ヌルボ・イルボ    韓国文化の海へ

①韓国文学②韓国漫画③韓国のメディア観察④韓国語いろいろ⑤韓国映画⑥韓国の歴史・社会⑦韓国・朝鮮関係の本⑧韓国旅行の記録

高校生にすすめる本360冊(1998年版&増補) [4]

2013-08-23 23:21:48 | 高校生にすすめる本360冊

 今回は詩集・歌集と、日記・自伝あるいは自伝的小説です。
 純文学作品と比べると、自伝関係では迷うことなく「これはぜひ読んでみて!」と言える本が並んでいて、ここにあげた以外にもたくさんあります。

☆印はとくに推奨。×印は品切れまたは絶版中の本(多すぎる!) △は絶版・品切れでも単行本なら出ている本。
76三好達治三好達治詩集新潮文庫76=この詩人の戦争協力はさておき、日本的叙情溢れる作品は音感的にも、美しく懐かしく心に沁みる。萩原葉子「天上の花」(新潮)は萩原朔太郎の妹と達治とのすさまじい愛憎を記す。
77=現代の代表詩人の選集。できれば単行本(327・328)で。
78~81=国語教科書的短歌から離れて。78は、短歌のいろんな<ワク>をとっぱらったベストセラー。短歌が年配者だけのものではないという証拠は78以前にも79がある。「海を知らぬ少女の前に麦藁帽のわれは両手をひろげていたり」-コチラには青春の衒(てら)いがある。80は、貧苦のため高卒で家業の豆腐屋をついだ青年の、生活の闘いと鬱屈した心情を、短歌を軸に日記風に綴ったもの。81も同じく、あの60年代後半。当時特有の感性と<問題意識>をなお持続するこの歌集を、今の若い世代はどう受けとめるのだろう?
82=暗い時代、苦しい生活の中にあって、閉ざされた情熱は読む身につらい。日記や詩、評論も読んでほしい。
83=明治初期、群馬のフランス式製糸工場に率先して働きに出た氏族の少女の日記。溌剌とした気持ちが時代を越えて伝わってくる。
84~104=自伝もしくは自伝的小説。どれも感動的な本だ。みんな夢を抱き、強い意志を持ち、困難にめげず努力を積んだ人ばかり。読んでる自分が恥ずかしくなる。そしてどれも歴史の勉強にもなる。84~86は人気作家それぞれの青春。87・88は戦中の朝鮮で過ごした学生時代を内省的に(87)、あるいは感傷的に(88)描く。89は戦時中の東京帝大生の日々。自由が窒息させられていく恐ろしさ。著者は今も歳を感じさせないリベラリスト。90は著名な山岳写真家の修行時代。91は旧石器文化研究の端緒をつくった民間考古学者。305「かもしかみち」同様信州白樺教育の一端が垣間見られる。92・93は在日朝鮮人作家。(高さんの息子は「ぼくは12歳」(ちくま)という衝撃的な詩集を残して自殺した岡真史君。) 93はこの題が決して大げさではないほどの強烈な人生に圧倒される。94は戦前の封建的な地方の風土と不遇な境遇にめげず向学心を燃やす少女。95はプロ棋士(将棋)。96は卓球世界チャンピオン。昔の選手は逆境の中よく練習した。97は明治人の生活と心情を知る優れた史料。98の著者は5.15事件で暗殺された犬養毅首相の孫。99は横浜生まれで類似から戦後まで長く活動した社会主義者の自伝。<主義者>以前にヒューマニストなのだ。現在の<平和>に安住してる人たち、社会主義への先入観を捨てて読むべし。100・101は作家の自伝的小説。100は大正末の小樽を舞台に、恋愛や文学を通して文学青年の夢、悩み、野心を描く。純粋で悩み多き、これぞ典型的青春像だったんだなあ、昔は。101は明治青年の意気と情熱に富んだ健全な上昇志向。(いつ頃から<出世するのは悪いヤツ>という見方が定着したのだろう?) 読む方も熱くなる。それにしても、<小さな幸せ>という大敵に八方取り囲まれた現代青年にとって、語るに足る人生を生きることはもう不可能に近いのだろうか? でも102は相当ドラマチック。現在の人気俳優がボクサーとしてまず有名になる以前のツッパリ少年の頃からを語る。103は対極的なフツーの少年だった推理作家の中高生時代。しかし舞台は102と同じ大阪。それもとりわけ濃ユイところ。
104=幸福にはほど遠かった作家の少年時代。ともに生きた32冊の名作を痛切な思い出とともに案内する。
77谷川俊太郎これが私の優しさです
(谷川俊太郎詩集)
集英社文庫
78俵満智サラダ記念日河出文庫
79寺山修司寺山修司青春歌集角川文庫
80松下竜一豆腐屋の四季講談社文庫
81道浦母都子無援の抒情岩波同時代ライブラリー

