大福 りす の 隠れ家

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辰刻の雫 ~蒼い月~  第19回

2021年12月13日 21時36分01秒 | 小説
『辰刻の雫 (ときのしずく) ~蒼い月~』 目次


『辰刻の雫 ~蒼い月~』 第1回から第10回までの目次は以下の 『辰刻の雫 ~蒼い月~』リンクページ からお願いいたします。


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辰刻の雫 (ときのしずく) ~蒼い月~  第19回



「見張番の一人は東の領土から戻ってきた時、最初に俺に話しかけてきた奴だったか?」

「然に。 もう一人は見えませんでした」

「たしか、剛度は新しい者が二人と言っていた。 一人は随分と前だったそうだが。 だが俤からは三人と聞いているし、今のキョウゲンの話しからも三人であることは間違いない。 一人は分かっているし、キョウゲンが見えなかった者が新しい一人だとしても、今まで働いていた者が残る一人か」

分かってはいたが確信のあるものではなかった。

それに四方も言っていたように見張番には信用のある者しか置いていない。 怪しい官吏が二人増やした者は今は置いておこう。
信用のある者が地下に寝返った、こちらの方が問題だ。

「それと・・・」

「なんだ?」

「文官と見張番が居なくなってすぐに飛ぶのはどうかと思いまして、そのまましばらく待っておりましたら、リツソ様の泣かれる声が聞こえてきました」

マツリが額に手をやる。
泣いて止まってしまったのか・・・。

「出過ぎたこととは思いましたが様子を見に行きましたら、何故かカルネラがリツソ様の頭の上に居りましたので、カルネラを掴んで森の外に出しました。 塀沿いに走りリツソ様が森の中にいらっしゃると言って誰かを案内して来いと言っておきました」

「・・・世話をかけたな。 それが一番だろう。 ・・・カルネラは森という言葉を知っていそうだったか?」

「何度か教えました。 最後には『リツソ、モリ、ナイテル』 と言えました」

溜息しか出ない。

崩れるように畳に手を着き、その場に大の字になって寝ころんだ。
今朝思った要らぬ疲れがまとめてドッと出たような気がする。 もう何も考えたくない。

十分くらいそうしていただろうか、取り敢えずリツソはもう見つかるはずだ。 こうしていても事は進んでいる。 着替えだけは済まそうと立ち上がった。 着替えはマツリの部屋にある。

リツソがこの部屋に戻ってくるのは分かっている。 湯浴みをさせて誰かが着替えをここに取りに来るだろう。 その時にキョウゲンの止まり木と巣があっては困る。 マツリが弟淋しさに弟の部屋で寝ていたなどと思われたくない。

一旦マツリの部屋に戻すしかない。 だからと言ってマツリが持って出ているところを誰かに見られれば不審がられる。

「世和歌か丹和歌が起きていてくれればいいが・・・」

“最高か” はシキの所に行っていることになっている。 人目に出ることは憚られる。 二人の内どちらかに頼むしかない。
また大きなため息が出た。

部屋に戻るとラッキーにも世和歌と丹和歌が起きていた。 “最高か” は障子の向こうで仮眠をとっているらしい。

取り敢えず一番に畳の間にある直衣を持ってきてもらい、その後にリツソの部屋に向かってもらった。
二人が居なくなると急いで着替えを済ませた。

キョウゲンの止まり木と巣を持って戻ってきた二人。 定位置に置くと何やら外を四方の従者が走っていたと言う。

(やっとリツソが見つかったというのか・・・)

