Mr.コンティのRising JAPAN

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シンガポール Sリーグ観戦記

2008-04-26 | Football Asia
Woodlands Wellington vs Geylang United
4月20日。オーストラリア西部の都市パースから再びシンガポール入り。南半球は秋の始まりとは言え今年は少し気温が高く、今の日本よりは気温はやや高め。半袖で過ごせた。とはいっても初日は大変な大雨に見舞われたが。それでもシンガポールはずっと気温も湿度も高かった。
この日は Woodlands Stadium にて Woodlands Wellington と Geylang United のゲームがあった。Woodlands と言えば4日前 Gombak United 相手にロスタイム、中村彰宏のスルーを受けた朴泰完のゴールで勝利をものにしている。この試合の前まで Woodland が勝点12で6位。対戦相手のGeylang United は勝点10で 9位だが敗れると勝点を抜かされてしまう。前日5位の Tampine Rovers が Young Lions に勝った勝点を17としているだけにWoodlands としては勝利を収めたいところ。
しかし Geylang はボランチにはスロヴァキア人Rastislav Belical とブラジルからの助っ人 Luiz Machado Jr. そしてFWにもスロヴァキア人のMiroslav Latiak がおり、DFは CB Baihakki Khaizan, そして右サイドバックのNoh Rahmen はシンガポール代表選手。 Khaizan は U-16,18 シンガポールのメンバー入りを果たし 2004 Tiger Cup のメンバーでもあった 190cm の長身。 Rahmen も2001年から代表入りしている。
結構なタレントが揃ったチームだ。Easy には行かないだろうと思った。

それでも先制ゴールは Woodlands 。MFのIsmadi Mukhtar が入れたロビングがそのまま Geylang ゴールに吸い込まれ幸運な先制ゴールが入った。GKの Amos Boon は目測を誤ったか??
この日の Woodlands は前節の Gombak 戦では途中出場で決勝ゴールを挙げた韓国人FWの朴泰完がスタメン入りを果たし右に流れてチャンスを作る。中村もなかなか良いパスを送る。後半に入りリードしているWoodlands が先に選手を替える。右サイドバックをZahid Ahmad に替えて Azlan Alipah を入れる。これは Geylang が中8日なのに対し,Woodlands が中4日と言うコンディションを考えてか?
しかし50分を過ぎると Geylang のMF Mohd Noor Ali が上がって来てチャンスを作り出す。5分には左サイドを上がって入れたクロスに Latiak が飛び込むがシュートはバーを越える。 53分にはまた Mohd Ali が左サイドを Anaz Hadee をかわして入れたクロスを今度は Latiak が決めて 1-1 の振り出しに戻した。
そしてその6分後、今度は FW Masrezwan Masturi とのワンツーで抜け出た Latiak が連続してゴールを決めて逆転をする。 Masrezwan は以前、 Woodlands でプレーしていた選手。こうなって来ると中4日の疲労が堪えて来るか…..

Woodland は右サイドからルーマニア人DF Dronca そしてJerry Bartholomeuszの二人が右サイドを上がって来て同点を狙う。65分には FKのチャンスから Dronca がヘッドを放つがバーを越えて行く。67分には Kamal Nasir を下げて Hasin Jailani を入れて中盤を活性化させる。74分には朴泰完からボールを受けた中村が右サイドからミドルを放つがポストの右にシュートは外れて行く。 FK時にはMFのSazali Salleh がゴールマウスに入って来る。時間が経つにつれて Dronca が前に張り出す。 Geylang も190cmのCB Khaizan が必死にクロスを跳ね返す。そして試合終了間際には選手交替で時間を稼ぐ。もう交替出場のブラジル人助っ人 Rivaldo Costa を残して殆どが引いている。このまま試合が終わるかと思ったロスタイムの92分、朴泰完が右に流れて Geylang ゴール前にクロスを入れる。そして混戦から中村彰宏がGKも抜いてフリーで抜け出す。しかし中村が放った最後のシュートは無情にもポストを叩いてしまった。そしてタイムアップ。リードされてからもチャンスが多かったWoodlands が同点ゴールを挙げられなかった。前節の Gombak United 戦と対照的な後半であった。 試合終了後、クールダウンのストレッチをする Woodlands の選手。朴泰完に “ケンチャンスムニカ?”と声を掛けると右手を上げてくれたが表情は冴えない。