82
石川啄木啄木日記角川文庫

83
和田英富岡日記中公文庫
84北杜夫どくとるマンボウ青春記中公文庫
85井上ひさしモッキンポット師の後始末講談社文庫
86松本清張半生の記新潮文庫
87日野啓三台風の眼新潮文庫
88富島健夫生命の山河集英社文庫
89加藤周一羊の歌岩波新書
☆×
90
白簱史朗山と写真 わが青春岩波ジュニア新書

91
相沢忠洋「岩宿」の発見講談社文庫

92
高史明生きることの意味ちくま文庫
93梁石日修羅を生きる講談社現代新書

94
丸岡秀子ひとすじの道偕成社文庫

95
大内延介決断するときちくま文庫
×
96
荻村伊智朗卓球・勉強・卓球岩波ジュニア新書
97石光真清城下の人中公文庫
98犬養道子花々と星々と中公文庫
99荒畑寒村寒村自伝岩波文庫

100
伊藤整若い詩人の肖像新潮文庫
☆×
101
徳富蘆花思出の記岩波文庫
102赤井英和赤井英和のごんたくれ青春文庫
103東野圭吾あの頃ぼくらはアホでした集英社文庫
104宮本輝本をつんだ小舟文春文庫


 あら!? 矢沢永吉「成りあがり」(角川文庫)は入れたつもりだったが、何度目かと改定の時に落としちゃったかな? ※この本の取材構成は糸井重里とのこと。

 自伝に関連して。
 以前にもどこかで書きましたが、戦後生まれが大半となった今、身の上話がそのままドラマチック!という人はずいぶん少なくなったのでは、と思います。学校を出て就職して、約40年サラリーマン暮らしで、定年を迎えて、では身世打鈴(シンセタリョン)になりようもありません。もちろん私ヌルボもその1人。それはたしかに相対的に「幸せな人生」とも言えるのですが・・・。

 さて、今回のリストを自分自身見直してみて、これは絶対再読しなければと思ったのが富島健夫「生命の山河」。富島健夫(1931~98)の父母は1911年東洋拓殖の小作農に応募して朝鮮に渡ったとのことで、彼が生まれたのも京畿道華城市(現在)。この「生命の山河」も「朝鮮の自然の中で恋やケンカに明けくれた少年時代を詩情豊かに描く自伝的青春小説」なのですが、そのディテールはほとんど記憶に残ってなくて・・・。五木寛之の1つ年上で、引揚げてきた後早稲田大学文学部に進んだのも同じですが、38度線の北か南かの違いは大きかったかも。
 なお、日野啓三(1929~2002)は彼等より少し年上。生まれは東京で、小中学校時代を朝鮮で過ごしました。

 しかし、「啄木」の「啄」は中に点のある字が正字のはずですが、今の教科書等ではどうなってるのかな? パソコン入力ではどうしようもない。→コチラにいろいろ書かれていましたが・・・。そういえば、戸塚・平塚の塚も以前は点がついてましたね。多くの人が間違って使っていれば、それがいつか正しいものになるということで、ムキになって反論したり嘆いたりはしませんけど。
 森鷗外は朝日新聞等の鴎外でなく、ちゃんと鷗外と変換されます。

韓国のロングセラー 全分野・児童書まで

2013-08-23 23:03:18 | 韓国の小説・詩・エッセイ
横浜市立図書館3Fにある新聞閲覧台では数日遅れの「朝鮮日報」を読むことができます。一昨日(21日)は17日の新聞。土曜なので読書を開くと10년이 지나도 펄떡이는 녀석들(10年経ってもピンピンしているヤツら)という見出しの大きな記事がありました。
 出版社30社を対象に、2003年までに発行された本の中で、刊行後10年以上続けて毎年1万部以上売れた本にはどんな本があるかを調査した記事です。
 その結果、当該の「10年1万部クラブ」に入った本は合計160。
 以下、その記事に載っている本を全部私ヌルボのコメントも交えて紹介します。