遅すぎるが、それでもこれから探しに行くふりや、まだ見つからなくては実際に探しに行かなければならないことを思うと随分とマシだ。
ふと思い立った。

「官吏が誰か出ていなかったか?」

隣では二人と紫揺が寝ている。 声を潜めて問う。
俤からは官吏は最低でも二人と聞いているが、それ以上かもしれないとも聞いている。

世和歌と丹和歌が目を合わせる。

「チラッと見えたのは、文官かしら?」

世和歌が丹和歌に言う。

「多分。 でもすぐに連れ立ってどこかに行ってしまいました」

問われた丹和歌がマツリに答えた。

「一人ではなかったということか?」

「はい、二人に見えました」

その二人が俤の言っていた二人なのだろうか、その内の一人が四方が目を付けた文官の帖地なのだろうか。
いずれにしても、もしその二人が地下と繋がっているものならば互いを認識しているということだ。 二人ならばもしかして保身のために地下と繋がっていることを互いに言っていない可能性があると思っていたが・・・。
いや、その二人が地下と通じているのかさえも今は分からない。

「マツリ様?」

「あ、ああ。 宮で何か起こったのかもしれん。 見てくる」

腰を浮かすと二人を見た。

「紫の具合はどうだ?」

「あれから一度おさすりしましたが、特に何かあるということは御座いませんでした」

「そうか。 さするのも大変だろうが頼む」

「そのようなことは。 わたくしたちの腰を揉むと仰って下さった紫さまのお身体をさするくらい、なんとも御座いません」

「ええ、あの時にはどんなに驚いたことでしょう」

「何のことだ?」

すると二人がさも誇らしげに四方に挨拶を済ませた後、シキの所に行くように見せかけ、その後リツソの居る作業所に行くまで床下を腰を折って歩いていた時のことを話した。
ついでに自分たちは彩楓と紅香に声を掛けられ、シキの所に行くように見せかける時から紫揺と行動を共にしているということもしっかりと話す。

「ご自分より背の高いわたくしたちの腰をご心配されて、後で揉むなどと仰っていただきました。 もったいないお言葉で御座います」

「本当に、紫さまはお優しくお心遣いの出来るお方で御座います」

「へぇー・・・アイツがねぇ」

「はい?」

世和歌と丹和歌が声を揃えてマツリを見る。
それだけ己にも気を使ってほしいものだ、とは言えない雰囲気だ。

「ああ、いや。 では後を頼む」

マツリが部屋を出て行くと世和歌と丹和歌が目を合わせる。

「マツリ様もお変わりになったわね」

「あら、姉さんもお気づき?」

「ええ、お話し方が」

「そうよね、今までは恐かったけど、楽に話せるわ」

「それにこれほどお気の付く方だとは思っていなかったわ」

「ええ、それは本当に驚き」

二人がもう居ない襖の向こうのマツリを見るように襖を見た。

マツリは誰かと話す時、基本四方と澪引、シキ以外には疑問符を付けて話さない。 それがここにきて世和歌と丹和歌と話している時、疑問符を付けて話していた。 かなり慣れてきたということなのだろうか。 それとも疲れてきたのだろうか。

そしてマツリの気遣いは宮の者は誰も知ることは無かった。 誰もがマツリとあまり話すことも無ければ、共に居ることもなかったからである。
隣りに寝ている者のことを考えて声をひそめたり、労いの言葉を言ったり、紫揺のことを気に留めていたり、そんなことを思うマツリとは思ってもいなかった。

