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ヌルボ・イルボ    韓国文化の海へ

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韓国内の映画 NAVER映画の人気順位 と 週末の興行成績 [2月3日(金)~2月5日(日)]

2017-02-08 13:51:06 | 韓国内の映画の人気ランク&興行成績
 先週は「太陽の下で-真実の北朝鮮-」「The Net 網に囚われた男」という北朝鮮関係の映画を続けて観ました。
 前者のキモは隠し撮りで撮った「ドキュメンタリーなのにここまで当局のヤラセが!」ということですが、私ヌルボとしては背景の街のようす等々ピョンヤンの素顔が垣間見られて興味深かったです。徒歩通勤者が多いこととか、<人民保健体操>(→ウィキペディアによると今は<律動体操>)を広場(?)でやってる場面とか。(→YouTube) また学校で先生が教科書の金日成首領様の話を子供たちに読み聞かせていますが、「(首領様は)日本人や地主たちが皆悪い奴だと悟らせて下さいました」という字幕の内容もさることながら、モトの朝鮮語では「왜놈(倭奴.ウェノム)」「지주놈(地主奴.チジュノム)」「나쁜 놈(ナップンノム)」という言葉を先生も生徒もふつうに使用しているという北朝鮮教育の現状は、日本国内のヘイトスピーチをめぐる論議から70年くらい前の時代の問題だと思いました。たぶん彼らはなぜそれが特定の民族や国民に対する差別なのか理解できないのでは?(「事実なのに」) 韓国紙サイトの読者のコメント中にも「倭奴」という言葉はよく見るし・・・。(蛇足ですが、私ヌルボは日本人によるヘイトスピーチもよくないし、北朝鮮や韓国の「倭奴」もよくないという、ごく常識的なことを言ってるだけです。)
 「The Net 網に囚われた男」は、なかなかおもしろかった(?)ですが、北朝鮮の漁師の船が故障して南北の分界線を越えて南へ、という設定がどこまで現実味があるかよくわかりません。「ケンチャナヨ」(南)→「イロプスムネダ」(北)、「ウェ?(何で?)」(南)→「ワ?」(北)といった言葉の違いもどこまで正確なのか? とはいえ、現在興行成績トップを走る「共助(コンジョ)」の韓国と北朝鮮との合同捜査などという基本設定よりはずっと現実味はあるでしょう。もっとも、「太陽の下に」の舞台のピョンヤン自体がショーウインドー都市なので、それをもって北朝鮮の実態と受け止めるのも問題なんですけどね。

 北朝鮮関係で思い出しました。1月27日毎日新聞(東京・夕)の(例によって)鈴木琢磨記者の記事です。(→コチラ。まだ繋がる?) ピョンヤンで2008年に出た「光明百科事典」の映画解説の箇所で「遠い後の日の私の姿」(1997)、「幹は根から育つ」(1998)、「ある女学生の日記」(2006)の3作品の映画シーンの写真に白い紙が貼られ、それらに出演していた女優のキム・ヘギョンさんとパク・ミヒャンさんが消されていたとのこと。事情通の某在日ビジネスマン氏によると「張成沢粛清の余波」だそうです。(※→Youtubeの「ある女学生の日記」は配役の部分も含めふつうに観られますけどね。)

 この号だけは買っている「キネマ旬報」2月下旬ベスト・テン発表特別号。今年のベスト・テンはヌルボ自身の見方とけっこう重なっていましたが、「ハドソン川の奇跡」の得点が2位「キャロル」(152点)に大差をつけて271点とはオドロキ。韓国映画は「暗殺」(19点)の54位が最高。なんと5人も入れてますがな。「弁護人」(14点)が70位。谷岡雅樹氏が1位に選定! 以下「花 香る歌」(10点・82位)、「王の運命-歴史を変えた八日間-」(9点・92位)、「コインロッカーの女」(8点・104位)、「殺されたミンジュ」(7点・119位)。感想は、「まあこんなもんでしょ」。
 次に今年2017年の外国映画の上映予定作のリストから韓国映画をピックアップ・・・と思いましたが、もうけっこう長く書いたので来週に持ち越すことにします。

         ★★★ NAVERの人気順位(2月7日現在上映中映画) ★★★

     【ネチズンによる順位】
             ※評点の後の( )は採点者数
①(-) Le Tour:私の生涯最高の49日(韓国)  9.62(201)
②(1) ミス・サイゴン:25周年記念公演 in ロンドン  9.50(197)
③(-) 将棋王:可樂市場レボリューション(韓国)  9.45(29)
④(2) ウィークエンド(韓国)  9.31(145)
⑤(4) わたしは、ダニエル・ブレイク  9.27(1,171)
⑥(5) ボブという名のストリート・キャット  9.23(337)
⑦(-) LION/ライオン ~25年目のただいま~  9.23(231)
⑧(6) モアナと伝説の海  9.13(8,399)
⑨(9) 従順(韓国)  9.11(142)
⑩(7) ヨーヨー・マと旅するシルクロード  9.06(36)

