大福 りす の 隠れ家

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辰刻の雫 ~蒼い月~  第87回

2022年08月08日 22時01分32秒 | 小説
『辰刻の雫 (ときのしずく) ~蒼い月~』 目次


『辰刻の雫 ~蒼い月~』 第1回から第80回までの目次は以下の 『辰刻の雫 ~蒼い月~』リンクページ からお願いいたします。


     『辰刻の雫 ~蒼い月~』 リンクページ




                                  




辰刻の雫 (ときのしずく) ~蒼い月~  第87回



職人の手に木箱が返された。
職人に伝えた塔弥。 言葉足らずではいけない、葉月が横にいる。

「え? ではこの大きな紫水晶はこのままで?」

塔弥が葉月を見る。

「はい。 紫さまが紫水晶のそのままの姿を愛でていたいと」

「他のものは今の説明の物で?」

塔弥がなんとか説明しようと頑張ったが、葉月からすれば残念な説明だ。

「うーん、ちょっと違うかなぁ」

チラリと塔弥を見ると、情けない顔で俯いた。
日本のアレコレを知らない塔弥。 紫揺が作って欲しいと言ったのは日本で見た物だった。
それはお付きが提案したものである。


少し前、職人を呼びに行った葉月。
紫揺と職人の間には葉月に呼ばれた此之葉が同席していた。 葉月はそのままお付きたちの部屋に入って行った。

「お呼びとお伺いしましたが、お気に召されませんでしたでしょうか?」

「いいえ、違います。 その事じゃなくて葉月ちゃんから聞いたんですけど、飾り石の・・・職人さんは飾り石と話が出来るって・・・その、なんて訊いていいのかな・・・」

「ああ、そのことで」

紫揺の言わんとすることが分かったようだ。

「師匠から手先のことはもちろん教えてもらいますが、それと同時に・・・いや、それより先に、月が満ちて次の月が満ちるまでずっと石を持たされるんです」

「え?」

手先のことより手で石を感じろということらしい。

約一ヵ月、ずっと毎日石を手にしているだけ。 それから手先のことに入るということであったが、石を感じるのはそう簡単なことではない。 一ヵ月そこらで何が分かるわけではないが、毎日毎日、最初の一ヵ月のことを思いながら石を触っていると、石がどんな風に削って欲しいかが分かってくるという。

「そうですねぇ・・・、朧気に分かるのに早くて十の年、は、いりますか。 それから次には採掘の時に。 わしらは石と目が合うって言うんですけど、目があった石はわしに削ることを許した。 目が合わなければそのままにしておきます」

「・・・目が、合う?」

「何ですかねぇ、気のせいなのかもしれませんが、それでもわしは、他の者もそうですけどそれを信じてますんで」

「あの大きな紫水晶もですか?」

「はい、目が合ったどころじゃありませんでした。 殆ど睨まれたと言っていいくらいでして」

「え?」


職人と話を終えた紫揺。
職人が辞すると塔弥に木箱を持ってくるように言い、葉月にも紫揺の部屋に来てくれるように言ったが、何故か他のお付きもついてきた。

葉月から今職人が紫揺と話していると聞いていたので、紫揺が飾り石を削ることに納得したと分かり、意気揚々と紫揺の部屋に入って来たのだ。
大きな男たちが七人も入ってくると狭くて仕方ないが、それぞれにアイデアがあるらしい。

紫揺があらためて木箱の中の飾り石を見、その横でお付きたちがそれぞれに紫揺の身に付ける物のアイデアを出した。
その一つに紫揺が反応した。

「あ、それって何かで見たことがありますけど・・・海外の物でしょ? ここでは派手じゃないですか?」

そう言っていた紫揺だが、推し手である梁湶に負けて納得をした。

「派手なものではなく、ハチマキを巻くと思えばいいんです。 石は一つ。 この中から。 あとは金細工師の腕と言えば職人も納得するでしょう」

飾り石を削る者も金細工を作る者も数人いるが、皆、同じところに居る。 飾り石の削り師と金細工師は違うが、互いに良い刺激を受け合い敵対しているものではない。 この東の領土では。