※「朝鮮日報」(韓国版)のサイト中のこの記事は→コチラです。 
※最初に、ちょっと気になったのが「ステディセラー(스테디셀러)」という言葉。日本ではふつう「ロングセラー(롱셀러)」ですが、韓国ではなぜかこの「스테디셀러」がよく出てきます。もしかして韓国製英語? 私ヌルボ、英語は苦手なもんでよくわかりませんが・・・。以下ではとりあえず「定番」としておきました。

     

 では、どんどんあげていきます。

 刊行年の古いものを見ると・・・。
・崔仁勲「広場(광장)」(1960年)・・・累計65万部が販売された。
・趙世熙「小人が打ち上げた小さなボール(난장이가 쏘아올린 작은 공)」(1978年)・・・この長いタイトルはふつう'난쏘공(ナンソゴン)'と略して呼ばれています。都市貧困層や工場労働者、撤去民の家族を描いた韓国初の小説で、文学史的にも社会史的にも重要な作品なのに日本語訳がなぜ刊行されていないのか? もしかして、「난장이(小人)」という言葉や、その「小人」の描き方が日本では障碍者差別に関わるということかな、と思ったりもするのですが、よくわかりません。
・李文烈「三国志(삼국지)」(1988年)・・・1800万部売れたとか。この数字は日本の尺度でみてもすごい。
・趙廷来「太白山脈(태백 산맥)」(1986年)・・・韓国の定番の小説には朴景利「土地」、黄皙暎「張吉山」等々長大な作品が多いです。これは原書・日本語訳とも全10巻。私ヌルボ、映画は観たんだけどな。
 歴史小説では、
・金薫「孤将(칼의 노래.刀の歌)」(2001年)・・・孤独な将軍とは李舜臣。蓮池薫さんの訳本が新潮文庫にあります。

 外国人作家の作品では、
・パウロ・コエーリョ「錬金術師(연금술사)」(2001年)・・・日本でも読まれていますが、韓国ではそれ以上。
・ハーパー・リー「アラバマ物語(앵무새 죽이기.オウムを殺すこと)」(2001年)・・・原題は「To Kill a Mockingbird」なのですが・・・。グレゴリー・ペック主演の映画は半世紀前か。しかしなぜ韓国でこれが読み継がれているのか?
・ベルナール・ウェルベル「木(나무)」(2003年)・・・「蟻」をはじめ、韓国ではなぜか大人気の作家。この作品は日本では未訳。
・アラン・ド・ボトン「小説 恋愛をめぐる24の省察(왜 나는 너를 사랑하는가)」(2002年)・・・これも韓国ではブームに。日本でも訳されてはいますが・・・。
・村上春樹「ノルウェイの森(喪失の時代.상실의 시대)」(1989年)・・・韓国でも根強い人気。

 詩集はごく少数。その中で最強の定番は、
・リュシファ「今知っていることをその時も知っていたなら(지금 알고 있는 걸 그때도 알았더라면)」(1998年)・・・詩集で累計123万部とは、日本では考えられないのでは・・・。彼の詩集は「君がそばにいても僕は君が恋しい」(訳:蓮池薫)等2冊が訳されていますが、これは未訳。この詩人の名前、柳(劉?)時和とでも書くのかと思ったら、本名はアン・チェチャンだそうです。
・金龍澤(キム・ヨンテク)「詩が私のところに来た(시가 내게로 왔다)」(2003年)・・・累計 60万部。副題に「金龍澤が愛する詩(김용택이 사랑하는 시)とあるように、彼自身の詩ではなく、徐廷柱・金洙暎・高銀等々の、彼の好きな詩を集めた本。実はヌルボも持っています。
・奇亨度(キ・ヒョンド)「口の中の黒い葉(입 속의 검은 잎)」(1989年)・・・累計26万部。90年代の若者たちのアイコンになってしまった夭折詩人キ・ヒョンド(1960~89)のただ1冊の詩集だそうです。(→コチラの記事参照。)

 文学以外の外国書です。
・リチャード・ドーキンス「利己的な遺伝子」(1993年)  
 ・ジャレド・ダイアモンド「銃・病原菌・鉄(총, 균, 쇠)」(1998年)
・・・これら2冊は日本でも話題になりました。
・スティーブン・R・コヴィー「7つの習慣―成功には原則があった!(」(1994年) 
 ・ケン・ブランチャード「シャチのシャムー、人づきあいを教える(칭찬은 고래도 춤추게 한다.賞賛はクジラも踊らせる)」(2003年)
・・・自己啓発本の分野は私ヌルボ、語る資格なし。この2冊、日本でも評価は高いようです。
・塩野七生「ローマ人の物語(로마인 이야기)」・・・韓国でも定番の本。