 今回の新登場は①③⑦位の3作品です。
 ①位「Le Tour:私の生涯最高の49日」は韓国のドキュメンタリー。「Le Tour」とは有名なフランスの自転車レースのツール・ド・フランスのこと。2009年それに挑んだ韓国人の話なのですが、その人物イ・ユニョクさんという人は世界で200人あまりしかかからないというがん(線維形成性小細胞腫瘍)の末期判定を受けた青年でした。当時26歳という若さでアマチュアのボディビルダーであり、体育教師志望だったという健康には自信があった彼ががんと診断され余命3ヵ月の宣告を受けるとは・・・。その後抗癌治療を受けいた彼はある日治療を中断し、医者や家族、友人たちの反対する中、ツール・ド・フランスへの参加を決めてフランスに向かったのです・・・。原題は「뚜르: 내 생애 최고의 49일」です。
 ③位「将棋王:可樂市場レボリューション」は韓国のドラマ。トゥス(チョン・ドゥウォン)は真面目な仕事よりも実利と温かい懐を望んであえて正業に就かず可楽市場で働いています。日々のつらい労働と社長の専横にも屈しない彼の隠れた才能というのが韓国将棋。可楽市場でその実力を発揮して痛快に悪人を膺懲したりもしましたが、ある日将棋の実力者が集まるというタプコル公園の噂を聞いてそこを訪れます。そこで偶然出会ったのが高校時代の片思いの相手ミンジュ(チェ・シオン)。彼女はホームレスたちのねぐらであるタシソギ(立ち直り)センター撤去反対の署名運動をしていて、トゥスも一緒にホームレスの支援を始めてやりがいを感じるようになります。ところがその後センターを撤去しようとしている家主の朴ヨンガム(イ・ジャンユ)が賭博将棋の帝王であることを知り、センターを守るために一世一代の将棋対決に挑戦することになります・・・。原題は「장기왕: 가락시장 레볼루션」です。
 ⑦位「LION/ライオン ~25年目のただいま~」については後述します。

     【記者・評論家による順位】
             ※評点の後の( )は採点者数
①(1) わたしは、ダニエル・ブレイク  8.40(15)
②(2) ラ・ラ・ランド  8.34(14)
③(3) はじまりへの旅  7.50(9)
④(-) メッセージ  7.29(7)
⑤(4) 君の名は。(日本)  7.17(6)
⑥(5) ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー  7.16(8)
⑦(7) 恋物語(韓国)  7.00(7)
⑧(8) 女教師(韓国)  7.00(5)
⑨(9) たかが世界の終わり  6.86(7)
⑩(10) マギーズ・プラン 幸せのあとしまつ  6.83(6)

 今回の新登場は④「メッセージ」だけです。この作品については後述します。

         ★★★ 韓国内の映画 週末の興行成績2月3日(金)~2月5日(日) ★★★

         「共助」が600万人を超え2週連続トップ
【全体】
順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・・週末観客動員数・・・・累計観客動員数・・・・累積収入・・・・上映館数
1(1)・・共助(韓国)・・・・・・・・・・・・・・・・・・1/18 ・・・・・・・・・1,048,382 ・・・・・・・・・・6,272,480・・・・・・・・51,451 ・・・・・・・1,100
2(2)・・ザ・キング(韓国)・・・・・・・・・・・・・1/18・・・・・・・・・・・409,655・・・・・・・・・・・4,991,110・・・・・・・409,655・・・・・・・・・837
3(新)・・メッセージ・・・・・・・・・・・・・・・・・・2/02・・・・・・・・・・・298,929 ・・・・・・・・・・・・358,343・・・・・・・・・2,984・・・・・・・・・606
4(3)・・モアナと伝説の海・・・・・・・・・・・・1/12・・・・・・・・・・・171,477 ・・・・・・・・・・2,146,068・・・・・・・・16,807・・・・・・・・・583
5(4)・・バイオハザード:ザ・ファイナル・・1/25・・・・・・・・・110,262 ・・・・・・・・・・・・708,004・・・・・・・・・5,969・・・・・・・・・486
6(5)・・君の名は。(日本)・・・・・・・・・・・・・1/04・・・・・・・・・・・・69,058 ・・・・・・・・・・3,554,668・・・・・・・・28,628・・・・・・・・・384
7(6)・・ラ・ラ・ランド・・・・・・・・・・・・・・・・・12/07・・・・・・・・・・・・35,879 ・・・・・・・・・・3,210,482・・・・・・・・26,873・・・・・・・・・201
8(24)・・LION/ライオン ・・・・・・・・・・・・2/01・・・・・・・・・・・・35,387 ・・・・・・・・・・・・・59,439・・・・・・・・・・・476・・・・・・・・・205
        ~25年目のただいま~
9(新)・・レゴバットマン ザ・ムービー・・2/09・・・・・・・・・・・・28,740 ・・・・・・・・・・・・・29,580・・・・・・・・・・・243・・・・・・・・・276
10(7)・・ターニング メカードW・・・・・・・・1/18・・・・・・・・・・・・18,733・・・・・・・・・・・・422,857 ・・・・・・・・・3,164・・・・・・・・・196
        ブラックミラーの復活(韓国)
     ※KOFIC(韓国映画振興委員会)による。順位の( )は前週の順位。累積収入の単位は100万ウォン。

