ヌルボ・イルボ    韓国文化の海へ

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韓国内の映画 Daumの人気順位 と 週末の興行成績[8月2日(金)~4日(日)]

2013-08-06 23:55:59 | 韓国内の映画の人気ランク&興行成績
 先週少し書いたように、8月1日(木)国立近代美術館フィルムセンターに行って清水宏監督の「ともだち」「京城」(ともに1940年)を観てきました。
 「ともだち」の最初のシーンは、校庭で上半身裸で整列して剣道の稽古(教練の授業?)をしている児童たち。1人だけ民族服の朝鮮人少年がいて先生から何か注意されている・・・。その後「内地から朝鮮に転校してきた少年が、その少年と心を通い合わせる様子」が描かれる、といっても、自分の着ていた服と朝鮮人少年の民族服を交換して着るというのが眼目とは、わずか13分の映画とはいえ、SARUさんの「監督の意図はどうあれ、内鮮一体映画に見えてしまう」というツイートがまさにその通り。清水監督といえども時代の壁は越えられなかったということ。
 その日本人少年が朝鮮人少年を追い回した場所は、正確には特定できませんが、たぶん今も残るソウルの城郭ではないかと思います。ヌルボは直接見たわけではありませんが、<コネスト>の画像(→コチラ)や、先月現地を歩いたという→コチラのブログ記事が参考になります。
※[8月9日の追記] ソウル一市民さんの情報提供(下のコメント)のおかげで今日の「日本経済新聞」に載っている宋桓昌さんの寄稿を読みました。「ともだち」で朝鮮人少年を演じた人で、撮影当時の思い出をいろいろ書いています。それによると撮影場所は水原(スウォン)だったとのこと。上記の「ソウルの城郭ではないか」という推測は間違いでした。「撮影は1か月らいただったと思う。2、3日おきに撮影に呼ばれたので、よく学校を休んだ」とか。「その時生まれて初めて朝鮮服を着た」というのは意外。「当時のソウルの小学校は立派な鉄筋校舎で、みな詰め襟の学生服にランドセルで通った。朝鮮服を着て来る子はいなかったし、風呂敷に本や弁当をくるむ子もいなかった。荷物を頭の上に載せて歩く場面がある。あれも女性がすることはあるが子どもはしない。朝鮮の風習をわかりやすく見せようとしたのだろう」・等々・・・。うーむ、映画の映像をそのまま信じてはいけないんだなー。7月21日のフィルムセンターでの上映には中学の同級生も見に来てくれ、そして宋さんはあいさつの最後で和歌を詠み、それがこの記事の末尾でも載せられています。「迷いなく熱演したるともだちは日本人たりし幼時のわが像」。(ご自身が日本語が書いたのでしょうか?)
 「京城」も、「ともだち」と同じく朝鮮総督府鉄道局映画となっています。街のいろんな建造物や人々の様子の点描。ヌルボが観てわかるものもあり、わからないものもあり。わかったもの&メモを取ったものでは、京城第一(?)高等女学校やどこぞの小学校の正門・校舎・校庭。女学生たちのバレーボール。京城中央放送局(JODK)。陸軍志願者訓練所。朝鮮取引所。三越百貨店。三越前(郵便局・朝鮮銀行前)ロータリー。和信百貨店。市場の(?)小さな靴屋や表札屋等。清渓川や漢江の畔で砧を打ち洗濯しているたくさんの女性たち。総督府の建物の屋上で(昼休み?)キャッチボールやバレーボールを楽しむ多くの男女。景福宮。昌慶宮動物園(→参考過去記事) 。徳寿宮。たぶん文廟内の明倫堂。競馬場(どこだ?)。ゴルフ場(どこだ?)。京城駅。映画館(どこだ?)では「信子」(1940.清水宏監督!)「ゼンダ城の虜」(1937.アメリカ)「授業料」(1940.崔寅奎[チェ・インギュ])を上映中。(※「授業料」については→コチラ参照。この映画、ぜひ観たい!) レストラン・寿司屋・天ぷら屋(どこだ?)。料亭(どこだ?)では妓生の踊りも。 24分の短い映画だし、動画をネット上にアップしてほしいなー。