  

日本人の男の子が“中村コーチバイバイ”と声を掛ける。厳しい表情の中村がそちらを見て頷く。 日本じゃ考えられないシーンだなぁ………

  

  

次節は中3日で古巣アルビレックスとのゲーム。10日間で3試合はきついだろうが次戦に向けてしっかりとコンディション作りを…… と思いながらホテルに戻った……..

Home United vs Singapore Armed Force F.C
1996年にS League がスタートして以来優勝6回。2位が4回と S-League の顔と言っても良いくらいの Singapore Air Force F.C. 。今シーズンはこれまで勝点24。勝点25の Home United, Super Reds に続いて3位だがこの日は当面のライバル Home United 戦。ここはしっかり勝って首位奪還と行きたいところだっただろう。しかし Home United は昨シーズンわずか勝点1差で優勝を逃した。第32節の直接対決では 0-0 の引き分けに終わりこの時点で Home United の自力優勝は無くなり、一縷の望みを託した最終戦も SAFFC はGombak United を2-1で破り3連覇を飾った。HomeUnited は4年振りの優勝を逃しただけに今シーズンに掛ける意気込みも想像できる。そしてこの2チームは通算勝利数でも1位 SAFFC 222勝、2位Home United 187勝とまさに宿敵同士。

さらに選手達もタレント揃いだ。まず SAFFC だがスター選手は何と言っても FW の Aleksandar Duric .ボスニア生まれながら1994年からSouth Melbourne や Sydney Olympic と言ったオーストラリアのNSL に所属し一時はオーストラリア国籍も持っていた選手。バルセロナ五輪にはカヤック選手としてボスニア・ヘルツェゴビナ代表として参加したというキャリアーももつ。中国でもプレーし、S-League には1999年に Tanjong Pangar United と契約したのを皮切りに Home United, Geylang United と渡り歩き 2005年から SAFFC に所属する。そして昨シーズンはチームの優勝に貢献し最優秀選手に。さらにシンガポール人女性と結婚したことから2007年にシンガポール国籍を取得。今はシンガポール代表としてもプレーし先般のワールドカップ予選のレバノン戦では先制ゴールを決めている。 
Duric だけではない。Jhon Wilkinson と言う England から帰化してシンガポール代表入りしている28歳のMFもおり、先般のワールドカップ予選にも出場している。そしてDFにはTiger Cup 2005,2007 2002年から代表入りしている 30歳のベテランDanied Mark Bennett がいる。またMFには私の好きな元タイ代表の MF Therdsak Chaiman がいる。昨年のアジアカップにも出場し、2002-03の ACL では当時所属した BEC テロサーサナは決勝で敗れたが最優秀選手賞を受賞した選手。
また日本人選手も3人いる。かつてアルビレックスS新潟に所属したDF新井健二は今シーズンがSAFFC 3季目。昨シーズンACLで川崎フロンターレとも戦ったタイの Bangkok University に所属していた日本人選手、深澤仁博は今季から SAFFC でプレーする。村上範和はアルビレックスS新潟でもプレーをしBalestier Khalsa を経て SAFFC に。 
Home United もタレント揃いだ。現役シンガポール代表選手が3人いる。 MF Shi Jia Hay は上海出身の帰化人選手。また同じMFの Mohammed Shahri Bin Ishak もシンガポール代表で2004年には日本とのワールドカップ予選に出場している。GK Lionel Lewis は2006年のAFC Year of the Player にノミネートされた。他にもカメルーンからの助っ人Valery Hiek, Kengne Ludvick ブラジル人選手 Peres de Oliveira そしてタイ U-18 経歴もあるKornprom Jaroonpong らがいる。
この首位攻防戦。楽しみにしていたのだが仕事が終わって競技場に着いたのが前半30分少し前。スコアーも0-1 でアウェーの SAFFC がリードしていた。あぁタクシーで来たら良かったかな…… その得点は開始3分に深澤が決めたものだったらしい。やっぱしタクシーで来るべきだったか……
34分に Shaharil Alias が村上を倒してFKを貰うと、そのFKをタイMF Therdsak が直接決めて SAFFC が 2-0 とした。SAFFC のチアーガールは大喜び。こちらとしては首位攻防戦なのであまり点差は開いてほしくは無いのだけれど………

