ヌルボ・イルボ    韓国文化の海へ

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高校生にすすめる本360冊(1998年版&増補) [1]

2013-08-15 13:40:19 | 高校生にすすめる本360冊
 今年4月19日の記事のコメントで少し予告しましたが、これからは韓国関係以外でも、以前高校生たちに配ったりしたお薦め本や映画のリスト等を時折アップしていくことにします。
 まずは「高校生にすすめる本360冊」。最初は30年ほど前50冊からスタートしたものを、その後冊数を増やしながら改定を重ね、今回紹介するのは1998年に出した最終版です。
 以後15年経っているので、品切れ・絶版等の状況は現在かなり変わっていますが、説明文等とともにそのままの形で載せることにしました。
 すでに90年代の時点で職場の同僚等からは推薦書目が「ちょっと古いな~」との声も出ていましたが、それは重々承知の上です。ヌルボ自身の少年時代からの読書記録といった意味合いもあるし、今の高校生向けの読書ガイドというよりも、ひとつの時代の記録として見ていただいた方がいいかもしれません。
 大体、教養主義の時代なんてのは何十年も前に終わって、こんな推薦本リストに興味を示す生徒がクラスに5人以上もいるような高校はほんの一握りしかないのが現状でしょう。
 草色・ピンク等の色がついている部分はすべて1998年の原文のままです。
 約20冊ずつ分野ごとに分けてアップしていく予定なので、全部で20回くらいになりそうです。途中で<読書家のためのクロスワード>というのが2つ入っています。パズル好きの方は乞御期待!

 このブログで、どうすれば表を入れることができるのか、悪戦苦闘。ネット内をいろいろ見て試行錯誤の末やっとここまでこぎつけました。ふう~。

          《高校生にすすめる本360冊》              1998年7月 ヌルボ(凸凹高校社会科)
 そりゃあね、本がなくても生きてはいける。本を買わなけりゃ金もたまるし部屋も広く使える。しかし、本を読んで涙が溢れるほど、体が熱くなるほど感動したことがないとすれば、他人事だが残念。「読書!」といえば「感想文」を連想してしまうアナタはジツに不幸な人です。ぜひとも魅惑的な本の世界に案内したい一心で、自分の読書体験をさらけ出すという恥を忍んで作成したリストです。だまされたつもりで読んでみて下さい。
 ☆印はとくに推奨。×印は品切れまたは絶版中の本(多すぎる!) △は絶版・品切れでも単行本なら出ている本。
     [文庫・新書]  
1マルタン・デュ・ガールチボー家の人々白水Uブックス1・2=大作は、情熱に富み、感性のみずみずしい十代のうちに読むことをすすめる。1は第1次大戦前後のヨーロッパの大状況がわかる。忙しい人には少年向きのダイジェスト版で「チボー家のジャック」がある。2、何という作家!(=執行寸前で死刑を中止された体験もあるとか・・・)、何という小説!(=何かすごいものと大格闘してる、わけがわからん大小説。)
3・4=いわゆるヤング・アダルト文学の代表作。学校や世間にちょっと反抗心をもっている人に。
5=少年向きの文庫だが高校生以上の人にも読んでほしい。第1次大戦当時のイギリスの農場が舞台。賢く強く美しいヒロインが魅力的。作者も女性。道具立ては馬と飛行機という新旧の素敵な乗り物。とくに揺籃期の飛行機は興味深い。
6・7=ムムッ、これこそ文学! しかし、これらを愛読して自らの内面を凝視し、およそ解きえぬ問いに対峙するような青少年など、今どきどこを探せば見つかるのか・・・。(ワタシは就職試験で「愛読書は『デミアン』です!」と答えようと思い、前夜徹夜して読破した。が、尋ねてくれなかった。)
8=ヒューマニズムと理想主義を基調としたこの作品の価値は永遠に不滅、と思いたい。ベートーヴェンをモデルに、一ピアニストの精神の遍歴を描いた大河小説。
9=19世紀的大ロマン。中3の時、国語の先生が「君たちが読むのはまだ早い」と言ったので皆読んだ。あれは策略だったのかなあ?
10~12=女性向き感動的名作の定番だが、男子諸君にもまず薦めたい外国文学。10が気に入ったら姉C.ブロンテの「ジェーン・エア」(新潮)もどうぞ。11は南北戦争、12は清朝末期の中国社会が背景で、世界史の勉強になる。11は映画も有名だが、それでもやはり原作が上。
13=第2次大戦下、連合軍側の空襲によるドレスデンの惨禍をふまえた、一種フカシギなSF。軽くて深く、ユーモアと虚無がないまぜの、これが現代の純文学か・・・。
14~16=古い時代の物語(小説に非ず!)は理屈抜きで楽しめるものがいくつもある。昔の人はたいしたものだ、とつくづく感嘆。しかし、国語の教科書はなぜ近現代の難解な小説や評論ばかりなのだ???? 16中の作品に拠る「ふしぎなやどや」(ささきせつこ.福音館)という絵本もある。中国物では「聊斎志異」(角川)もお薦め。
17=牧歌的・幻想的・官能的な愛の物語。美少年+美少女、そして+未亡人となると、筋書きの見当はつくね? ムヒョヒョ。
18・19=18世紀の奇抜な空想冒険物語にして、風刺文学の傑作。18は波乱万丈。ハチャメチャなSFの感があって楽しい。
20=有名な復讐の物語だが、陰湿どころか痛快そのもの! やっぱり正義が勝ち、悪は成敗される。物語の世界ではね。
21=浪人中読み、わけはわからなかったが衝撃を受けた。同じ作者の「ペスト」(新潮)はずっと読みやすい。これもお薦め。(高校時代、カミュかサルトルかで友人と議論したものだ。何といっても、ジ、ツ、ゾ、ン主義の時代だったからねえ。)
22・23=政治に翻弄される個人の運命。22はフランス革命、23は第2次大戦直後のルーマニアが舞台。
24=動物文学の傑作。この犬ほど気高い動物がいるかね?ネコ好き諸君。人間にだってザラにはいないぞ。
25=豪傑武将縦横活躍仙人道士秘術駆使奇想天外荒唐無稽痛快無比殷末舞台空想科学通俗歴史冒険活劇大大驚愕中國奇書。
2ドストエフスキーカラマーゾフの兄弟新潮文庫
3サリンジャーライ麦畑でつかまえて白水Uブックス

