大福 りす の 隠れ家

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みち  ~未知~  第65回

2014年01月14日 14時21分53秒 | 小説
『みち』 目次



『みち』 第1回から第50回までの目次は以下の 『みち』リンクページ からお願いいたします。

  『みち』リンクページ



『みち』 第51回からは以下からになります。

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『みち』 ~未知~  第65回



読んでいる本が段々と変わってきていた。

古代史から 今度は超古代史を読み進めていた。 今の琴音にとって紀元後は現代の感覚だ。

「シュメール文明って凄かったのね」 所々にシュメール文明の石版を訳してある本を見つけそれを何度も読み返し

「・・・本当なのかしら・・・人間はダーウィンの進化論で言われる原始人から人間になったんじゃなくて 宇宙人の実験の結果生まれた生き物って・・・でも確か進化論のうち一つは発見されていなくて想像だって聞いたことがあるわ・・・でも、このシュメールの文字を読めるのは世界に数人だけ・・・真実かどうかは分からないわよね」 それに関する惑星ニビルに住むアヌンナキの本などを読んだが琴音に知ることは出来ない。 仕方なくその後の文明を読み始めた。


それから暫くしてまた同じような時間にあの違和感だ。 目を開けると

「あ・・・」 今までキチンと並んでいた文字らしきものが ポロポロと崩れている。

「キチンと並んでいないわ・・・」 その上、琴音が見ようとして凝視すると余計にポロポロと崩れる。 しっかり見ることが出来ないのだ。

「ちゃんと見られないじゃない」 辺りを見回したが琴音が目をやると崩れていたものが更にポロポロと崩れる。 その様子を見て

「クスクス・・・可愛い・・・。 無理ね。 もういいわ、寝ましょう」 根性が付いてきたね。


そんな夜中の時間があるかと思えばある日は2日続けて同じ夢を見たりという事もあった。

見覚えのある坂道。 坂道の上にある大木。 琴音の実家近くの道だ。

夢の中の琴音は坂道を上がって大木の向こうに行きたかったようだが その大木には琴音の苦手な虫が沢山ぶら下がっていた。
その虫を気持ち悪く思った夢の中の琴音。 大木の向こうへ行くのを諦めUターンして坂を下りて行くと 坂の途中で右の腕の付け根にその虫が1匹ポトっと落ちてきたのだ。

虫が落ちてきたのを認めると同時に先の尖ったような物でそこをグッと押される痛みを感じ目が覚めた。 認めるが先か痛みが先かはほぼ同時だった。

目が覚めてからもその痛みは1日目はかなりの痛みとして感じ 数分痛みが残っていたが 2日目に見た同じ夢では1日目に比べるとそんなに大きな痛みとしては感じなかった。
どちらかといえば 「ここだよ」 とツンとされた程度で後に残るほどの痛みではなかった。

「同じ夢を続けて2日見るなんて初めてだわ。 それに夢なのにどうして痛みを感じるの。 ・・・無意識のうちに自分で突いちゃったのかしら・・・」


どんな事があっても 朝はやってくる。

「ううう・・・」 アラームを消し大きく伸びをした。

「はぁ、夜中に起きると朝が辛いわ」 今日も仕事だ。

会社では仕事にも慣れ、引継ぎノートを見なくとも毎日の仕事や月一の仕事が出来るようになってきた。

「ちょっとは頭が動いてくれるようになったわ」 だがそうなってくると業績が芳しくない状態、仕事時間が余ってくるというわけだ。

「えっと・・・何をしようかしら・・・」 そうなるよね。

「掃除でもしようかしら・・・でも朝、掃除したものね」 誰もいない事務所、何をしようと自由だ。

「いくらなんでも本は読めないわよね」 大きく溜息をつき目を瞑って瞼に見える模様を見ていたが誰かが来てはいけないと 耳は完全にドアの向こうの足音に集中していた。

15時のコーヒーを奥の事務所に持っていってからは入ってくるファックスを配ったり電話を取ったりする以外はほぼ毎日こんな状態だ。

「こんな事 前の会社じゃ考えられなかったわ」

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