美しいガラスの器のお話です。可愛い赤ちゃんの時代を経て大人になると、実に様々な人生を送る羽目になります。鉄のように毅然とした人が何らかの事情で傷つきやすく不安定な精神状態になることがあります。どんな優しい眼差しを向けても視線をそらしたり、どんな言葉をかけても怒り出したりします。心が不安定で、傷つきやすい状態になっています。そんな<自分>や<友>に出会うと、いつも想い出す恩師の言葉が思い出されてきます。精神状態が不安定になった人の、ある場合は、その人の心が人間離れしていて、実に研ぎ澄まされて美しいのです。恩師は<人生の一番美しいガラスの器>という表現を使いました。気の毒な状態ではありますが、私たちの心の奥底を見ているようなのです。美しく透明なガラスの器になると相手の嘘、本質、真実を見事に見抜く感性に恵まれ、益々綺麗な器になりますが、もはや厳しい現実を生き抜く力を欠落していきます。すぐ破壊され、激流に流される存在になっています。同情からではなく研ぎ澄まされた美しい器の人の言葉を15分間、真剣に傾聴してみると、後は水の流れるように、こちら側の、その人に対する対応の方法が見えてきます。
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