ヌルボ・イルボ    韓国文化の海へ

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[韓国語] 「ピランミン」は「避難民」ではなくて・・・・

2010-11-27 22:59:04 | 韓国語あれこれ
 この3日間、たとえて言えば、料理の皿が多すぎてどれから手をつけていいかわからないように、延坪島砲撃をはじめ韓国関係のネタがたくさんありすぎた上、私ヌルボがいろいろ忙しかったのと、かったるくて気が今ひとつ乗らなかったこともあって、記事をupしないままになっていました。

 さて、その延坪島砲撃についてですが、はっきりいってよくわかりません。「北朝鮮内部の対立」とか「アメリカとの対話を求めようとの意図」とか「権力世襲に向けて・・・」等々、コメントしている識者の皆さんの論拠をそれぞれ聞いてみたいものです。
 また金太郎飴的な新聞・テレビの報道も例のごとしで、こういう時は何かにつけ傾聴すべきうがった見方(?)を展開しているジャーナリスト・田中宇の見解(=「韓国側が先に砲撃した可能性がある」)をアタマの隅に置いておくのがよさそうです。
 しかし、何であんな危険な海域でわざわざ北朝鮮を刺激(挑発?)するような軍事演習をするんですかねー? (・・・という声は韓国内にも当然あるようですね。)

 興味をもって読んだのは、アン・ヨンヒさんが自身&ソウルの人たちの、今ひとつ切迫感というか現実感の欠落したような反応を伝えたレポート(メルマガ)。遠からず<アン・ヨンヒの韓国レポート>にupされるでしょう。
 また、これまで太陽政策を支持してきた、3代世襲の批判もしていない韓国の左派政党や<進歩的言論>の反応も興味深いところです。これについてはまだくわしく見ていませんが・・・。

 さて、今日図書館で「朝鮮日報」に目を通していたら<피란민>という言葉が目にとまりました。
 えっ、<피난민(避難民)>じゃないの? ・・・と思って辞書を引くと、<피란(避乱>=戦乱を避けるという言葉がちゃんと載っていました。

 この言葉自体を、24日付「朝鮮日報」の連載の<萬物相>がテーマとしてとりあげていました。
 ただし、この記事の日本語版では<避乱民>ではなく<避難民>と変えられています。
内容は朝鮮戦争の時の<避乱>の経験を思い起こさせ、<安全保障意識>の必要性を説くもので、同日の社説でも「국민을 피란 가게 하는 나라가 돼선 안 된다(国民を避乱させるような国になってはならない)」と強く主張しているところは、やはり代表的保守新聞の面目躍如といったところ。
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講演会「北朝鮮の現状」(つづき)

2010-11-27 22:57:43 | 北朝鮮のもろもろ
 11月22日の記事に続いて、石丸次郎氏の講演会「北朝鮮の現状」についてです。

※この講演会については、<北朝鮮帰国者の生命と人権を守る会>のサイトで、三浦小太郎氏が部分的な見解の相違は認めながらも好意的なコメントを記しています。

 この講演会では、子どもの頃北朝鮮に渡り、46年ぶりに日本に帰還した李さんが質問に答えるという形で北朝鮮について体験を基に話しました。彼が北朝鮮の人権問題でとくに重大なものとしてあげたのが次の3点です。

①強制収容所 
②公開処刑
③コッチェビ(浮浪児)


 とくに②について、実際に見た経験から具体的な説明がありました。
 「公開裁判」(←「公開処刑」とは書かれない)の公示があれば皆が見に行かなければならず、行かないとチェックされます。被告の家族も間近で見なければなりません。形式的に弁護士もいるとはいっても、裁判そのものは10分もかからず、判決が下されるとすぐ2人が囚人にさるぐつわをします。ヌルボも何かで読みましたが、囚人が体制に対する批判的言辞を叫ぶことを防ぐためです。即処刑に移り、白い布をかぶせた囚人に、3人の狙撃手が頭・胸・脚に1発ずつで、計9発の銃弾が撃ち込まれます。
 江戸時代、一揆の指導者のハリツケ刑の場合も村人たちは全員見守ることが義務づけられていたそうですが、それと同様の前近代的な形式ですね。(では日本の死刑制度はどうなのか?という問題は当然ありますが・・・。)

 講演会の最後の方で、石丸氏は今北朝鮮に対してどういうことができるのか、ということについて考えるところを話しました。
 「国交正常化をし、歴史清算すべき・・・」と語りはじめたので内心「あれっ?」と思いましたが、さらに以下のように論を進めました。
 国交正常化の前に解決すべき問題がある。拉致問題、核開発問題等々。北の住民の利益にならないような正常化はしない。金正日体制の維持や核武装化に使われる可能性があってはならず、民主化を進めることが前提。かつての植民地統治に対する贖罪意識、罪悪感からだけで国交正常化を唱えるのは、大事な問題を抜かしている。

・・・・ということで、私ヌルボもナットク。

 石丸氏が最後に強調した点は、北朝鮮の人権状況を伝え、国際的に問題化することの意義。それによって状況は少しずつ変わってきた、ということです。
以前は被疑者の取り調べの際殴ったりすることはふつうに行われていたが、今は殴らなくなったといいます。
 また人々も、以前は「人権(인권.インクォン)」という言葉すら知らなかったそうです。<権(권.クォン)>の音が<券>と同じなので、「それは何がもらえる<券>なのか?」と聞かれたりもしたとか。
 しかし今は「人権」という言葉も知られるようになっているそうです。

 官憲が暴力をふるう国はいくつもありますが、北朝鮮のように、個々の官憲の暴力ではなく、体制自体が、人権を抑圧するという管理的なシステムになっている、という点で北朝鮮は特異な国です。李さんに対して会場から「デモとかの、民衆の意思表示はないのか?」という質問がありましたが、相互監視体制の存在や、連座制(本人だけでなく家族まで殺される)のため、抗議行動はありえないとのことでした。

 そんな北朝鮮も、上記のように外国からの目は相当に気にしているので、国際世論を喚起していこう、という訴えで石丸氏は講演を終えました。

 その後関連のサイトをいくつか見た中で、<ノーフェンス>のサイト中からのリンクで見ることができる「北朝鮮人権問題に対する市民団体報告書」は、大きな共感をもって読みました。今年2月に、韓国で複数の市民団体が発表した提言です。多角的な、また具体的な北朝鮮の人権問題に対する提言です。
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