「マツリ様っておいくつになられるのでしたっけ?」

「たしか・・・二十五か二十六の歳におなりになるんじゃなかったかしら」

「リツソ様は十六の歳におなりになられるのよね」

「ええ、それでやっと水干をお脱ぎになるわ」

「でもまだ二つ名を頂いておられない」

「それは禁句よ」

「違うのそういう意味じゃないの。 マツリ様は二十五か二十六におなりになるのよ」

「ええ、だから?」

「十六にもなろうとしているのにまだ二つ名を頂いておられないリツソ様より、ずっとマツリ様の方が紫さまにお似合いってこと」

「まっ!・・・」

思わず世和歌が片手を口に充てる。

「今までのマツリ様ならそんなことは思わないわ。 怖いだけでしたもの。 でもこうしてマツリ様のお傍に居て良い所をお見受けしていると・・・」

「・・・いい所に目を付けましたわ。 いくら紫さまに本領に来て頂きたいと思ってもリツソ様に添われるにはあまりにもお気の毒なお話」

二人の目が輝いた。


回廊を歩いていると四方の従者が何人も庭を走っているのが見える。

「リツソが見つかったそうだ。 と言っても、まだカルネラの話しの上でだが」

振り向くと後ろに四方が立っていた。 四方に向き合う。

「それでは間違いないでしょう」

カルネラがリツソの元まで案内できるかが問題だが、リツソよりカルネラの方が方向感覚は良いであろうし、リツソの大泣きの声が聞こえるだろう。

「今回はリツソを糾問せねばならん」

マツリの横に立って走り去る従者を目で追っている。
既に十五の歳を迎えている。 そして何日も宮の者を探しにも出させてもいる。 前回、ハクロと宮の床下に居た時のような阿保らしい理由の迷子程度の扱いでは終わらせられない。 宮の外から戻って来たのだ。
それに怪しいものを吊り上げる切っ掛けも作れよう。

マツリも向きを変える。

「ある程度は言っておきましたが、それが頭に入っているかどうか・・・」

「ああ、それにどんな間抜けなことを言うかもしれん。 マツリも同席してもらう」

リツソに睨みを利かせておけということだ。

「承知いたしました」

「いっそのこと、リツソに城家主に攫われたと言わせれば一気にカタがつくのだがな」

「リツソは城家主のことも何も知りませんから不自然でしょう。 それにリツソが居なくなったのは夜の内と城家主は考えていると思います。 暗闇の中、屋敷の全貌を見ることは叶わないでしょう」

「回りくどいのぅ」

「父上・・・」

「分かっておる」

四方の言うようにリツソが城家主に攫われたと言えば、城家主をひっ捕らえることが出来る。 そこから官吏や見張番のことを吐かせれば簡単にすむことだが、たとえ出来損ないの城家主といえど、地下をある程度はまとめている。 まとめる者が急に居なくなっては地下が荒れ放題になるだろう。 次代が芽を出すのを待たなくてはならない。 そう持っていかなくてはならない。

「俤はなんと言っておる」

「まだまだそれらしい者は出て来ておらぬようです。 百足(むかで)は何と?」

百足とは四方が散らしている四方の子飼いである。 その百足のお蔭でいくつもの問題が未然に防げている。 そしてもちろん地下にも散らしてある。

「・・・連絡がない」

「え?」

思わず四方の顔を見た。

「捕まっていなければよいが」

俤と違って百足は地下を出て来て四方に連絡を入れてきていた。

「まだなんの褒美かは分かっておりませんが、最近、城家主から手下に褒美が出たそうです」

四方が顔を歪める。

「百足は俤のような素人ではありませんから大事は無いと思いますが」

「それだけに無茶をするだろう」

「もしかして・・・何かを探るに深入りしたのでしょうか」

「考えられる。 それ以外のこともあるかもしれんが」



刑部省(ぎょうぶしょう)の文官三名がリツソの前に座っている。 四方はその後ろ、一段高い所に座している。 いずれも机を前に椅子に座っている。 マツリはリツソの斜め後ろになる壁際に椅子を置いて座している。 机は無い。

リツソが宮に戻って来るとそのままこの場を持った。 これが民であるのならばおかしな話ではないが相手はリツソである。 一日二日後で良かったはずだが、四方がとっとと終わらせたかったのだろう。

