ワンダーウーマン」は、アメコミを実写化したアクション。男のいない島・デミスキラ王国の王女ダイアナ(ガル・ガドット)は戦士としての訓練を受けている時、パイロットのトレバー(クリス・パイン)がちょうど島に不時着します。ダイアナが初めて見た男性の彼を通じて、彼女は人間の世界の存在と、そこで大きな戦争が起きていることを知ります。神々から与えられた力で世界を救うことが自分の使命であることを悟ったダイアナは楽園のような島を飛び出し、その第1次世界大戦の地獄のような戦場のただ中に飛び込んでいくのですが・・・。韓国題は「원더 우먼」。日本公開は8月25日です。
 3位「代立軍」は韓国の時代劇。1592年壬辰倭乱(文禄の役)が勃発すると、国王の宣祖は幼い庶子の光海(ヨ・ジング)を王世子とし、朝廷を割った<分朝>を任せて自分は国の北西端の義州に避難します。光海と<分朝>一行はは、国王に代わって義兵を集めて日本軍に対抗するために半島北部の江界に向かいます。その際護衛兵として連れて行ったのが代立軍です。代立軍は他人の軍役を財物を代価に代行して生計を立てている軍隊です。その頭目のトウ(イ・ジョンジェ)と部下たちは、光海を無事送り届けて功を立て、卑しい運命から脱するためにあえて危険を冒しますう。しかし、正体不明の刺客の襲撃と王世子を捕えようとする日本軍の追撃に犠牲が増えてゆき、互いの葛藤はますます深まっていきます・・・。私ヌルボ、この代立軍というのが実際にあったのか?という疑問がまず浮かびましたが、チョン・ユンチョル監督によると「実際の歴史の中にあった存在」とのことですが、これも史実とフィクションの見極めがむずかしい作品のようです。原題は「대립군」です。
 6位「ベイブレードバースト ゴッド:ゴッド ヴァルキリーの誕生」は日本のアニメですが、日本ではテレビ東京系列で放映されている連続アニメだけで劇場公開作品ではありません。また「コロコロコミック」で漫画も連載されてました。ところで、そもそも日本人の何%が<ベイブレード>を知っているのでしょうか? 画像検索すると形状がわかります。1999年にタカラから発売された玩具で、早い話が現代版ベーゴマです。<ベイブレード>の<ベイ>はベーゴマのベーが元。発売以来進化を遂げて現在は3世代目でそれが<ベイブレードバースト>。その中にもたくさん種類があって、代表的なものがヴァルキリーです。この玩具は韓国でも販売されています。つまり、これも上述のパワーバトル・ウォッチカー等と同じく玩具・TVアニメ等とセットになった劇場アニメというわけです。で本作の内容はというと、最強ブレイダーをめざしてスペインで開かれる世界大会に少年カンサン(日本では蒼井バルト)が臨む・・・というもの。※参考:→実際のバトルの動画。→TVアニメ1話分のむ動画。いやー、いろいろと夢中になれる世界があるものです。韓国題ハ「베이블레이드 버스트 갓:갓 발키리의 탄생」です。
 8位「オクトノーツ シーズン4:ザ・ファイナル」は、英BBC制作の子供向き人気アニメシリーズです。オクトノーツはいろんな動物のメンバーで構成されるエージェント集団で、タコ状の乗り物に乗って海中の生き物たちのピンチを救うべく出動します。韓国でもTV放映されておなじみ。日本では→<ディズニー・チャンネル>で視られるようですね。劇場公開作品の韓国公開は2013年以来これが5作目。今回の「ザ・ファイナル」では、潮津波が押し寄せるアマゾン川で危険に陥った動物を救助しに行く話や、夜行性動物の観察のためアフリカの川に行って多数のカバと出くわし難儀をする話等々5つのお話から成るオムニバスです。韓国題は「바다 탐험대 옥토넛 시즌4: 더 파이널」です
 10位「ビフォア・アイ・フォール」(仮)は、アメリカのドラマ&ミステリー。ローレン・オリヴァーの同名小説(未訳)の映画化作品です。17歳の高校生サマンサ(ゾーイ・ドゥイッチ)は交通事故に遭って命を落とします。しかし、どういうわけか死ぬことができません。死を迎える度に、彼女はその日の朝にタイムスリップしてしまうのです。韓国題「7번째 내가 죽던 날(7度目に私が死んだ日)」にあるように、その数7回。この謎を解き明かしていく過程で、サマンサは自分の人生と死の意味について考察していくことになります・・・。

【多様性映画】
順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・・・週末観客動員数・・・・累計観客動員数・・・累積収入・・・上映館数
1(1)・・君と100回目の恋(日本) ・・・・・・・・・5/25 ・・・・・・・・・・・15,907・・・・・・・・・・・・59,146・・・・・・・・・・・・・467・・・・・・・・・114
2(25)・・ビフォア・アイ・フォール ・・・・・・・・・5/31 ・・・・・・・・・・・15,871 ・・・・・・・・・・・25,947・・・・・・・・・・・・・198・・・・・・・・・226
3(16)・・夢のジェーン(韓国)・・・・・・・・・・・・・5/31 ・・・・・・・・・・・・4,527 ・・・・・・・・・・・・9,060・・・・・・・・・・・・・・75・・・・・・・・・・80
4(5)・・徐舒平(ソ・ソピョン)、・・・・・・・・・・・・・4/26 ・・・・・・・・・・・・2,113 ・・・・・・・・・・102,115・・・・・・・・・・・・・750・・・・・・・・・・16
        ゆっくり平穏に(韓国)
5(2)・・ロスト・イン・パリ・・・・・・・・・・・・・・・・・5/18 ・・・・・・・・・・・・1,946 ・・・・・・・・・・・20,303・・・・・・・・・・・・・162・・・・・・・・・・24

 2・3位の2作品が今回の新登場です。
 2位「ビフォア・アイ・フォール」(仮)については上述しました。
 3位「夢のジェーン」は韓国のドラマ。2016年の釜山国際映画祭、ソウル独立映画祭の上映作品です。主人公ソヒョン(イ・ミンジ)は家出ファム(家出青少年たちが共に生活する場。ファムはfamilyの略語)を転々としながら過ごしている少女。1人ぼっちにされるのが怖い彼女は何とか他の人とうまくつき合おうと努めますが、やっと自分を受け入れてくれると思った恋人さえ去っていってしまい、自殺を試みようとします。そのソヒョンのモーテルの部屋に夢のように能われたのはトランスジェンダーのジェーン(ク・ギョファン)でした。ソヒョンは、手首に包帯を巻いてくれたジェーンと、その日以来ジェーンが作った家出ファムで暮らします。そこはこれまでの家出ファムとは空気が違います。お金稼ぎ、夜の飲酒等の強圧感はなく、過去をうるさく問われることもありません。やっと暖かい家族に出会ったとソヒョンは思い始めます。が、この家族さえも壊されてしまうとは・・・。原題は「꿈의 제인」です。
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