学問空間

『承久記』『五代帝王物語』『とはずがたり』『増鏡』『太平記』『梅松論』等を素材として中世史と中世文学を研究しています。

「是非ご教示賜りたい」(by 南野森)

2015-06-08 | 石川健治「7月クーデター説」の論理
投稿者:鈴木小太郎 投稿日:2015年 6月 8日(月)07時07分40秒

先の弁護士ドットコムの記事の中に、

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菅義偉官房長官は同日夕方の記者会見で火消しに動き、「全く違憲でないという著名な憲法学者もたくさんいる」と断言した。一方で、憲法学者の南野森・九州大教授は《菅官房長官によれば、「全く違憲でない」と言う「著名な」「憲法学者」が「たくさん」いるらしい。是非ご教示賜りたい。》とツイートした。
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とありますが、まあ、南野森氏の言われるように、「全く違憲でないという」「著名な」「憲法学者」は「たくさん」はいないでしょうね。
ただ、もともと「著名」な「憲法学者」たちは1990年代になるまで自衛隊が違憲だと言っており、冷戦が終わってから長谷部恭男氏のような異端の学者が自衛隊合憲論をちらほら語るようになった訳ですから、現実に国家の責任ある立場にあって安全保障を支える人々にとって「著名」な「憲法学者」たちはずいぶん奇妙な存在だった訳です。
南野森氏が「南野的憲政論評室」で書かれているように、個別的自衛権を認めることと自衛隊合憲論は理論的には別ですが、そうかといって実力装置を否定しておいて個別的自衛権を認めると言っても現実的には何の意味もありません。
仮にソ連や中華人民共和国等の軍隊が日本に侵攻してきた場合、「著名」な「憲法学者」たちが日本には個別的自衛権がありますと叫んでも、軍隊は引き返してはくれません。
要するに「著名」な「憲法学者」たちは実質的に個別的自衛権否定論者であり、国家安全保障に全く無責任で役に立たない人々だった訳ですから、集団的自衛権に関しても、そんな人たちのご教示を賜ったところで何か良いことがあるのだろうか、という感じはしますね。
まあ、集団的自衛権が必要だと考える立場の人々が政権を取った場合、「著名」な「憲法学者」たちを無視して集団的自衛権に関する法整備を進め、数十年経ってから「著名」な「憲法学者」たちの一部に集団的自衛権合憲論者がちらほら現われるのを期待するとしても、それはそれで歴史の教訓を生かしたことになるんじゃないですかね。

「現在に至るまで、最高裁判所が自衛隊を合憲と判断したことはない」
http://bylines.news.yahoo.co.jp/minaminoshigeru/20140307-00033318/「南野的憲政論評室」
http://bylines.news.yahoo.co.jp/minaminoshigeru/

私はずっと「なんの・もり」かと思っていましたが、「みなみの・しげる」だそうで、「森」を「しげる」と読むのはキラキラネームっぽいですね。

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