しかし後半開始早々の33秒、カメルーン人FWの Kengne Ludovick が素早い動きからゴールを決めて1-2 とする。このゴールは大きかった。 Home United はここからブラジル人FW Oliveira のボールキープから何度も SAFFC ゴールに迫る。49分にはNaruphol Ar-Romsawa がSAFFCのGK Shahril Jantan が前に出て来ているのをみてループ気味にロングシュートを放つがこれは惜しくもクロスバーを叩く。そして52分。Shi Ji Hay の右からのCKに Oliveira が鮮やかにヘッドで決めて後半あっという間に Home United が追いついた。以降も Home United は左サイドバックの Juma’at Juntan, Oliveira が左サイドを切り裂いていく。Juntan は鋭いスルーパスも出す。また Shi Ji Hayが右の高い位置でボールをキープしチャンスを作る。 SAFFC にとってこの厳しい状況を打開したのは Therdsak 。中盤でのボールキープ、ドリブル突破で何とか挽回をはかる。64分には絶妙のスルーを Duric に送りGK と1対1に。しかし GK の Lewis がこれをストップ。代表選手同士の見ごたえのある一瞬だった。 そして69分。今後物議を醸すであろうシーンが。CKを得たSAFFC は Shaiful Esha が右CKを入れる。ボールは直接ゴールに飛んでくる。GK Lewis を越えてファーサードに側に吸い込まれそうになったところを Oliveira がヘッドでクリアーするが、Oliveira の身体は完全にゴールの中に入っていた。猛然と抗議する SAFFC イレブン。しかし判定は当然変わらない。

   

そしてここから試合は両チーム勝利を目指して激しくなる。74分、John Wilkinson のミドルシュートを Lewis が足でストップすれば、その直後の Ludvick のミドルシュートは Jantan がパンチで防ぐ。 78分に Duric の突破を Alias がファールで止めると、82分今度はお返しにとばかりにAr-Romsawaが左サイドタッチライン沿いをドルブルで突破するところを交替出場の Razaleigh Khalik がファールで止める。それぞれにイエローカードが出される。84分には波状攻撃から最後は Duric, Wilkonson そして Mustaqim Manzur がゴール前になだれこむが Home United のDF陣も必死の守り。85分にSAFFC は Ashrin Sharif を投入する。ここでどうしてFWを下げてMFを入れるのだろう…..
89分 Oliveira が右サイドを上がり逆サイドの Shi Jia Hay に。そして Shi のシュートはクロスバーを叩く。天を仰ぐ Shi Jia Hay 。 そしてロスタイムに入った93分。深澤が Jantan からボールを奪い Home United ゴールに迫る。最後はフリーの Shariff に送られるが Shariff は痛恨のトラップミス。完全にフリーだっただけに…….
そしてタイムアップ。2点のビハインドを追い付き最後の決定機を相手のミスで救われた Home United サポーター達が試合終了後いつまでも喜んでいた。 

 
しかし、この結果を最も喜んでいるのは首位争いをするもう一つのチーム Super Reds だろう。そして4枚のイエローカードを貰った SAFFC の方が痛かったかも知れない。しかも最後の7分で3人が警告を受けている……..
試合内容としてはさすがに首位攻防戦。他の試合とは少しレベルが違った。

そしてここでも日本人選手が頑張っている姿を見る事が出来た。
それを明日からのエネルギーに替えよう……….



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