大福 りす の 隠れ家

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辰刻の雫 ~蒼い月~  第69回

2022年06月06日 22時19分31秒 | 小説
『辰刻の雫 (ときのしずく) ~蒼い月~』 目次


『辰刻の雫 ~蒼い月~』 第1回から第60回までの目次は以下の 『辰刻の雫 ~蒼い月~』リンクページ からお願いいたします。


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辰刻の雫 (ときのしずく) ~蒼い月~  第69回



「これ全部、此之葉さんが作ったんですか?」

目を丸くして此之葉を見る。

「お口に合いますとよろしいのですけれど」

「先に頂いて申しわけなかったのですが、美味かったですよ。 冷や奴しか作れなかったのが信じられないくらいです」

冷や奴を作るというのもなんだが。

「本当に。 阿秀の言う通りです。 さ、紫さま召し上がって下さい」

「へぇ~」

横目で阿秀を見ると次に此之葉を見た。 此之葉が真っ赤になっている。

「じゃ、いただきます」

まず喉が渇いている。 汁物を手にするとゴクリと飲んだ。

「美味しい」

此之葉を見て言うと更に此之葉の顔に赤みが増す。
食べる度に言うと此之葉の顔から火が噴くかもしれない。 あとでまとめて言おう。
残念ながら冷えた白ご飯だが、それを口に入れおかずを口に運ぶ。 ついウッカリ「美味しい」と出てしまうのは仕方がない。
前の席では秋我も「美味い美味い」と言って食べている。

「あ、そうだ。 此之葉さん、申し訳ないんですけど耶緒さんが気になります。 無理矢理、体の中にお白湯を入れちゃったし。 吐いちゃったら大変ですから秋我さんが食べ終わるまで見ていてもらえませんか?」

普通なら “無理矢理、体の中に白湯を入れた” と聞けば何のことだろうかとか、不穏なものを感じたりするだろうが、その話は秋我が二度目に白湯を入れに来たときに聞いていた。

「秋我、いいですか?」

「はい、お願いします」

「あ、耶緒さんの手を取ってあげていて下さい。 もし冷たくなっていくようでしたら教えてください」

「承知しました」

此之葉がいなくなると一つ置いた隣に座っている阿秀を見る。

「阿秀さん、結婚しないんですか?」

塔弥を除くお付きと葉月、完ぺきとはいかないが領主と此之葉は日本の言葉を知ってくれている。 言葉選びがなくて楽だ。

「は?」

唐突な質問。 というか、反対に紫揺のことを尋ねようと領主と話していたほどなのに。

「もういい歳ですよね」

「そう言われればそうか。 すっかり忘れておった。 阿秀、いくつになるのだったか?」

「・・・三十四です」

領主まで乗ってどうする。

「結婚とは?」

秋我がそっと領主に訊くと婚姻のことだと答えるのが聞こえた。
秋我が納得したように言う。

「そう言われればお付きの者達は誰も女房がいないんですよね。 ・・・塔弥が一番若いのだったかな」

「はい・・・」

阿秀が答えるが話の方向が違うだろうと心の中で思っているのは消せない。

「父さん、これは考えものですよ。 早々に考えなくては絶えてしまいます」

五色である紫もそうだが、お付き達も脈々とその血は受け継がれている。

「阿秀たちの先代もみな、紫さまを探すことに懸命になって遅かったからなぁ。 気にもしてなかったが・・・どうだ阿秀、気になる女人はおらんのか?」

「おりません」

キッパリというが、そんなキッパリに騙される紫揺ではない。

「阿秀さんは歳の差なんて気になるんですか?」

「はい?」

「これだけ美味しいご飯を作ってくれるんです。 阿秀さんも美味しいって言ってたでしょ?」

「は?」

「此之葉さんです」

「紫さま、それは年が離れ過ぎていますでしょう。 えーっと、此之葉はいくつになるんでしょうか?」

見た目だけで十分に歳の差が分かるのだろうが、この阿秀、日本の行けば年齢関係なくモテモテである。

「二十五歳って聞いてます」

「二十五? そんなになるのか。 此之葉もうっかりしておった」

「二十五歳と三十四歳ならギリOKじゃないですか?」

紫揺の言葉がすべて理解できない秋我であるが何となく分かる気がする。 その気が合っているのかどうかは分からないが。

「紫さま、此之葉は “古の力を持つ者” です。 何の才もない私などと」

「え? 以外。 そんなことを考えてたんですか? それでずっと告白できなかったってことですか?」

「え・・・」

「領主さん “古の力を持つ者” の結婚相手の条件ってあるんですか?」

「そんなものは御座いません。 ですが何より “古の力を持つ者” の力を削がぬ者とは考えられております」

「お付きの人でもいいんですね?」

「もちろんで御座いますが・・・。 阿秀どうなんだ?」

「どうだと言われましても」

紫揺のお相手の話はどこに飛んだ。

「一度此之葉さんとちゃんと話をして下さい」

「そういう問題では―――」

「そういう問題です」

紫揺が言い切った。
ここに他のお付きたちがいれば、どれほどニヤついて阿秀の顔を覗いていただろうか。
だが他のお付きも人ごとではない。 これから領主に責めていかれるだろう。

