ヌルボ・イルボ    韓国文化の海へ

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「キロギ・アッパ」の派生語「トクスリ・アッパ」に「ペンギン・アッパ」など

2010-02-22 13:58:51 | 韓国語あれこれ
 韓国では1990年代以降海外留学が増えていきました。
 日本ほど国内市場が広くないため、海外志向が強いと何かで読んで、なるほどねーと思いました。

 とくに2000年以降増加したのが小学生の早期留学です。KBSラジオの国際放送の「玄海灘の虹」の記事によると、2007年には早期留学生全体(2万7668人)の44.6%を占めるようになったとのことです。

 <キロギ・アッパ(기러기 아빠)>、すなわち<雁のお父さん>とはそんな状況の中で生まれた流行語です。2003年頃にはすでにあった言葉で、今はすっかり定着しています。
 雁(기러기)は雛のために遠くまでエサを取りに行く習性があることから、海外に行った母子のために、国内に残って稼ぐ父親を指す言葉になったようです。

 ところが、先日の映画「飛べ、ペンギン」では、「<キロギ・アッパ>の他に<トクスリ(독수리)・アッパ>や<ペンギン(펭귄)・アッパ>もあるんだ」というセリフが出てきました。
 <トクスリ>はワシ。1年に1、2回妻子のいる外国に行くレベルの<キロギ>に対し、金持ちで、いつでも会いたい時に会いにいけるお父さんのことです。
 <ペンギン・アッパ>は、背中が曲がるほど苦労して働いても、生活費を送金するだけで精一杯。仁川空港で手を振って妻子を見送るだけ・・・、というお父さん。
 さらに<チャムセ(참새)・アッパ>もあります。チャムセはスズメ。家族を外国に送れる財力もなく、教育レベルの高い江南(カンナム)に小さいオフィステルを確保して、妻子だけ江南に国内留学させる父親。

 <カルメギ(갈매기)・アッパ>もありました。カモメです。家族をソウルに残して地方に単身赴任するお父さんのこと。

 いくつかのネットを見たら、<キロギ・オンマ(雁のお母さん)>という言葉も出てきました。
 夫を残して子どもとともに外国生活をいているお母さん。コチラもいろいろ問題を抱えているようです。寂しいとか、寂しいからゴルフに没頭するとか(<トクスリ・オンマ>の場合)、さらにはゴルフ教師との不倫に走るとか、いろんな事例が伝えられています。

 話は戻って、「飛べ、ペンギン」では子どもの教育、塾通いに狂奔する教育ママの姿が描かれていました。
子どもが塾をサボったら通報する業者(?)もあるような・・・。そのように四六時中上空からヘリコプターのように監視する世話焼きお母さんのことを<ヘリコプター・ママ>というんだ、と映画の中のセリフで出てきました。

 ことほどさように、韓国の高い教育熱の中で、新語がどんどん生まれているようです。

「韓国が北朝鮮の人権から目をそらすと世界の物笑い」という記事をめぐって

2010-02-22 09:58:29 | 韓国の時事関係(政治・経済・社会等)
 2月17日、韓国紙「中央日報」のサイトに「韓国、北の人権にそむけば世界の物笑い」という記事がありました。(「北の人権から目をそらすと」とすべきところですが・・・。)

 TEDのシニアフェローに選定された在米韓国人2世のエイドリアン・ホンという人と、彼の発言を紹介した記事です。

 それによると、彼はエール大学を出た後、政治活動をしている途中、脱北者を支援し、北朝鮮人権運動を行う非政府機構「リンク」(Liberty in North Korea・北朝鮮に自由を)を設立、2006年には中国で現地公安に逮捕・拘禁され、その後追放された。今はリンク活動をやめて「ペガサスプロジェクト」という別の非政府機構を始めた。
・・・という人です。

 その彼の発言というのが次のようなものです。
 「北朝鮮人権を支援することは政治的動機や統一の念願とは無関係で、人間の基本権利に関わることだ。・・・・米国やヨーロッパなどどの国より韓国民と政府の北朝鮮人権に対する関心が低いという事実に非常にがっかりした。・・・・韓食世界化プロジェクト、韓流広報、平和維持軍派遣など韓国のイメージを上げるための数多くの試みにもかかわらず、北朝鮮人権問題にそっぽを向けたら世界の物笑いになるだけ。・・・・盧武鉉政府では北朝鮮人権運動に対して露骨的な敵対感を感じた。・・・・政府が変わった今も支援や関心が大きく高まらなかった」。

