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松沢裕作『町村合併から生まれた日本近代 明治の経験』

2018-07-13 | 松沢裕作『生きづらい明治社会』

投稿者:鈴木小太郎 投稿日:2018年 7月13日(金)22時35分53秒

今日は松沢裕作氏の『町村合併から生まれた日本近代 明治の経験』(講談社選書メチエ、2013)をパラパラ眺めてみたのですが、あまり感心しませんでした。
この本の構成は、

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はじめに 境界を持たない社会・境界を持つ権力
第一章 江戸時代の村と町
第二章 維新変革のなかで
第三章 制度改革の模索
第四章 地方と中央
第五章 市場という領域
第六章 町村合併
むすび 境界的暴力と無境界的暴力

http://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0000195525

となっていて、第一章から第六章までは、おそらく「「難しくてよくわからない」という評価をしばしば頂戴した」(p217)という前著『明治地方自治体制の起源』(東京大学出版会、2009)の内容を分かりやすく整理したであろう実証的な研究で、私など全く門外漢ですが、まあ、何とか理解できます。
しかし、松沢氏は「むすび」で西川長夫、エリック・ホブズボーム、ベネディクト・アンダーソン、カール・マルクス、イマニュエル・ウォーラーステインなどを引用しつつ、ものすごく大きなことを言われていて、ご本人はそれが第一章から第六章までと緊密に結びついていると思われているのでしょうが、分量だけ考えてもあまりに不親切な説明で、これで納得できる人は殆どいないんじゃないですかね。
松沢氏は同心円という表現がお気に入りのようで、最初から最後まで何十回と同心円が登場するのですが、池田嘉郎『ロシア革命─破局の8か月』のトロツキー評を借用するならば、

松沢裕作は大風呂敷に同心円を本当に美しく描いて「僕こんなのできるんだよ」と笑顔を輝かす少年のようであった。

https://blog.goo.ne.jp/daikanjin/e/b3fd30114a15f8f7d88c0a2d4935b19b

てなことを言いたくなりますね。

>筆綾丸さん
昨日の投稿では最後にラベンダーの香りとか書いてちょっと洒落たことを言ったつもりになっていましたが、ラベンダーの香り=「時をかける少女」と松田優作は全然関係ないのに変な思い込みで書いてしまいました。
読み直すとかなり恥かしいですね。
わはは。

時をかける少女
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%99%82%E3%82%92%E3%81%8B%E3%81%91%E3%82%8B%E5%B0%91%E5%A5%B3

>「これもみたび仁和寺の法師」
仁和寺は労働裁判でも話題になりましたね。
拝金主義のブラック寺院。

「まさか寺までブラック化」元料理長349日連続勤務、世界遺産・仁和寺の「罰当たり」ネットで拡散
https://www.sankei.com/west/news/160516/wst1605160004-n1.html

※筆綾丸さんの下記投稿へのレスです。

『徒然草』第53段の2 2018/07/12(木) 16:28:05
https://unipa-web.atomi.ac.jp/kg/japanese/researchersHtml/R1160/R1160_Researcher.html
禿あや美氏の名で、『平家物語』に登場する密偵(禿)を連想しましたが、若い頃は、きっとイジメを受けたのでしょうね。

https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20180711-00000001-pseven-soci
『徒然草』第53段「これも仁和寺の法師・・・」を踏まえ、この記事には、「これもみたび仁和寺の法師」という標題を付けて、第53段の2に分類したいところですね。
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