「腹が減ったのに、どうしてこんな所に来ねばならないのですか!」

「リツソ!」

リツソが首をすくめる。

刑部省の三人がこの為のマツリかと納得をする。 己らではこのリツソを抑えきれない。 それにまず、本領領主の息子の罪を裁くなど前代未聞である。

「お前はもう十五の歳ということを分かっておらんのか。 いつまでも甘えたことを言っておるのではない。 刑部にあったことを詳しく話さんか」

「あったことって・・・」

「己の足で宮の外に出たのか」

キョウゲンに掴まれて出たなどと、とぼけたことを言うのではないぞ、というマツリの視線を斜め後ろからヒシヒシと感じる。
それでは他に思い当たることといえば・・・。

刑部の三人が目を合わせる。 このままマツリに進行してもらおうという目だ。

「えっとぅ・・・珍しい蛇が冬眠から出てきたと聞きました・・・」

マツリが刑部の文官を見て頷いてみせる。 せっかく預けようと思っていたのに返されてしまった。

「それで宮を出られたと?」

真ん中に座っていた一人が問う。 端に座っていた一人はリツソの言うことを書き記している。
コクリと頷く。

「どちらに行かれましたか?」

「宮を出て左に曲がって真っ直ぐ行って右でくるっと回って・・・えっと・・・」

一段上の四方が肘置きに置いた手を額に充て、書き記していた官吏がどう書いていいものかと頭を悩ませる。

「周りに何がありましたでしょうか?」

「細い川」

刑部の三人とマツリが何となくその場所にあたりを付ける。

「それからどうされましたか?」

「えっと・・・」

どうしてか記憶に薄い。

「あれぇ? どうしたっけかなぁ」

「リツソ様お一人でしたか?」

「一人? ・・・ああ、思い出した! 茶を貰った」

「どなたに?」

「知らん。 民じゃ」

「お話が戻りますが、リツソ様お一人で宮を出られたのですか?」

「当たり前じゃ、もう十五にもなっておるのに誰と出ると言うのじゃっ!」

「リツソ! 必要なことだけ答えろ」

リツソが口を尖らせる。

「兄上、我は腹が減りました」

座っていた椅子の背もたれを掴んで上半身だけで斜め後ろを振り向く。

「では今すぐ話を終わって刑部省に連れて行ってもらえ。 獄の飯を食うがいい」

「兄上っ!」

「それが嫌ならしかりと答えよ」

マツリが刑部に目を移すとまたもや頷いてみせる。

「お話を元に戻します。 知らない民から茶を貰い、その後はどうされましたか?」

「民に蛇の話を聞かせてやった」

「それから?」

「うん? それから? それから・・・。 どうした? 我はどうした?」

刑部に訊き返すという荒業に出た。

「そう言われましても。 リツソ様の事でありますから」

ゴホン、とマツリがわざとらしく咳払いをする。
リツソが頬を膨らませ下を向く。

(思い出さんか、この馬鹿者がっ!)

下を向いたままリツソが顔を上げようとしない。
刑部たちの後ろ、一段高いところに居る四方は既に両手で額を押さえている。
どうしたものかと刑部たちが見合い、最後にマツリを見る。

「少し伺いたいのだが」

仕方なく文官を見たマツリが言う。

「はい、なんなりと」

「リツソが見つかった時、誰かに連れてこられたと聞いたのだが?」

「はい、下働きの者です。 リツソ様のお供がリツソ様が泣いておられるとお探ししていた下働きの者達に言いまして、大声でそのことを他の者に伝えましたら二人がお供の道案内でリツソ様の所に行ったそうです。 森の中に入りましたらリツソ様が泣かれておいでだったと聞いております」