4
ヘントフジャズ・カントリー講談社文庫
5ペイトンフランバース屋敷の人々岩波少年文庫
6ヘッセデミアン新潮文庫
7マントニオ・クレーゲル新潮文庫
8ロランジャン・クリストフ新潮文庫
9スタンダール赤と黒新潮文庫

10
E.ブロンテ嵐が丘新潮文庫

11
ミッチェル風と共に去りぬ新潮文庫

12
バック大地岩波少年文庫
13ヴォネガットスローターハウス5ハヤカワ文庫
14ラムシェイクスピア物語新潮文庫
×
15
ボッカチオデカメロンちくま文庫
16
唐宋伝奇集岩波文庫
17ロンゴスダフニスとクロエー岩波少年文庫
×
18
ヴォルテールカンディード岩波文庫
19スウィフトガリヴァー旅行記新潮文庫
岩波文庫

20
デュマモンテ・クリスト伯岩波文庫
21カミュ異邦人新潮文庫
22フランス神々は渇く岩波文庫
×
23
ゲオルギウ二十五時角川文庫
24ロンドン野性の呼び声新潮文庫
25
封神演義講談社文庫


 360冊の最初に世界文学の名作を並べるのは、本棚の最上段にカクチョー高そうな本を置くのと同じかも・・・。あれこれ自己分析するとちょっと恥ずかしいですね。(ゴマカシ笑) とはいうものの、高1の時読んだ「チボー家の人々」と「カラマーゾフの兄弟」(米川正夫訳.岩波文庫)の2つは私ヌルボにとって特別。まさにその時期なればこその決定的な出会いでした。
 さて、この25冊は近代以降の小説と近代以前の物語に大別されますが、おもしろさでは何と言っても後者ですね。洋の東西を問わず、多くの庶民に親しまれ受け継がれてきた物語は今も色褪せない魅力があります。しかし学校の国語では圧倒的に近現代の小説に比重がおかれています。そのことも本を読まない子どもを量産してしまっている一因ではないでしょうか? それ以前に文学偏重の国語教育というのも大きな問題ですが、その件についてはいずれまた。
コメント (7)
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