 「共助」が「ザ・キング」を引き離して600万人を超えました2位「ザ・キング」も500万人に到達。
 今回の新登場は3・8・9位の3作品です。
 3位「メッセージ」はアメリカのSF。グレッグ・イーガン等とともに今世紀のSF作家として高く評価されているテッド・チャン短編「あなたの人生の物語」(早川文庫)の映画化作品。ある日突然巨大飛行体が地球に現れます。やってきた謎の知的生命体の意図は何か? 言語学者のルイーズ(エイミー・アダムス)は軍から依頼を受けて彼らとの接触をはかります。物理学者のイアン(ジェレミー・レナー)とチームを組んで人間のものとは全く異質な言語を理解するにつれ、彼女は驚くべき運命にまきこまれていきます・・・。韓国題が「컨택트(コンテンツ)」で原題が「Arrival」と三者三様。日本公開は5月です。
 8位「LION/ライオン ~25年目のただいま~」は、オーストラリア・イギリス・アメリカ合作の実話に基づいたドラマ。オーストラリアで暮らす青年サルー(デーヴ・パテル)は実はインド生まれ。ところが5歳の時迷子になり、家族と生き別れたまま養子としてオーストラリアへ来たのです。成人して幸せに暮らしながらもインドの母と兄への想いは募ります。そしてサルーはおぼろげな記憶とGoogle Earthを手がかりに、幼い頃の家を探し出すことを決意します・・・。韓国題は「라이언」。日本公開は4月7日です。
 9位「レゴバットマン ザ・ムービー」は、アメリカ・デンマーク合作のスーパーヒーロー物のアニメ。レゴブロックで構築されたゴッサムシティを舞台に、ジョーカーのゴッサム乗っ取り計画を阻止すべく、一匹オオカミだったバットマンが他のヒーローたちと協力して戦いに臨みます・・・。韓国題は「레고 배트맨 무비」。日本公開は4月1日です。

【多様性映画】
順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・・・週末観客動員数・・・・累計観客動員数・・・・累積収入・・・上映館数
1(7)・・LION/ライオン ・・・・・・・・・・・・・・・・2/01 ・・・・・・・・・・・35,387・・・・・・・・・・・・59,439・・・・・・・・・・・・・476 ・・・・・・・・205
        ~25年目のただいま~
2(1)・・マギーズ・プラン ・・・・・・・・・・・・・・・・1/25・・・・・・・・・・・・・6,524・・・・・・・・・・・・34,138・・・・・・・・・・・・・277 ・・・・・・・・・64
        幸せのあとしまつ
3(20)・・Le Tour:私の生涯最高の49日・・2/01・・・・・・・・・・・・・6,116・・・・・・・・・・・・20,203・・・・・・・・・・・・・156 ・・・・・・・・223
4(26)・・サウンド・オブ・ミュージック・・1978/2/04 ・・・・・・・・・・・4,060・・・・・・・・・・・・18,872・・・・・・・・・・・・・・76 ・・・・・・・・・70
5(新)・・ザ・コミューン ・・・・・・・・・・・・・・・・・・2/02・・・・・・・・・・・・・1,424・・・・・・・・・・・・・2,442・・・・・・・・・・・・・・18 ・・・・・・・・・22

 2位以外の4作品が新登場です。
 1位「LION/ライオン ~25年目のただいま~」、3位「Le Tour:私の生涯最高の49日」については上述しました。
 4位「サウンド・オブ・ミュージック」は言うまでもなく名作ミュージカルの再上映。韓国題は「사운드 오브 뮤직」です。
 5位「ザ・コミューン」(仮)は、デンマーク・スウェーデン・オランダ合作のドラマで、ベルリン国際映画祭2016 コンペティション部門で上映され女優賞受賞。その他数多くの映画賞を受賞しています。 築学の講師エリック(ウルリク・トムセン)は、コペンハーゲンの北のヘレラップにある古くて大きな家を父から相続します。有名なニュースキャスターである妻のアンナ(トリーヌ・ディルホム)は、友人たちを招いて一緒に暮らそうと提案します。彼女の意図はマンネリ化した結婚生活の打開でした。10数人の男女や子供たちがカントリーハウスにやってきます。彼らは集団的な決まりを作り、ディスカッションをし、近くの海に泳ぎに行ったりします。しかし彼らのもろい人間関係は、エリックkが若い教え子に恋をして彼女を家に招いたことから崩れていきます。そんな中で、エリックとアンナの14歳の娘フレアは超然と大人たちを観察し、自分の選ぶべき道を探ります・・・。韓国題は「사랑의 시대(愛の時代)」ですが、英題を仮題としておきました。日本公開は未定のようです。