「まぁ、阿秀はそうとして、紫さまはいかがなのですか?」

「はい?」

箸を口に入れたまま秋我を見る。

「この二年足らず領土に居られて辺境にも行かれ、どなたか良い方が見つかりましたか?」

「残念ながらです。 紫としてのことばかりが頭にあってそんなことを考えているヒマもなかったんですけど、本領でシキ様に言われました。 私が何十年も東の領土を見ていくわけにはいかないって。
それに同じようなことを南の五色からも聞いてたんですけど、ピンときてなかったみたいです。 シキ様に言われて初めて気付きました。 紫の血を残さなくちゃいけないって。 だからこれからは気にしていこうと思っています」

「そうですか。 気にしなければいけない程、心にくる者は今まで居りませんでしたか」

「みたいです」

領主と阿秀が訊きたかったことをあっさりと秋我が訊いた。 そして紫揺があっさりと答えた。
紫揺にはこちらの構えは必要ないようだが・・・いや、構えてしまう内容だろう。 構えない秋我がおかしい。 まぁ、構えてしまっているこちら二人の代弁者として秋我が訊いてくれたのだからそれでいいのだが・・・。
なんだか肩の凝りが一気に引いたような、反対に一気に凝ったような気分だ。

領主と阿秀が首をぐるりと回している間に秋我が話を締めくくっている。

「気になる者がおりましたらすぐにお知らせください。 言いにくければ此之葉でも塔弥でも」

「はい。 何人か候補を見つけたら言います」

此之葉と違って恥ずかしげもなく返事をする。

紫揺がどう考えているのかは分からないが、あまりのアッケラカンとした言いように分かっているのだろうかと、どこか不安な目を三人が合わせた。

マツリの言ったことなど無視するに限る。 いいや、無視以前だ。 無かった。 何も無かったんだ。

食事を済ませた秋我が此之葉と交代して此之葉が戻ってきた。

「どうでした?」

「はい、ぐっすりお休みでお手も温かいままでした」

「良かった。 御馳走様でした、どれもみんなすごく美味しかったです」

「あ・・・お口にあったようで良かったです」

先程よりは顔を赤くはしていないが、これ以上言うのもなんだろう、二コリと笑顔で応える。

「じゃ、今日はこれまでで戻って寝ます」

席を立った紫揺に此之葉もついて行こうとしかけたのを紫揺が止めた。

「領主さん、この場所をお借りしてもいいですか?」

「え? あ、ああ。 はいはい。 阿秀、私は部屋に戻っておるから」

「は?」

「んじゃ、此之葉さん、私は戻って寝ていますから気にしないで下さい」

紫揺と領主がどこか白々しくもそそくさと部屋から出て行った。

残された阿秀と此之葉。

紫揺の背中を見ていた此之葉、振り返る勇気がない。
はぁー、と阿秀の溜息が聞こえる。 少しして「此之葉」と呼ばれた。
此之葉の背中がピクリと動く。

「・・・はい」

「茶を淹れてくれるか」

「はい・・・」

阿秀を見ないように台所に入って行った。

部屋に戻った紫揺。 すでに布団が敷かれていた。 もういい時間だ。
ボテンと掛布団の上にうつ伏せに転がる。 寝不足もあるしかなり楽しく暴れられた。 仕上げに紫の力だ。 何も考えることなく眠りに落ちていった。



「考えはまとまったか?」

波葉の居る部屋を訪ねると、シキが言ったように杠もいた。 二人で先にやっていたようだ。
胡坐をかいていた二人がマツリが入ってくるとすぐに足を正そうとしたが、マツリがそれを止めた。
マツリの前に置かれた酒杯に波葉が酒を注ぐ。

「お伺いしたいことが御座います」

マツリに止められた足を正す。
何か改めて訊きたいことがあるのだろう、正した足の事には触れずマツリが頷く。

「マツリ様は己がマツリ様の前に現れる前から己のことをご存知だったのですか?」

きっとシキが言ったのだろうし、誤魔化すつもりはない。
マツリが相好を崩した。

「黙っていて悪かったな。 ああ、ずっと様子は見に行っておった。 だから杠が来た時にはすぐに分かった」

「どうしてで御座いますか?」

「・・・」

「マツリ様?」

「酒の席では “御座います” は止めんか?」

「はい?」

「堅苦しすぎる」

決してシキに『マツリのように堅苦しくばかりいても』 と言われたからではない。 杠とはそんな間柄になれたらと思っていた、それが酒の席でなくとも。 だがそんなことを言っても杠は “とんでもない” と言うだけだっただろう、とんでも御座いませんと。

