ヌルボ・イルボ    韓国文化の海へ

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韓国内の映画 NAVER映画の人気順位 と 週末の興行成績 [8月26日(金)~8月28日(日)]

2016-08-31 15:22:24 | 韓国内の映画の人気ランク&興行成績
 29日夜は台風接近が報じられ、桜木町あたりでも風が強まってきて不安が増す中、ブルク13では「シン・ゴジラ」を観に来た人が約30人。いくら話題の映画だと言ってもなんでこんな時に・・・。みんな何を考えてるんだろ?・・・って何も考えてません、と私ヌルボもその1人なもんで・・・。
 これは観終わった後、ゴジラに襲われた辺りの皆さんの間ではとくに話が盛り上がるでしょう。蒲田とか、それから鎌倉とか。テアトル蒲田で観てる人は浮き足立つでしょう。あ、「御成町2」という住居表示が目に入ったゾ! 鎌倉の西口の方でないの!(たらば書房さんダイジョブ?)
 まあどんなすごい怪獣でも、世界どころか日本どころか、東京も滅ぼさないのは<お約束>のようなもの? だから安心して(!)観ていられるのが逆に興奮度を損なってしまいます。その点東京大空襲とか広島・長崎の方が想像を絶するほど怖い。そういえば「ゴジラより怖いのは私たち人間ね」というセリフがあったな。もう1つそういえば「釜山行き」にも「ゾンビより人間がもっと怖い」というセリフが出てくるそうです。(なんのかんの言っても「シン・ゴジラ」はオススメなんですけどね。)

 1週間前の記事で現在韓国で上映中の「徳恵翁主」‘歴史歪曲’について書きました。そもそもこの映画の原作は2009年韓国で刊行されて100万部を超えるベストセラーになった権丕暎(クォン・ビヨン)の小説「徳恵翁主」(日本語訳あり)で、その種本は1998年刊行の本馬 恭子「徳恵姫」(葦書房)。この本(右画像)は現在amazonで¥9,500という高値がついていますが、さいわい市立図書館にあったので借りて読んでいます。数少ない資料を精査し、たがいに矛盾する内容(とても多い)を突き合わせて史実の解明に取り組んだ先駆的な本です。(いろんな興味深い記述がありますが一切省略。) これが韓国で小説になり映画化され、という2段階を経て相当以上にフィクションが盛り込まれてしまったということのようです。しかし、よく言われる韓国の「ファンタジー史観」にも批判的な意見が出てきたのは画期的かもしれません。
    
「朝鮮日報」8月26日掲載の「封切映画 ぴったり10字評」 (ハングル文も訳文も10字です。)
 「ナショナル・ギャラリー 英国の至宝」
  視覚満足。3時間もOK ★★★★
 「ゴーストバスターズ」
  賢く「強い」エリンが素敵 ★★★☆
 「犯罪の女王」
  こんな力、しばしば必要 ★★★
 「最悪の1日」
  この女、よく見た顔だぞ ★★★
 「ヒッチコック/トリュフォー」
  映画通なら目がキラリ ★★★★
 「マダム・フローレンス! 夢見るふたり」
  夢見る馬鹿たちに贈る ★★★☆
 「ニュースの真相」
  特種と誤報の間の真実 ★★★
 「オルレ」
  オジン向けオジン映画 ★★☆
 「ニュースの真相」は日本ではすでに8月5日公開され現在も上映中。他の7作品はすべて下の記事中で紹介しています。

         ★★★ NAVERの人気順位(8月30日現在上映中映画) ★★★

     【ネチズンによる順位】
             ※評点の後の( )は採点者数
①(-)影たちの島(韓国)  9.50(10)
②(1) KING OF PRISM by PrettyRhythm(日本)  9.39(373)
③(-) ヒッチコック/トリュフォー  9.33(18)
④(2) 私たち(韓国)  9.24(862)
⑤(-) 河童のクゥと夏休み(日本)  9.22(2,604)
⑥(3) 一死覚悟(韓国)  9.16(238)
⑦(4) オーヴェという男  9.14(1,197)
⑧(6) 名探偵コナン 純黒の悪夢(ナイトメア)(日本)  9.05(2,539)
⑨(-) 喊山(山が泣く)  9.02(203)
⑩(-) ガールズ&パンツァー これが本当のアンツィオ戦です!(日本)  9.00(18)

