大福 りす の 隠れ家

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みち  ~未知~  第14回

2013年07月16日 15時11分29秒 | 小説
『みち』 目次

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『みち』 ~未知~  第14回



週が明け月曜日。

8時15分 会社の前に着いた。 

乗ってきた自転車はどうすればいいものかと 数台止めることの出来る駐車場のほうへ自転車を押して行くと 駐車場の奥の裏口から面接の時にパタパタと走っていた女性が出てきた。

「あら おはようございます。 今来た所?」 いつも微笑んでいる。

「おはようございます。 はい。 自転車は何処へ置けばいいでしょうか?」

「この中へ入れて」 女性が出てきた裏口から入って建物の中へ入れるようだ。 

自転車を押して中に入ってみるとすぐに原付自転車が停められてあった。 その原付自転車の横に停め 女性が待っている駐車場へ出た。 

「挨拶が遅くなっちゃったけど 私、森川と申します。 宜しくお願いしますね」 いい笑顔だ。

「織倉琴音と申します。 宜しくお願いいたします」

「こんな外で、ましてや駐車場で自己紹介って 変な話ね」 笑った顔の笑窪が何とも可愛らしい。

「こっちへ来て」 もう一つの裏口に呼ばれた。 中に入ると

「ここにタイムカードがあるから これを朝一番にこうして押して下さいね」 入ってすぐに置かれてあったタイムカードの使い方を 女性はゆっくりと琴音に説明した。

「それから ロッカー室に行って 着替えるの。 ロッカー室はこっちよ」 また自転車を止めた裏口から入って階段を上がり 中2階に5畳ほどの小さなロッカー室があった。

「ここは女性のロッカー室で 男性のロッカー室は別の所にあるの。 このロッカーを使うと良いわ」 琴音用のロッカーである。

そこへ鞄を置き 制服があるわけではないので 上着をハンガーに掛けただけだ。 自転車をこいできて 額に少し汗がにじんではきていたが コンクリートの建物の中はヒンヤリしている。 額の汗もすぐにひいた。

「後は事務所に行って掃除なんだけど 男性人は9時出社だからそれまでに終わらせるの」 表の事務所に入るには 裏に当たるロッカーを通ってきたので そのまま3階まで上がって 奥の事務所を通過して 表の事務所に入る。

奥の事務所に入ってすぐ 森川がエアコンのスイッチを入れた。

そのまま奥の事務所を通過し、表の事務所に入った琴音と森川。 表の事務所は日当たりがよく空気がムッとしていた。

奥の事務所の窓はみな棚などで塞がれて開け難くなっていた為、開けることはなかったが 表の事務所は掃除のために全ての窓を開けると 涼しい風が入ってきた。 そして3階であるからなのかずっと向こうに山が見える。 見晴らしが良い。

「まるで山の空気が入ってくるみたい」 朝の空気は大切だ。 特にここの空気はね。 

あちこちの窓を開けていると

「あら? あの建物のあの窓・・・」 斜め前に見えるビルのある一つの窓が気になった。

始業前30分の間にしなくてはならない 一日の始まりである掃除の仕方、掃除用具の置き場所や掃除をする場所を教わった。 森川は暑がりだ。

「私、奥の事務所の掃除をしてきていいかしら? 涼みたいの」 額から汗を流し 奥の事務所を指差した。

「はい、どうぞ。 ここの机をみんな拭いておけばいいんですね」

「ゴメンね、お願いするわ 汗が引いたらすぐにまた来るわね」 そう言い残して奥の事務所に走って行くと エアコンの真下に立ち団扇で扇いでいる。

その後も森川は 奥と表の事務所を行ったり来たりとして 琴音に指示を出していた。

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