 やっと現在の映画の話。<疾走する「雪国列車」・・・「グエムル」を轢いて突っ走るか?>。これは5日の「京郷新聞」(韓国語)の見出し。
 ずっと前から話題になっていたポン・ジュノ監督による韓・米・仏合作映画「雪国列車」は前評判通り出足快調! 原作はフランスのコミック(バンドデシネ)。突然襲ってきた氷河期、生存者たちが乗る列車の最後部車輌は抑圧に苦しめられている者たち。彼らが金持ちや公権力者がいる前方車輌に向かって死闘を繰りひろげるというストーリー(かな?)。
 「京郷新聞」の記事によると、公開日の7月31日から5日間の累積観客数は329万7566人で、これは韓国映画で過去最多の13,019,740人の動員記録を持つ同監督の「グエムル 漢江の怪物」の5日間の記録272万人を上回るペースとのこと。また6月初旬公開の「隠密に偉大に」はもう少し早く5日目午前に300万人突破は、これは顕忠日による連休による所も大きかったそうです。
 ところが、この「雪国列車」に対するネチズンの評点平均は7.0(DAUM映画)とそんなに高くありません。「殺人の追憶」の9.4、「グエムル」の9.0よりずっと下。「暗すぎる」とか「後半が退屈」との声が出ているそうです。しかし熱血会員の評点平均は7.8、専門家は7.6と一般ネチズンの評点を上回っているのは異例。今回2位の「ザ・テロ・ライブ」の評点がネチズン8.5、熱血会員8.0、専門家6.8であるのと対照的。つまり玄人好みということかな? 日本では今秋公開とか。早く見てみたいものです。

           ★★★ Daumの人気順位(8月6日現在上映中映画) ★★★

【ネチズンによる順位】

①道の上で(韓国)  9.3(60)
②ザ・クルーズ  9.2(309)
③ターボ  9.2(144)
④カミーユ、ふたたび  9.1(28)
⑤グラン・ブルー  9.0(91)
⑥イン・ザ・ハウス  9.0(28)
⑦ウォールフラワー  8.8(132)
⑧25年目の弦楽四重奏  8.7(35)
⑨がんばって、ビョンホンさん(韓国)  8.6(28)
⑩ザ・テロ・ライブ  8.5(998)

 作品の入れ替わり、順位変動はありましたが、新登場の作品はありません。

【専門家による順位】

①ザ・マスター  9.0(5)
②ビフォア・ミッドナイト  7.7(4)
③雪国列車(韓国・米・仏)  7.6(6)
④ザ・クルーズ  7.3(3)
⑤25年目の弦楽四重奏  7.2(4)
⑥パシフィック・リム  7.2(4)
⑦プレイス・ビヨンド・ザ・パインズ/宿命  7.0(3)
⑧ピュア  7.0(2)
⑨イン・ザ・ハウス  7.0(1)
⑨スーパースター  7.0(1)

 ③・⑦・⑨「スーパースター」の3作品が初登場です。
 ③「雪国列車」は冒頭で詳述しました。
 ⑦「プレイス・ビヨンド・ザ・パインズ/宿命」は日本では5月に公開されています。韓国題は「플레이스 비욘드 더 파인즈」です。
 ⑨「スーパースター」はヴェネチア国際映画祭(2012)でも上映されたフランスのコメディ。町工場で働いているフツーの平凡なオジサンがある日通勤の地下鉄に乗ると、他のたくさんの乗客からケータイで写真を撮られるわサインを求められるわと大変なことに・・・。なぜか一晩の間に、韓国語では「하루아침에」スーパースターに変わっていたんですねー。さらには、奇想天外なトークショーに招かれちゃったり、ネット検索すると膨大な情報がヒットしたり・・・。一体どーゆーことなの?? ・・・って、それは映画を観なければわからないみたい。観た人たちはおもしろかった!と書いているのがはがゆいところ。しかし日本公開は未定のようです、たぶん。韓国題は「슈퍼스타」。

         ★★★ 韓国内の映画 週末の興行成績[8月2日(金)~4日(日)] ★★★

         「雪国列車」、あっという間に300万人突破!