紫揺が最初に言った “石は一つ” その言葉が大きかった。
飾り石の職人と話をしたと言っても、やはり石は削りたくない。 あるがままの姿でいて欲しいし、それに掘っても欲しくない。 そう思っているのだから。

掘るから目が合う。 掘らなければ目など合わないはず。
飾り石の職人が言っていた “睨まれた” は少々気になるが。 だからというわけではないが、大きな紫水晶は暫く紫揺の部屋に置くことにした。


塔弥を置いて葉月が職人に説明をする。
初めての品に職人が目を丸くしているが、かまわず説明をし

「飾り石職人と金細工師の腕の見せ所。 この石を使って紫さまがどれだけお似合いになるかなんだから」

それが腕の見せ所だと言う。
職人が頷いた。 葉月の説明で分かったのだろう。 たった一つの飾り石を使って金細工でその飾り石を目立たせる。
その物を知らない職人にとってイメージがわかない。 それだけに簡単な注文ではなかったが、紫揺がチョイスした飾り石は削らずともいいくらい良い形をした親指の先ほどの紫水晶であった
それをチョイスした紫揺の先見の目に職人が頷いた。


「葉月・・・」

「うん?」

「あ、いや、」

職人が目の前から居なくなっていた。 塔弥と葉月、二人だけの空間。

「なに?」

「・・・」

「用が無いなら、料理を作りに行かなくちゃいけないんだけど?」

「あ・・・あの、紫さまのこと」

「え?」

「その・・・飾り石のこともそうだけど、いや、それが一番大きいけど。 その、職人の話をしてくれたし・・・しゅ・・・しゅーくりーむ、それにぷりんも」

「ああ、ぶにゅぶにゅで甘過ぎるやつね」

うっかり塔弥が言ったことだ。
その塔弥が大きく息を吐いた。
そして改めて深く深呼吸をする。
葉月が冷めた横目でそれを見ている。

「紫さまが俺の想いを言うと、交換に紫さまの憂いを仰って下さると言って下さった」

「は?」

「でも紫さまとの交換の話ではない。 その、葉月が・・・あの、葉月が、その・・・」

「交換ってなに?」

「いや、だから、交換ではなくて・・・」

「何なの? はっきり言いなさいよ」

「いや、だから・・・」

この場にこの二人しか居ないと思っているのは、塔弥と葉月だけである。 あちらの物陰、こちらの物陰に蠢く噂好きの影が潜んでいる。

「その、今回は紫さまのことで葉月には大きく手を貸してもらった。 お付きとして礼を言う」

「お付きとして? それって、阿秀からじゃないの? って、そんなことを言って欲しいなんて思ってないけど?」

「・・・そうだな」

「は?」

「そんな葉月だから・・・」

「なに」

「俺の・・・俺の嫁になって欲しい」

「へ?」

「い! 言っておく! 紫さまとの交換条件でどうのこうのじゃない! 俺が・・・俺が葉月を想っているってことだけだ!」

陰で見ていた六人分の双眸が大きく目を開けた。

「・・・塔弥」

「紫さまが、その、早く言わないと葉月が誰かの元に行くかもしれないと言われたけど・・・。いや、そうじゃないくて、葉月が・・・えっと、葉月が・・・。 紫さまに心を寄せている。 きっと葉月はこの領土の五色の紫さまだからじゃなくて、一人の紫さまに心を寄せている。 それが、その・・・」