 ①③⑤⑩の4作品が新登場です。
 ①「影たちの島」は、2014年の第40回ソウル独立映画祭大賞を受賞した韓国のドキュメンタリー。「影たちの島(그림자들의 섬)」というタイトルは影島(ヨンド.영도)という島の名を固有語に置き換えたものです。その影島という島は釜山港と橋で繋がるよく知られた島。そこに韓国の代表的な造船会社・韓進重工業があります。この作品は、キム・ジョングン監督が2010年から足かけ5年にわたってそこの労働者たちから話を聞き、撮影して完成した記録です。30年間働いてきた労働者の就職当初の期待や誇り、労働環境の劣悪さ、死んで行った仲間の思い出等が語られます。とくに注目すべきは「仲間が死んで行っても何も言えず、酒を飲めば世界をひっくり返すように騒いでも、翌日出勤するとおとなしい羊のようになっってしまう」という彼らが変わっていく過程をじっくり追っていること。ソウル独立映画祭でも「ふつうの労働者をどのよう変わるか(or挫折するか等)を過不足なく構成した秀作」という評価を得ています。
 ③「ヒッチコック/トリュフォー」は、映画術について語るヒッチコックの話を中心にしたドキュメンタリー。1962年、トリュフォーはヒッチコックにインタビューを熱望したことから2人の長時間のインタビューが実現しました。そして「定本 映画術 ヒッチコック/トリュフォー」(山田宏一・蓮實重彦訳)が刊行され、映画関係者はじめとして広く読み継がれています。
この作品は当時の両監督の貴重なインタビューの音声テープと、ヒッチコックを慕うマーティン・スコセッシ、黒沢清、デビッド・フィンチャー等々10人の監督たちへのインタビューで構成したドキュメンタリーで、昨2015年のカンヌ国際映画祭クラシック部門で上映され、注目されました。韓国題は「히치콕 트뤼포」。日本公開は12月10日です。
 ⑤「河童のクゥと夏休み」は、日本でも好評だったアニメ、といっても例によってヌルボは未見です。しかしこの採点者数はオドロキ。韓国題は「갓파 쿠와 여름방학을」。河童はそのまま音読です。
 ⑩「ガールズ&パンツァー これが本当のアンツィオ戦です!」も日本アニメですが、これまたヌルボに語る資格ナシ。「戦車を使った武芸“戦車道“の第63回戦車道全国高校生大会の優勝を目指す女子高生たちの活躍と奮闘」とはなんと奇抜な発想! 今度DVD借りて観てみるかな? 韓国題は「걸즈 앤 판처 이것이 진정한 안치오전입니다!」です。
 なお、⑨「喊山(山が泣く)」については、6月1日の記事(→コチラ)で紹介しました。昨年の第20回釜山国際映画祭でクロージングで上映された中国映画で英題は「Mountain Cry」です。1984年の中国の山奥の村を舞台にした「息詰まる緊張感の中に描かれる愛の物語」( ?)で、日本公開は未定と書きましたが→コチラの記事(英語)によると「2016年 第3四半期に日本で公開」とあります。が、ホント?? 他に情報はないんだけど・・・。

     【記者・評論家による順位】
             ※評点の後の( )は採点者数
①(2) アガシ(韓国)  7.68(18)
②(3) 私たち(韓国)  7.66(14)
③(-) ナショナル・ギャラリー 英国の至宝  7.50(4)
④(5) BFG:ビッグ・フレンドリー・ジャイアント  7.45(5)
⑤(6) トンネル(韓国)  7.21(14)
⑥(-) 河童のクゥと夏休み(日本)  7.17(7)
⑦(-) ヒッチコック/トリュフォー  7.17(6)
⑧(-) 影たちの島(韓国)  7.14(7)
⑨(7) ボーン・トゥ・ビー・ブルー  7.13(6)
⑩(8) 釜山行き(韓国)  7.10(17)

 新登場は③⑥⑦⑧の4作品です。
 ③「ナショナル・ギャラリー 英国の至宝」は、日本では2014年に公開されているので内容等は省略します。韓国題は「내셔널 갤러리」です。
 ⑥「河童のクゥと夏休み」、⑦「ヒッチコック/トリュフォー」、⑧「影たちの島」については上述しました。