この席は千載一遇のチャンスになるかもしれない。 北の領土の薬草師と同じように・・・いや、こうして口に出して言うと少し違うと感じる。 杠とはもっと深く。 それこそ四方と尾能のように、それ以上になれたら、その切っ掛けとなったら。

そんなことを急に言われて、はいそうですか、などとは言えない。

「とんでも御座いません」

やはりな。

「そうか。 では我が頭を下げるとよいか?」

一瞬苦い顔を作った杠、マツリが本気だということが分かったのだろう。

「それこそとんでも御座いません。 ですが、努力はいたします、が・・・」

「マツリ様、急には無理で御座いましょう」

ゴクリと酒を一口呑むと波葉が言った。 波葉なりに杠に助け舟を出したのだろう。

「義兄上にもお願いいたします」

とんでもない、と波葉が顔の前で手を振る。
努力をお願い致しますと波葉に言うと杠を見る。 そして思い出させるようで悪いが、と、おもむろにマツリが話し出した。

八歳の時より一人でキョウゲンと共に本領の中を飛んでいた。 まだ子供である。 何が出来るということでもなかったが、宮都を出て色んなところを見て回るのも一つの勉強と思って飛んでいた。
とは言え、キョウゲンのことを考えると夕刻からしか出られない。 さほど長い間飛んでいるわけでは無かった。

そして九歳になった時、叫んでいる杠を見た。 マツリにとって死を見たのは初めてではなかったが、あの様な場面に出くわしたのは初めてのことだった。

杠の声がずっと耳に残っていた。 普通なら泣いているだけだろうに、己が殺したと叫んでいた。 まだ五つやそこらでそんな風に感じ取ってしまい、この先立ち直れるのだろうか。 それにあの時の己の判断は間違っていなかっただろうか。

「だから気になってな、郡司に居所を訊いて時々見に行っておった。 養い親が我が息子を働かせず杠にばかり用をさせていた時には、宮に童として迎えたいと何度父上にお願いしたか。 その度に郡司が決めたことに宮が口を出してはならんと言われてしまっていた」

「どうして・・・では、どうして己がマツリ様の前に現れた時、名を訊かれたのですか? 知っておられたのでしょう?」

「我が覚えていると言えば当時のことを杠が思い出すと思ったからだ。 忘れてはいないだろうが必要以上に思い出すこともない」

「ではどうしてすぐに使って頂けなかったのですか?」

何日も何日も門前に通い、ようやく首を縦に振ってもらった。

「杠の父御と母御が守った命。 杠を危険な目に遭わせたくなかった。 養い親の元をいつかは出るとは思っていたが、まさか宮にくるとは思ってもいなかった。 それに何度か見ている内に父御と母御のこととは別に杠が幸せになってくれればそれでいい、そう思うようになった。 今もそうだ」

「使って頂きたいと申し上げながらこんなことをお訊きするのはおかしいのですが、危険な目に遭わせたくないとお考えでしたのに、どうして使って頂けたのでしょう」

「疑う相手ではないことが分かっていたというところは大きいが、一番に杠の真剣な目に負けた。 懸命な目にな。 杠は俺の手足となりたい、それしか考えていないのだろう、これ以上突っぱねても杠は門の外で雨に打たれても座しているだけだと思った。 きっとそれだけで終るのだろうとな」

そういうことだったのか。

「己は・・・己の命はマツリ様に救われた命です。 あの時マツリ様が居られなかったら父と母を追って流されていたでしょう。 己はあの時も今もマツリ様にこの命をお預けする気でいます」

「俺は杠が幸せになってくれればそれでいいと言った。 杠の命は預かれん、それは杠の命だ。 誰が預かるものでもない。 杠は間違いなく俺の欲しい情報を入れてくれた。 だから危険だと思いながらも地下に入ってもらった。 だが杠が城家主に捕まったと聞いて居てもたってもいられなかった。 もう杠を危険な所に入れたくはない」