「それが、何?」

そこが重大だ。

「葉月は・・・紫さまでなくとも、その、人の心に添える。 そんな葉月が・・・」

「そんな私が?」

「あ、え? ・・・その・・・そんな葉月に添うてもらいたい。 あ、いや、俺も添いたい。 その、俺に添うては貰えないだろうか・・・」

「・・・」

「葉月?」

「結局、塔弥は何なの?」

「え?」

「塔弥は私のことを想ってくれてるの?」

「あ、当たり前だ。 だから、だから言っている」

「じゃ、どうして紫さまのことを考えなくてはいけない、この大事な時にそんなことを言うの?」

塔弥が一度顔を下げた。

「・・・葉月」

いつもにこやかにしている葉月。 その葉月が顔を歪めている。

「塔弥なら紫さまのことを何でもわかると思ってたのに、私以下だったなんて!」

プリンを作ってもシュークリームを作っても泣いてばかりいる紫揺。 そんな時に。
駆けだそうとした葉月の腕を塔弥がとった。

「葉月! 分かってる! 知ってる!」

「分かってない!」

塔弥に腕を取られ身動きできない葉月。 大きくもない塔弥なのに力がある。

「紫さまは無条件に花を手折りたくない。 木々の成長の為と伐採も仕方がないとはいえ、それに心を痛めていらっしゃる。 飾り石もそうだ。 紫さまは自然の形をかえたくないと思っていらっしゃる」

そこまでは葉月も知っていること。

「紫さまは・・・葉月に幸せになってもらいたいと仰ってる」

「・・・」

「紫さまは葉月と此之葉のことを気にかけておられる。 葉月と此之葉に幸せになってもらいたいと。 いま紫さまは憂いておられる。 憂いておられるのに葉月のことを気にかけておられる。 紫さまのお気持ちを受けられんか? いや、俺にどうのということではない。 紫さまのお幸せの中に葉月の幸せがあるということだ」

葉月の顔が真っ赤になる。 ついさっき自分はなんと言った。 塔弥は紫揺のことを何もかも分かっているはずなのに、そう思っていたのに、それも自分以上に。 それを疑うようなことを言った。
いま塔弥が言ったことが紫揺の何もかもとは限らないが・・・それでもいま塔弥が言ったことは大きいのではないだろうか。

「・・・塔弥」

「葉月は紫さまの仰りたいことを、何もかも分かって説明できる。 俺には出来ない。 葉月は紫さまに限らず、誰もの考えることに柔軟に耳を傾けることが出来る。 あ、いや・・・そんなことはどうでもいい。 いや、それが重大なんだが。 ・・・その、俺が葉月に・・・俺がそんな葉月の心の支えとなりたい。 それに俺は・・・葉月を誰にも渡したくない」

「・・・塔弥」

「今は紫さまのことで色々なことがある。 それは確かだ。 葉月の言うように今言うことではないだろう。 だが・・・さっき飾り石の職人に、俺の言葉足らずを葉月が補ってくれた」