 人文関係の韓国人著作の定番。
・イ・ユンギ「ギリシア・ローマ神話」(2000年)
・チン・ジュングォン「美学オデッセイ」(1994)
 ・ユ・ホンジュン「私の文化遺産踏査記(나의 문화유산답사기)」(1993年)
・・・上掲の「小人が打ち上げた小さなボール」とともに、他の出版社社長が欲しがる本の1位に上がった本。最初の全羅南道編に始まったシリーズ7巻まで、韓国各地を踏査した後、今年7月には日本編として「1 九州」「2 奈良・飛鳥」の2冊も発行されました。
・オ・ジュソク「オ・ジュソクの韓国の美 特講(오주석의 한국의 미 특강)」(2003年)・・・あやうく「韓国の米」と訳すところでした。もちろん美術史の本です。

 最近20年ぶりに再刊された注目書。
・チョン・モンガク「ユンミの家(윤미네 집)」(2010年)・・・土木技術者として京釜高速道路を建設し、大学教授として弟子を育てた著者(1931~2006)は生涯カメラを離さなかったアマチュア写真家でもあった。その彼が、娘が生まれてから嫁に行くまでの26年間(1964~89年)の成長の記録を写真集として刊行したのが1990年。その時はわずか1000部の発行だったが、その評判は衰えることなく、近年20年ぶりに再刊された。家族の歴史だけでなく、その間の韓国社会の変貌も見て取れる。この本のことは私ヌルボ、知りませんでした。見てみたいです。

 <10年1万部クラブ>に入っている160冊の本の3分の1は子どもの本です。多くは日本でも翻訳されています。
 韓国の絵本では、
・権正生「こいぬのうんち」(1996年)・・・2011年に100万部を突破。この原書は韓国語の初級学習者の皆さんにもオススメ。
・チェ・スッキ「十二支の動物のいないいないばあ(열두 띠 동물 까꿍놀이)」(1998年)・・・「檀君 朝鮮半島の建国神話」が神谷丹路さんの訳で出ているだけです。
・クォン・ユンドク「マンヒのいえ(만희네 집)」(1995年)・・・日本でも1998年に刊行されましたが、今は品切(or絶版)。この絵本も私ヌルボのオススメです。

 日本の絵本の韓国語版がいかに多いかについては過去記事(→コチラ)でも書きました。
・多田ヒロシ「りんごがドスーン(커다란 커어다란 사과가 쿵!)」(1996年)

 欧米の作家の名作絵本の多くは日韓両国でも人気。
・ヴェルナー・ホルツヴァルト「うんちしたのはだれよ(누가 내 머리에 똥 쌌어)」(1993年)・・・「うんち」に子どもが興味を示すのは国や民族を問わず(?)のようですが、韓国はさらに一段上のような・・・。(→関連過去記事。)
・マイケル・ローゼン「きょうはみんなでクマがりだ(곰 사냥을 떠나자)」(1994年)
・アンソニー・ブラウン「ウィリーの絵(美術館に行ったウィリー.미술관에 간 윌리)」(2000年)
 ・アンソニー・ブラウン「おんぶはこりごり(돼지책.ブタの本)」(2001年)
・・・韓国題と日本題の差はどこにあるかと原題を見ると「PIGGY BOOK」。つまりPIGGY BACK(おんぶ)との掛け言葉になっている。
・ジョン・バーニンガム「いつもちこくのおとこのこ-ジョン・パトリック・ノーマン・マクへネシー(遅刻大将ジョン.지각대장 존)」(1996年)・・・日本語版は谷川俊太郎訳。韓国語ではこの長い名前をどう表記しているのか、ちょっと見てみたら「존 패트릭 노먼 맥헤너시」で、カタカナ書きより見やすいかも。
・フランツィスカ・ビアマン「本を食べる狐(책 먹는 여우)」(2001年)・・・日本未訳。

 子ども向きの読み物では、
・ファン・ソンミ「庭を出ためんどり(마당을 나온 암탉)」(2002年)・・・日本語訳あり。2011年に作られたアニメについては、本ブログでも記事にしました。(→コチラ。)
・ミヒャエル・エンデ「モモ(모모)(1999年)・・・原著は1973年発行。岩波から翻訳が出たのは1976年。他の多くの「定番」同様、韓国では20年余の年差があります。