         ★★★ 韓国内の映画 週末の興行成績8月26日(金)~8月28日(日)] ★★★

         「トンネル」が3週連続トップ
【全体】
順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・・週末観客動員数・・・累計観客動員数・・・累積収入・・・上映館数
1(1)・・トンネル(韓国)・・・・・・・・・・・8/10・・・・・・・・・・・665,348・・・・・・・・・6,280,573 ・・・・・・・・51,033・・・・・・・・818
2(12)・・ライト/オフ・・・・・・・・・・・・8/24・・・・・・・・・・・397,458 ・・・・・・・・・・534,423・・・・・・・・・・4,361・・・・・・・・659
3(2)・・徳恵翁主(韓国)・・・・・・・・・8/03 ・・・・・・・・・・・230,525・・・・・・・・・5,306,506・・・・・・・・・42,222・・・・・・・・551
4(48)・・ゴーストバスターズ・・・・・8/25 ・・・・・・・・・・・215,511 ・・・・・・・・・・248,876・・・・・・・・・・2,052・・・・・・・・511
5(3)・・-スター・トレック BEYOND・・8/17 ・・・・・・・・・167,946・・・・・・・・・1,013,612・・・・・・・・・・9,041・・・・・・・・489
6(4)・・ペット・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・8/03・・・・・・・・・・・107,949・・・・・・・・・2,437,346・・・・・・・・・18,763・・・・・・・・473
7(6)・・釜山行き(韓国) ・・・・・・・・・・7/20・・・・・・・・・・・102,903・・・・・・・・11,423,237・・・・・・・・・92,062・・・・・・・・397
8(5)・・仁川上陸作戦(韓国) ・・・・・7/27・・・・・・・・・・・・87,415 ・・・・・・・・・6,953,995・・・・・・・・・54,403・・・・・・・・396
9(142)・・マダム・フローレンス!・・8/24 ・・・・・・・・・・・54,887・・・・・・・・・・・・89,967 ・・・・・・・・・・・710・・・・・・・・378
       夢見るふたり
10(新)・・オルレ(韓国) ・・・・・・・・・・8/25・・・・・・・・・・・・35,287・・・・・・・・・・・・50,358 ・・・・・・・・・・・405・・・・・・・・337
     ※KOFIC(韓国映画振興委員会)による。順位の( )は前週の順位。累積収入の単位は100万ウォン。
 「トンネル」が600万人を超えトップを維持。勢いは鈍ってきましたが700万人は超えそう。韓国映画の歴代12位まで来ている「釜山行き」は、これまでの10位「ブラザーフッド」(1174万人)はなんとか超えそう。その上の「王の男」(1230万人)を抜くのはむずかしいかな ?
 今回の新登場は2・4・9・10位の4作品です。
 2位「ライト/オフ」は、日本では3日遅れの8月27日にスタート。説明等は略します。原題は「Lights Out」なのに、この邦題はなんで? 韓国題は「라이트 아웃(ライトゥ・アウッ)」なんですけどね。
 4位「ゴーストバスターズ」は、日本の方がめずらしく早くて8月19日から始まっています。韓国題は「고스트버스터즈」です。
 9位「マダム・フローレンス! 夢見るふたり」は、
実在したソプラノ歌手フローレンス・フォスター・ジェンキンス(1868~1944)の物語。歌手といっても音程もリズムも合っていなくて、ウイキペディアには「歌唱能力が完全に欠落していたことで有名」とまで書かれています。しかし夫をはじめ周囲の人たちがとても善い人ばかりで「アンタは実は音痴だ!」などとは言わないので彼女は自分の音楽的才能を疑わずカーネギーホールの舞台を目指して奮闘します・・・。メリル・ストリープがフローレンスを、そしてヒュー・グラントが夫を演じています。韓国題は「플로렌스」。日本公開は12月1日。あれ、そんな先? もう予告編観ましたよ。
 10位「オルレ」は、済州島を舞台にした39歳の男性3人のコメディ。大企業の課長(?)のジュンピル(シン・ハギュン)、売れっ子弁護士(?)を夢見るスタク(パク・ヒスン)、放送局の看板アナウンサー(?)のウンドン(オ・マンソク)はそれぞれに問題を抱えていて、何もかもぶっ叩きたくなった折も折、済州島から連絡が入ります。 赤いスポーツカーに天然のアラ1皿に、そして高級ホテル、・・・ではなくてアレレのゲストハウス? しかし、ここらで仕事に健康に恋愛等、すべてに休止符が必要な39歳の3人。済州島に行って青春を取り戻すためのプロジェクトを繰り広げる、のかな? 「オルレ」というタイトルは、済州島の周遊コースのオルレと、かけ声の「オーレ」をかけているようです。原題は「올레」です。