「それは・・・塔弥が日本をよく知らないから」

「そうだな。 うん。 俺は紫さまが過ごされた日本をあまり知らない。 紫さまの基本は日本だ。 俺の知らない日本をさっきのように補っては貰えないか?」


「クッサー、塔弥があんなことを言うか?」

お付きの部屋に戻ってきた六人。

「ってか、塔弥の想い人は紫さまだって言ってたのは誰だ?」

「いや、そんなことは今どうでもいい。 そいつをボコっても、いま目の前のことは変えられないんだから」

「塔弥と葉月か・・・」

「いや待てよ、一番年下の塔弥に先を越されるかもしれないってか!?」

「あれぇ? もしかして紫さまと塔弥って言ったのは俺だったかぁ?」

全員が醍十を睨む。

「今はそんなことはどうでもいい。 なによりも塔弥に先を越されたってことだ」

「だが葉月は何も答えてないぞぉ。 塔弥がフラれるかもしれんだろうぅ」

またもや全員が醍十を見た。

「あの葉月の目を見れば一目瞭然だろうがっ!」

「んじゃ、悠蓮も梁湶もお相手の女人の気持ちを分かってるのかぁ? あ、若冲もかぁ?」

全員の目が若冲に向かった。 悠蓮と梁湶の話は以前、醍十から伝わっていたが、まだ若冲の話は伝わっていなかった。

「若冲―・・・」

醍十と若冲を除く四人の目が若冲に注がれる。

「あ、いや、その・・・」

朴訥とした醍十にお付きの誰もが心の内を、耐えきれないものをポロリと喋ってしまっていた。 それが仇となったのか。


飾り石職人が木箱を手に工房に戻った。 木箱の蓋には数滴の雨粒が染み込んでいる。
待ち構えていた者たちが職人の元に集まる。

「紫さまは何と仰っておられましたか?」

一人が代表して言うと他の者も目を輝かせている。
職人が台の上に木箱を置くと蓋を開け、たった一つの、親指の先ほどの紫水晶を手に取った。

「飾り石はこれだけを使って、あとは金細工師の手で作って欲しいと」

飾り石職人が肩を落とす。 あの大きな紫水晶ではなかったのか。 紫揺と話し、いま目の前に居る飾り石職人たちの師。 その師が見つけたあの大きな紫水晶ではなかったのかと。 その石は今木箱の中にはない。 紫揺の部屋に置いてきた。

「みな、この石を手に取れ」

金細工師もな、と付け加えて木箱から取ったそれを一人に手渡す。

「この石はな、輝いとる」

それは当たり前だろう。 金細工師が思う。

「今は、だ」

石を手にしていた飾り石の職人が顔を上げた。

「師匠、どういう意味ですか?」

「言わんと分からんか?」

そう言い始めた師匠が話し出した。
この石は小さいと言えど、特に目にとまるものがあった。 採掘した時に目が合い、己の想いに頷いてくれた。
そんな思いがあって小さいといえど、木箱の中に入れたが、その後、紫揺と出会ってそれまで以上に光り輝いたということであった。

その石を手にしている光石の職人がまじまじと見る。

「あ・・・」

最初に見た時と違う。 たしかにこの石は内から輝いていた。 だが今はその輝きが何倍にもなっている。

「師匠!」

「分かるか?」

この石が紫揺と出会って更に輝きを増したということだ。 石が飾り石職人と出会って目を合わせた以上に、紫揺と目が合いその輝きを増した。

「はい」

隣に居る者が石を覗き見る。 その手に石を渡す。
金細工師が目で追っているが、その輝きというのが分からない。

「紫さまがこの石を選ばれ、この小さな石が金細工師の手によって、どれだけ映えさせることができるか」

金細工師が深く頷く。

領土に来て今まで金細工のことも飾り石のことも一切、何も言わなかった紫揺。 ここにきてこれだ。 腕に力が入る。
とはいっても、石を選んだのは間違えなく紫揺だが、出来上がりの品の提案は紫揺ではなくてお付きなのだが。


日に日に月が満ちてきた。 あと数日で満月だ。

雨の日が続いた後、阿秀からは数日で家を出ることを了承してもらったが、それでも一時間でもじっとしているのが辛い紫揺にとっては長い日々だった。 そして阿秀からの注文は付けられていた。

「いいですか、お転婆に乗るのは厳禁です。 この辺りで大人しくしていてください」

「なんか・・・塔弥さん並なんだけど」

「お褒めに預かりまして」

「・・・」

しぶしぶガザンを連れて、あちこちをウロウロするだけの日々となったが、それでも部屋の中でじっとしているより随分とマシである。

そんなある日、夕餉を食べ終えた紫揺の部屋に葉月が訪ねてきた。

「なに? 何か用?」

紫揺に代わって此之葉が問う。 ちょっと機嫌悪く。
先日、葉月がシュークリームを作ったのはいいが、結局あの日、紫揺は七つもシュークリームを食べて夕餉が腹に入らなかった。
『紫さまにお勧めするに程度というものを考えなさい』 と此之葉にコンコンと叱られてしまったのだ。