マツリと杠の口が止まった。 マツリがそっと酒杯を口にする。 杠は下を向いている。 空になったマツリの酒杯に波葉が酒を注ぐ。

「杠、どうです? マツリ様のお気持ちが分かって。 お受けいたしませんか?」

頃合いを見た波葉が杠に訊く。

少しの間があった。 杠が顔を上げる。

「マツリ様のお役に立てるのなら」

マツリが満面の笑みで杠を見る。

波葉が酒杯を持ち上げると二人を急かす。

「杠の宮入りに」

波葉が言うと三人で酒杯を合わせた。

これで波葉の一つの使命が終わった。 だが司令塔からの司令はまだある。 波葉が次のことを話している二人の様子を窺う。

「ですが形だけの試験だけで官吏になるというのも・・・」

杠が試験を受けなく官吏になるという褒美を気にしているというのならば、形式だけの試験でもしようかと四方が言ったことを伝えるとこの返事だ。

「杠がそう考えるだろうと父上が仰っていた。 他の官吏の目もあるということで実技と面合わせをしようということになった」

本来の官吏の試験はそれだけではない。 筆記がある。
官吏の試験には最初に筆記があるが、それはある程度の学があれば合格するものである。 その後、文官を目指す者には二次の筆記試験がある。 この筆記に合格することが困難とされている。
武官を目指す者は二次の筆記を受けることはないが実技がある。 この実技が困難とされている。

その実技を杠が受けるということであるが四方には勝算があるのだろう。

そして文官も武官も最後に面合わせという面接を受ける。 その面接で人としてどうなのかが問われる。

「・・・面合わせ、ですか」

実技と言われればだいたいの想像が出来るが、今まで生きてきて面接などというものを受けたことがない。 いったいどんなものなのだろう。

「気に病むな。 実技は体術。 体術は武官相手だが杠ならいけるだろう。 そこでガツンと見せておけば誰も何も言わんだろうし、面合わせは文官だが父上も同席する。 この案を出されたのは父上なのだから、下手に文官に話す隙をお与えにならないだろう」

四方に体術の勝算があるようにマツリもそうだった。
養い親に用事を言い渡されていたのが功を奏したのか、辺境で足腰は充分に鍛えられていて体幹がいい。 身体のブレが無いことは体術を教えた時にすぐに分かった。 目もそうだった。 鳥を射て来い、魚を捕ってこい、そんなことばかりを言われていて動体視力、洞察力も養われていた。
あの時には “皮肉なものだな” とさえ思った。
杠自身にも持って生まれた才があったのだろう、すぐに体術を自分のものとした。

「では面合わせは四方様に御頼りさせていただきます。 ですが武官相手に試験を受けられるほど己は身体を動かしてはおりません。 その日までにマツリ様にお手合わせ願いたいのですが」

「時が空けばいつでも。 俺も随分と身体が鈍ってはいるが。 そうだな、これからはいつでも杠が居てくれるのだ。 時が空けば互いに鍛えようではないか」

マツリと杠の会話を聞いていた波葉。
マツリの気分がかなりよさそうだ。 これで杠が気付いてくれればいいのだが、なかなかそうもいかないようだ。
一人で話を切り出すしかないか・・・。

「・・・時にマツリ様」

「はい」

「あ、えっと、明日もお忙しいようで?」
(ああ、こんなことを訊いてどうする・・・)

「はい。 明日、明後日と忙しくなりそうです」

「そうですか・・・。 あの・・・ええっと・・・」

「義兄上、どうかされましたか?」

マツリが空になっている波葉の酒杯に酒を注ぐ。
それを勢いよく呑んだ波葉。
おお、これはなかなか、と言いながらマツリが再度注ぐ。

(えーい、やけくそだ。 これを訊かねば房に入れてもらえない)

再度注がれた酒杯を口にし勢いをつける。 ゴクリと飲んだところで杠の声が聞こえた。

「紫揺は無事東に帰りましたか?」

杠が波葉の様子に気付いたのか杠の考えで訊いたのかは分からないが、波葉的にその質問は大歓迎である。

「ああ、東の者が迎えに来ていたので渡した。 今日は色々とあったからな、領主には後日顔を出す」

「そうですか。 道中、紫揺とお話はされましたか?」

杠から目を外して酒杯を口にする。

「・・・あれは。 接吻すると子が生まれると思っているようだが」

波葉の目が点になった。

(あ? え? どういう、いや、なんのことだ? え? いや・・・ん? え?)

「そのようです」

「そうでは無いことを教えなかったのか?」

波葉が息を吹き返して目の前の二人が話す度、右に左に首を振って二人を見る。

「紫揺を壊したくないと申しました」

「それで俺に壊せというのか」

「他に誰が居りましょうか」

マツリが大きく息を吐く。

「泣かせた」

黙って聞いていた波葉が大声を上げた。

「ええ!? まさかっ! まさかマツリ様!! どどどど、道中でその様なことを!!」

何ということを・・・司令塔にどう報告すればいいと言うのだ。

「義兄上、考え過ぎで御座います」

「あ? え?」

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