諦めて自死を選択する人生もありますが、持統天皇は、そう簡単に自死は選びませんでした。藤原不比等という人物はなかなかの逞しい男性ですが、相反する立場があるにもかかわらず、持統天皇はこの男を利用し、利用されるのを意識しつつ、生き延びていきます。そのかけひきは一つの体制化された歴史全体の流れの中で、生き延びる可能性に反応して生き延びていきます。自分の理想を断念しないこの女傑の生きざまを倫理道徳の規準で裁く前に、生命力という視点で観察してみて下さい。簡単に自死を選ぶのは神様からの恩寵を無視する事にもなりかねない思想です。
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