     

 上のリスト(左)は教保文庫での定番の本(ステディセラー)の販売順位(今年1〜8月)です。
①ジャレド・ダイアモンド「銃・病原菌・鉄(총, 균, 쇠)」(1998年)
 ②「その男ゾルバ(그리스인 조르바.ギリシャ人ゾルバ)」(2000年)
・・・この小説の人気も日韓で大きな差があります。
③村上春樹「ノルウェイの森(喪失の時代.상실의 시대)」(1989年)
④パウロ・コエーリョ「錬金術師(연금술사)」(2001年)
⑤リチャード・ドーキンス「利己的な遺伝子」(1993年)
⑥リュシファ「今知っていることをその時も知っていたなら(지금 알고 있는 걸 그때도 알았더라면)」(1998年)
 ⑦ロバート・B・チャルディーニ「影響力の武器―なぜ、人は動かされるのか(説得の心理学. 설득의 심리학)」
・・・日本でも注目された本。
⑧趙世熙「小人が打ち上げた小さなボール(난장이가 쏘아올린 작은 공)」(1978年)
 ⑨チョン・ジェスン「科学コンサート(과학 콘서트)」(2003年)
・・・「第1楽章Vivace molto」から「第4楽章Poco a poco Allegro」の構成で、ソテジだのポロックだのいろんな例を出してヌルボもおなじみのマーフィーの法則等々をわかりやすく書いた科学の本のようです。
⑩金薫「孤将(刀の歌.칼의 노래)」(2001年)

 リスト(右)は子どもの本の定番の販売順位(今年1〜8月)です。
①E・B・ホワイト「シャーロットのおくりもの(샬롯의 거미줄.シャーロットのクモの糸)」(2000年)
②権正生「こいぬのうんち」(1996年)
 ③シェル・シルヴァスタイン「大きな木(아낌없이 주는 나무.惜しみなく与える木)」(2000年)
・・・韓国の書名はあまりに直接的なのでいかがなものかと思いますが、原書は「The giving tree」なのですね。知らなかった。
④マックス・ルケード「たいせつなきみ(너는 특별하단다.おまえは特別だと言う)」(2002年)・・・日本でも刊行されましたが、絶版(or品切れ)のようです。
⑤「小学生のためのタルムード111(초등 학생을 위한 탈무드 111가지)」(2002年)・・・韓国本。個人ではなく出版社編集部による本。
⑥ムン・ソニ「양파의 왕따일기(タマネギのいじめ日記)」(2001年)・・・書名の意味が気になって<YES24>で見てみたら、人気者の女の子ヤン・ミヒに群がる一派をヤン派(ヤンパ)=タマネギと言ってるんですね。女の子たちの人間関係の中でのいじめ問題を扱った作品、かな?
⑦ファン・ソンミ「庭を出ためんどり(마당을 나온 암탉)」(2002年)
 ⑧朴婉緒「自転車泥棒(자전거 도둑)」(1999年)
・・・副題が「朴婉緒童話集」。これは読んでみようかな。
⑨トリーナ・ポーラス「クローラーズ ぼくらの未来―花たちに希望を(꽃들에게 희망을)」(1999年)・・・さまざまな冒険を通して蝶々が成長していく物語。これも日本では現在絶版(or品切れ)のようです。
⑩モーリス・センダック「かいじゅうたちのいるところ(괴물들이 사는 나라.怪物たちが暮らす国)」(2002年)・・・神宮輝夫の訳本(冨山房)刊行は1975年。

※韓国での発行年は、現在刊行されているものなので、もしかしたら新版・改訂版が出る以前に発行された古い版がある本もある可能性があります。

 さて、以上いろんな本についてざっと見て、「日韓の違いは?」と見ると、そんなに大きな差はないように思います。とくに最近の世界的なベストセラーについては共通。
 文学関係では、たまに「韓国だけでなぜ人気?」とか、たぶんその逆もあって、そこらへんを探ってみるのもおもしろそうかも・・・。

 韓国での詩集人気は韓国ウォッチャーにはよく知られているところ。
 あと、韓国では「成功するための~」のような実利を求める生き方の本がけっこう読まれているのでは、というのがヌルボの見方。

 この記事の基本的な点で言えば、「10年以上、1万部以上」というハードルは、日本基準で見るとかなり低いのではないでしょうか?