【全体】

順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・・・・・週末観客動員数・・・・累計観客動員数・・・・累積収入・・・上映館数

1(31)・・雪国列車(韓国・米・仏)・・・・・・・8/01・・・・・・・・・・・・2,260,172 ・・・・・・・・3,296,296・・・・・・・23,823 ・・・・・1,128
2(7)・・ザ・テロ・ライブ(韓国)・・・・・・・・・・7/31・・・・・・・・・・・・1,195,607 ・・・・・・・・1,836,773・・・・・・・13,293・・・・・・・743
3(3)・・ターボ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・7/25・・・・・・・・・・・・・・355,847 ・・・・・・・・1,382,947 ・・・・・・・・9,594・・・・・・・515
4(20)・・スマーフ2 アイドル救出大作戦!・・8/01・・・・・・・・・293,892 ・・・・・・・・・・437,933 ・・・・・・・・2,925・・・・・・・478
5(1)・・REDリターンズ・・・・・・・・・・・・・・・7/18・・・・・・・・・・・・・・194,451・・・・・・・・・2,756,412・・・・・・・19,795 ・・・・・・・381
6(4)・・監視者たち(韓国) ・・・・・・・・・・・・7/03・・・・・・・・・・・・・・・54,783・・・・・・・・・5,458,561・・・・・・・39,032・・・・・・・214
7(2)・・ウルヴァリン:SAMURAI ・・・・・・・7/25・・・・・・・・・・・・・・・54,540 ・・・・・・・・1,031,266 ・・・・・・・・7,494・・・・・・・259
8(5)・・ミスター・ゴー(韓国)・・・・・・・・・・・7/17・・・・・・・・・・・・・・・40,679 ・・・・・・・・1,301,276 ・・・・・・・・9,153・・・・・・・145
9(8)・・映画ドラえもん・・・・・・・・・・・・・・・・7/25 ・・・・・・・・・・・・・・15,366・・・・・・・・・・110,780・・・・・・・・・・・710 ・・・・・・・80
       のび太のひみつ道具博物館〈ミュージアム〉(日本)
10(6)・・パシフィック・リム ・・・・・・・・・・・・7/11・・・・・・・・・・・・・・・15,119 ・・・・・・・・2,531,742 ・・・・・・・20,408・・・・・・・・44
       ※KOFIC(韓国映画振興委員会)による。順位の( )は前週の順位。累積収入の単位は100万ウォン。

 今回は何といっても「雪国列車」ですが、2位のハ・ジョンウ主演のアクション「ザ・テロ・ライブ」も大健闘。週末動員数もふつうなら1位相当の数字。先に記したようにネチズンの評点もコチラの方がずっと高く、今後の展開が興味深いところです。
新登場は1位と4位の2作品だけです。
 1位「雪国列車」については記事冒頭でいろいろ書いた通りです。韓国題は「설국열차」。
 4位「スマーフ2 アイドル救出大作戦!」は、半世紀前ベルギーの漫画家ペヨが生み出した小さな青い妖精スマーフの活躍を実写+CGアニメ「スマーフ」(2011)の続編。日本公開は8月16日で、すでに諸情報が流されています。韓国題は「개구쟁이 스머프 2」。

【多様性映画】

順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・・・・週末観客動員数・・・・累計観客動員数・・・・累積収入・・・上映館数
1(新)・・プレイス・ビヨンド・ザ・パインズ/宿命・・8/01 ・・・・・・・4,645 ・・・・・・・・・・・・・・・6,007・・・・・・・・・・・46・・・・・・・・・・29
2(新)・・ゴースト ニューヨークの幻・・1990/11/24・・・・・・・・・・・2,359・・・・・・・・・・・・・・・・7,955・・・・・・・・・・・19・・・・・・・・・・・1
3(1)・・ザ・マスター・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・7/11 ・・・・・・・・・・・・・1,412 ・・・・・・・・・・・・・・29,220・・・・・・・・・・221 ・・・・・・・・・17
4(4)・・道の上で(韓国) ・・・・・・・・・・・・・・・・5/23・・・・・・・・・・・・・・・774・・・・・・・・・・・・・・・38,803・・・・・・・・・・267 ・・・・・・・・・11
5(3)・・ビッグ・ピクチャー・・・・・・・・・・・・・・・7/04 ・・・・・・・・・・・・・・・529 ・・・・・・・・・・・・・・22,171・・・・・・・・・・166・・・・・・・・・・13

 新登場は、1位と2位の2作品。
 1位「プレイス・ビヨンド・ザ・パインズ/宿命」は前述の通り日本では公開済み。
 2位「ゴースト ニューヨークの幻」は1990年公開のおなじみのアメリカ映画。韓国題は「사랑과 영혼(愛と霊魂)」で邦題とは全然違います。このところ毎回ランク入りしている楽園商街のシルバー映画館での上映作。そのウェブサイト(→コチラ)を見ると、次の予定は「市民ケーン」だそうです。