茶をすすりながら上目遣いに葉月を見ていた紫揺。 あ、と気付いた。

どうしようか。 ここに此之葉を同席させていてもいいのだろうか。 葉月自身がどう思うかということもあるが、その後で塔弥と話すことは此之葉にも葉月にも知られたくない。 だが葉月が塔弥から何某かを聞いていれば、この場で問われることになるかもしれない。 それは避けたい。

「うん、ちょっと」

少々口を歪めながらだが、しっかりと此之葉を見て応える。
叱られたことは認めている。 調子に乗って勧め過ぎたのには自覚があるのだから。

此之葉が紫揺を見た。

「あ、えっと。 どんな話かな・・・その、二人だけの方がいい?」

いいと言って欲しいと願いを込めて訊ねる。

紫揺の言いようにそう言えば、と此之葉が気付く。 葉月が何か言いにくそうな雰囲気を持っている。

「あ、此之葉ちゃん誤解しないで。 叱られたことは自分が悪いと思ってるから。 反省してるから。 そんなことでじゃなくて、紫さまとだけちょっとお話があって。 その話の内容の相手がね、まだ誰にも聞かれたくないって」

お付きたちはまだ塔弥を冷かしてはいないようだ。

「そうなんだ。 此之葉さんいい?」

「はい。 膳を洗ってまいります」

紫揺と自分の食べ終えた膳を持つと立ち上がった。 戸は葉月が開けた。

「ごめんね、此之葉ちゃん」

此之葉が微笑んで首を振る。 気にしなくていいと。

「紫さまのお茶をお願いね」

「うん」

此之葉が出て行き戸を閉めると紫揺の横に座った。 相変わらずだ。
急須を手に取る。

「紫さま、お替わりは?」

「まだあるからいいよ」

チラリと葉月を横目で見る。

「やっと構想が固まったみたいで、職人が頑張って作り始めてるよ」

イメージとして葉月が伝えていたが初めて作るもの故、職人の間で案の出し合いをしながらやっと決まったということであった。

「そっか。 手を煩わせちゃったね」

「職人はそれが生き甲斐だから。 無理難題を言われる方が職人にとっては嬉しいもんよ」

「そうなのかな」

「職人ほどじゃないけど、私も紫さまに色んなものを作って喜んでもらえるのは嬉しいもん。 ここにはね、お砂糖も前にも言ったけどチョコレートもないの。 言ってみれば日本のオヤツとかスイーツっていうのは同じレシピで作れないの」

「あ? え? そうなんだ。 じゃ、どうやってプリンとかシュークリームを?」

「ふふ、お砂糖の代わりは蜂蜜で何とか誤魔化せたけど、あ、それでもあれやこれやと手は加えたよ。 チョコレートは試行錯誤してる最中。 作り手ってそれが楽しいのよ。 だから職人たちも同じ。 煩わせてなんていないから気にしちゃ駄目よ」

「・・・そうなのかな」

わかっている。 我が儘を言ってるってことは。
どれでもいいから飾り石を手に取って前例のあるものを作って欲しいと、何でもいいから適当に言ってしまえばいいと。
でもそれが出来ない。

「あ、ほら、沈まないの。 ちゃんと前を向いて。 これからいいことを聞かせるから」

そうだった。 葉月からの話を聞かなくてはいけないのだった。 話を聞く前に心配をかけてどうする。

「いいこと、なの?」

塔弥はちゃんと言えたのだろうか。

「はい。 紫さまが飾り石のことで職人とお話したあの日なんですけど、塔弥がね、添うて欲しいって、支えになりたいって。 誰にも渡したくないって」

驚いてしまう。 あの塔弥がそんなにストレートなことを、それもそんな言葉数を言ったのか。 いや、あの塔弥だから回りくどいことを言えなかったのだろうか。

それにしても職人と話したのは何日も前のことではないか。 塔弥はそ知らぬふりをして紫揺に接していたということか。

―――けっこう狸かもしれない。

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