 概ね誠実に生きている私ヌルボよりさらに誠実な人がいるなー、というのが記事を読んでの感想です。彼の発言にはほとんど同感します。

 問題はネチズンの感想。「中央日報」(日本語版)の記事に寄せられた感想は、案の定例によって例のごとし。「朝鮮人は100年以上前にすでに文明人に発見されてから世界の笑いもの」等々、品性のあるはずの日本人とも思えないコメントがいくつも寄せられていていますが、今回ヌルボが関心をもったのが肝心の韓国人の反応。そこで「中央日報」(韓国語版)」の方の<私も一言(나도 한마디)>の欄を読んでみました。

 すると、多かったのが「金大中や盧武鉉の親北政策のせいだ」というもの。また、それに対して「ハンナラ党の政治家だって大勢金剛山観光に行ったりしながら誰も北韓政府批判を口にしていないじゃないか」との反論もあります。
 つまりは、ほとんどが韓国内の政治的対立の構図そのままに言いあっている図式。
 ヌルボは失望しました。
 エイドリアン・ホンさんの「政治的動機や統一の念願とは無関係で、人間の基本権利に関わること」という点が全くといっていいほどスルーされているようです。

 また次のような少数意見もありました。
 「北韓に風船でビラを撒いたり、人権決議案を通過させたりして北韓の人権を向上させようと考えるのはばかげたことだ。本当に北韓住民の人権改善を望むのなら、北韓との関係改善、経済開発支援、開放誘導を順次進めていって、究極的には統一をしなければならない。ビラ撒きや人権法制定などは逆効果だ」。
 日本でも<進歩的・革新的>な<人権派>の人たちが主張している意見ですが、<推薦1>に対し<反対10>とのことで、韓国内でもこの意見は少数派のようです。

 しかし大なり小なり「世界の物笑いになる」のは韓国人だけでもないでしょう。
 生存権に関わる問題を他人事とか、北朝鮮という外国の内政問題としか考えられず、「北朝鮮が崩壊して日本に難民が押し寄せてきたら迷惑だ」というように(北朝鮮に限らず)難民を厄介者としかとらえられないとしたら日本人だって「物笑いになる」資格は十分にありそうです。

ぜぇーっっったいに観て! 「過速スキャンダル」はオモシロイ!!

2010-02-22 01:00:21 | 韓国映画(&その他の映画)
 溜まっていた仕事も昨日片付いて、実に久しぶりに予定のない日曜日。おまけに天気もいい!
 あと、家に居てやるべきことといえば掃除だけだ。

 ・・・というわけで、朝から家を脱出して新宿武蔵野館へ。「過速スキャンダル」を観に行きました。

      

 韓国では観客動員829万人で歴代8位という注目の(はずの)大ヒット・コメディなのに、首都圏では3館しか上映していないのは、少ないです、少なすぎます。映画の買い付けの人、韓流スター以外のモノサシは持ってないのですか? (チャ・テヒョンの集客力については私ヌルボはわかりませんが・・・。)

 10時40分開映の50分も前に行ったのが正解で、全80席は満席。
 内容の細かい紹介は略します。ネタバレになると、これから観ようという方の妨げになるし・・・。
 内容の大まかな説明も略します。これから寝ようという私ヌルボの妨げになるし・・・。
 とりあえず、<シネマ・トゥデイ>のサイトの説明文が適度に大雑把なので、見てみてください。

 感想は、「おもしろかった」です。必見ですよ、コレ。10人いたら10人、100人いたら96人くらいそう答えるでしょう。
 昨年観た「スター・トレック」の感想では、100人中3人の「つまらなかった」を通り越して100人中1人の「腹立たしかった」というコメントをさるサイトに遺したヌルボでしたが、今回はいつものすなおなヌルボに戻って96人の一員です。

 良い点は、
・筋書きがよく練られていること。
・演出が大げさすぎないのでしらけないこと。
・下品なギャグがないこと。
等々です。

 観終わった80人、みんなニコニコで席を立ちました。
 次の回はもう<立ち見>になっちゃうんだと・・・。

※予告編で、以下の韓国映画の予告編をやっていました。たぶん2つは観ます。
・パク・ヨンハ主演「作戦」 シネマート六本木で上映中
・クォン・サンウ主演「悲しみよりもっと悲しい物語」 2月27日(土)シネマート新宿
・ソン・ガンホ主演「渇き」 2月27日(土)~新宿武蔵野館、ヒューマントラストシネマ有楽町