【多様性映画】
順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・・・・・週末観客動員数・・・・累計観客動員数・・・・累積収入・・・上映館数
1(62)・・マダム・フローレンス! ・・・・・・・・8/24・・・・・・・・・・・・・・54,887 ・・・・・・・・・・・89,967・・・・・・・・・・・・・710 ・・・・・・・・378
       夢見るふたり
2(6)・・最悪の1日(韓国) ・・・・・・・・・・・・・・8/25 ・・・・・・・・・・・・・・20,991 ・・・・・・・・・・・29,949・・・・・・・・・・・・・252 ・・・・・・・・198
3(62)・・犯罪の女王(韓国) ・・・・・・・・・・・・8/25 ・・・・・・・・・・・・・・20,329 ・・・・・・・・・・・28,892・・・・・・・・・・・・・233 ・・・・・・・・270
4(1)・・ソウル駅(韓国) ・・・・・・・・・・・・・・・・8/17 ・・・・・・・・・・・・・・・5,591 ・・・・・・・・・・144,563・・・・・・・・・・・1,144・・・・・・・・・・72
5(15)・・愛人/ラマン ・・・・・・・・・・・1992/6/20 ・・・・・・・・・・・・・・・3,456・・・・・・・・・・・・・8,108・・・・・・・・・・・・・・63・・・・・・・・・・46

 4位以外はすべて新登場です。
 1位「マダム・フローレンス! 夢見るふたり」については上述しました。
 2位「最悪の1日」は、韓国のロマンス、かな? 夏の終わりのある日、俳優志望のウニ(ハン・イェリ)は、演技の授業を終えて外に出ると、道を探している日本人の小説家・良平(岩瀬亮)に会います。 言葉はよく通じなくてもなぜか会話が続く良平と別れた後、彼女はドラマに出演しているボーイフレンドのヒョノ(クォン・ユル)と会って撮影地の南山に向かいます。 そして同じ時間、以前ウニとちょっとつき合ったことがある男性ウンチョル(イ・ヒジュン)は、ウニが南山でアップしたツイートを見て、彼女を探して南山に来ます。今日初めて会った人、今会っている人、そして前に会った人まで、1日に3人の男に会うことになったウニ。はたしてこの1日はハッピーエンドで終わるのでしょうか? 原題は「최악의 하루」です。
 3位「犯罪の女王」は、韓国のスリラー、かな? ヤミで不法なヤミ施術をやっている美容院のアジュマ・ミギョン(パク・ジヨン)は、ソウルの考試院(受験生用の安宿)で受験生生活をしている息子のイクス(キム・デヒョン)から水道料金が120万ウォンになってるとの知らせを受け、ソウルにかけつけます。おせっかい屋の彼女は持前のずうずうしさを発揮して事実の解明に乗り出します。この考試院というのがなんとも個性的なキャラの巣窟といった所。そこの職員でB101号室居住者のゲーテ(개태)(チョ・ポンネ)は野獣のような姿で「犬(개)」のような「態(태)」だからゲーテと自称してますが、実は繊細な感受性と正義感を持った人物で、事件解決のためミギョンをアシストします。403号に居住するハジュン(ホ・チョンド)は15年間司法試験に挑戦し、その2次試験に10回も落ちている長期受験生で、十匙(シプシ)と呼ばれるキャラクター。301号に居住するオタク受験生トック(ペク・スジャン)は1日中考試院の建物の前に座って、人々を観察する通称「人間ビンゴ」。考試について知らないことない専門家です。イクスの部屋の隣室402号に居住するジンスクは24時間部屋の中でゲームに没頭している人物。閉鎖的な性格で、いつも服で顔を隠しています。404号の住人がミギョンの息子イクスは、なぜかミギョンに対してだけは冷たくふるまう受験生。ミギョンに助けを求めたものの、あちこち引っ掻き回して他人に口出しするママのおせっかいにストレスを受けます。・・・そんなこんなで水道料金事件解決に乗り出したミギョンですが、その中でさらに大きい事件が関与していることに気づきます・・・。原題は「범죄의 여왕」です。
 5位「愛人/ラマン」は、1992年のジャン・ジャック・アノー監督作品の再上映。韓国題は「연인」です。
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