大福 りす の 隠れ家

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みち  ~未知~  第64回

2014年01月10日 14時20分31秒 | 小説
『みち』 目次



『みち』 第1回から第50回までの目次は以下の 『みち』リンクページ からお願いいたします。

  『みち』リンクページ



『みち』 第51回からは以下からになります。

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『みち』 ~未知~  第64回



丁度体の痛みも取れてゆっくり寝る事ができた頃。 早朝に近い夜、もう少しで明るくなってくるという時まだ暗い。 
身体に違和感を覚え目が覚めた琴音。 目を開け何かが違う事に気付いた。 
目が覚めた時は横を向いて寝ていたのだが その目の先にはカーテンがあるだけなのに何かがいつもと違う。

(カーテンが変になってるのかしら?) だが良く見るとカーテンの縦横の模様に沿ってキチンと何かが書かれてあるようだ。 そのままの状態で目を凝らして見た。

(なに? 字? 違うわ・・・模様?) 身動き一つしないで見ていたが顔だけ動かし他の所を見た。
すると壁にもそれが書かれてあった。

(・・・・・) ぐうの音も出ないようだね。

「誰かの落書き?」 やっと言葉が出たね。 出た言葉がそれかい? 琴音以外誰も居ないこの部屋で誰が書いたって言うんだい?

「誰かって誰よ・・・気のせいよね・・・うん、そうよね・・・寝ぼけてるのよね、寝よ」 あまりの恐さに布団を頭までかぶってまた寝てしまった。 

だが、朝起きてもやはりどうも気になるようだ。 
目覚ましが鳴ってアラームを消す。 カーテンを見るが何も書かれていない。

「何も無い・・・でも昨日、確かに見たわよ。 寝ぼけてなんかなかったわよ。 ・・・何が書かれてあったかしら・・・」 すぐに寝てしまったから良く覚えていないようだ。

「文字だったかしら・・・模様?・・・象形文字?」 思い出そうにも思い出せない。

「あ、会社に行かなくちゃいけないのにこんな事考えてたら遅刻しちゃうわ」 だが、こんな事といいながらも気になるようだ。

「えっと、今週末何も予定は入っていなかったわよね」 予定があるときにはカレンダーに書き込んでいるが今週末は空白だ。

「乙訓寺に行こう」 やっぱり気になっているんだね。 でもちょっと違うな。 乙訓寺に行ってもわからないよ。  



週末、乙訓寺に行きいつものベンチに座りいつもと同じように風を感じ小鳥の声に耳を傾けるが 何も変わった事も感じなければ分かったこともない。

「やっぱり乙訓寺が全てって言うわけじゃないのかしら・・・」 暫く考え考えがまとまったようだ。

「肝が据わったわ。 絶対恐くなんかないわ! 今度また何かが見えたら突き止めるわ」 肝が据わったってそういう事?・・・単に見えたことが恐かっただけのようだね。 


その2日後 

また早朝に近い夜、前と同じだ。 違和感を感じ目が覚めた琴音。 開けた目の先にあの時と同じように違うものを感じた。

「まただわ」 その文字と思われるものをじっと見る。

「今度はちゃんと見るわよ」 上半身を起こし、座った。

部屋の壁全部を見渡すと全ての壁に書かれてあった。 勿論天井にも。

「まるで陰陽師の世界じゃないの」 唖然としてもう一度部屋を見渡した。
その文字らしきものの色は黒に近い。 だがはっきりと黒ではない。 もっと分かりやすく言うと少し日が照っているときに出来る影のような色だ。

「沢山ありすぎて覚えられない・・・」 圧倒されている。

「とにかく一部でも」 一部に目を凝らし覚えた。

「これを調べれば分かるわよね。 待っていなさい、解明するからね」 そしてそのまままた寝入った。
あーあ、寝ると忘れてしまうっていう事が分かっていないようだ。

朝、いつものように目覚まし時計のアラームを止めすぐに見たことの記憶をたどろうとした。

「あら? どうだったかしら? えっと・・・あそこに書かれてた一列目がMみたいな文字だったかしら? MMMMMって繋がってたかしら・・・違う、似てるけど 違うわ・・・」 寝ちゃったからね。

「悔しい・・・せっかく覚えてたのに!」  

そして その日の夜

「今度こそ突き止めるわよ」 スケッチブックと鉛筆を枕元において寝た。
だがそうなると現れなくなる。

その代わりに朝ウトウトとしていると両掌がピリピリしてそのうちに両足の裏までがピリピリしてきたが 不快な物ではないのでそのままずっとウトウトとしている。 これは朝、寝起きのウトウトしている時にはその後もずっと続いた。

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