頷くと文官から目を外しリツソを見た。

「リツソ、こちらを見よ」

頬を膨らませたまま、先程のように背もたれに手をかけ上半身だけでマツリを振り返る。

「しかりとこちらを見よ」

仕方なく上半身だけではなく、尻を回し椅子の座面を横無きに座るとマツリを見た。

「お前が森で下働きの者に見つけてもらう前、泣く前はどうしておった」

要らぬことは喋るなよと、眼光を飛ばす。
口を尖らせたリツソが下を向く。

「お前がはっきりとものを言わねば母上にも会えんぞ。 さぞ母上が泣かれるだろう」

「母上が・・・?」

「ああ、お前が母上を泣かせたことになる」

「わ! 我は母上を泣かせたりしません!」

「では、考えて、思い出して答えよ」

その同じ台詞を言った時のことを。

「・・・えっと。 ・・・おお、そうじゃ、高い所から跳び下りて歩いた。 そうじゃ、そうじゃ」

椅子の上で足をバタつかせながら、己はなんと物覚えが良いのかと手を叩いて喜んでいる。
書き記していた官吏がようやくまともなことがかけると筆を走らせる。

「もういい、前を見よ」

リツソが椅子の上でくるりと九十度尻を滑らせる。

「高い所から跳び下りて歩いてこられた、で御座いますか?」

「そうじゃ、あとは知らん」

「知らんといわれましても・・・。 そこはどこで御座いましたか?」

「知らんと言っておろうが。 我は三日も歩いておったのじゃ。 どこかなど分かるわけ・・・あれ、四日だったか?」

医者が言った三日と半眠っていたと聞いていたのが、どうしてか頭の中で擦りかえられ “眠っていた” が “歩いていた” になったが、この事に気付いたのはマツリだけであった。
どちらにせよ、吉と出た。

「ずっと歩いておられたと? 蛇を探しに行かれ、民と話したところではなかったのですか?」

「たわけたことを言うでない! そんなところならすぐに宮に帰られるであろうがっ」

全くわけが分からないといった風に文官が頭を抱える。 暫くしてマツリを見るがマツリも諦めた顔をしている。 作っている。

真ん中に座っていた文官が四方を振り返る。
やる気の無さそうな四方の顔。 これ以上は無駄といっているのであろう。 これが民ならばそんなわけにはいかないが、あくまでもリツソは領主の息子である。 これ以上追及することは刑部としては避けたい。

「四方様、いかがいたしましょう」

「そうだな・・・」

というと、身を正してリツソを見た。

「リツソ!」

四方の声が部屋中に響いた。

「ひぇ!」

思わずリツソが耳の穴に指を突っ込む。

「お前の軽挙で宮の者に手間を取らせ、ましてやその間に出来ること全てが止まった。 それを何と考える」

耳に指を突っ込んでいても四方の低くよく響く声は聞こえる。

「なにって・・・言われましても」

何を言われているのかさえ分からない。 取り敢えず耳の穴から指を抜く。

「分からんというのか」

「・・・はい」

「“ごめんなさい” は覚えておろう」

「はい! それはそうです! シユラが教えてくれましたから!」

この態度の違い、マツリが情けない溜息を吐く。

「では、宮の者、お前を探しに出ていた者全員にその “ごめんなさい” を言って回れ」

「は?」

「かなり緩いが、刑部、これで許してもらえんか」

「何を仰います。 十二分で御座います」

とっとと終わらせたいのだから。

「では、これにて決定といたします」

いつもならもっと言うことがあるが、何も書き記していない机の上に広げていた物をさっさと片付け、四方とマツリに一礼すると部屋を出て行った。

呆気にとられていたリツソが我に返った。

「父上! どういうことですか!?」

「マツリ、あとは任せた」

嫌なことを任せてくれる。 だが最低限見せなければいけないことがあるし、澪引にも会わせなければいけない。 椅子から立ち上がる。

「明日、父上の従者を三人付かせて回らせてもよろしいでしょうか」

「・・・仕方あるまい」

ゆるりと椅子から立ち上がる。

マツリが襖を開け外で待機している四方の側付きに目を合わせる。 頷いてみせるとすぐに側付きが中に入ってきた。

「父上!」

「マツリから話をよく聞け。 そして少しは己でよく考えろ」

「兄上から? どういうことで御座いますか!」

「マツリ」

連れて行けということだ。

「では、失礼いたします。 リツソ、来い」

リツソの横に来ると手を引っ張って歩き出した。

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