Mr.コンティのRising JAPAN

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伊野波、雪辱の逆転ゴール Japan 3-2 Qatar 22 Jan. 2011

2011-01-25 | Football Asia

70分日本は香川のゴールで 2-2 の同点に追い付いたが以降も相手ゴールに迫るのは大歓声に後押しされる地元カタール。 この日のNHKの解説をしていた福西氏は何度も “日本は1人少ないので延長戦には持ち込まれたくない…”と云っていた。

こういう大会では勝ち抜くたびに総合力、それは選手層だけでなく怪我、体力の温存が大事になってくる。 87分攻撃参加した長谷部が中央を上がると Hasid Ismael, Wesam Rizik が挟むようにタックルをいれファールを貰う。
ほぼ正面距離もそれほど遠くない。セットしたボールに遠藤と本田が寄る。 どちらでも良いから決めてくれ…と思う。しかし本田の蹴った弾道は落ち切れずにクロスバーを越えて行く。あぁそんなに思い通りにならないか… 
1人足らない日本は長谷部が上がると言う事はそれだけリスクを負うと言う事だった。89分、今度は長谷部が中盤から前線に送るが相手MFに当たり CB Bial Mihamed が足元に納める。しかしそれを本田がかっさらいドリブルで中に切れ込むが Khaled Muftah がタックルでブロック。そのこぼれ球を遠藤が拾うが Hamid Ismael が遠藤を倒してクリアー、その左を上がった長友も相手MFに倒されているが笛は鳴らない。しかしクリアーボールを拾ったのは長谷部、前線にグランダーのスルーパスが香川に通りゴール前にフリーで抜け出す。 Ali Am Alhamad が後ろからタックルに入るが香川は倒れない。続いて Khaled Muftah が後ろからタックルに入り香川は転倒する。笛は鳴らないのかよ…と思うとこぼれ球を拾ったのは右SBで起用されている伊野波。 伊野波は落ち着いてそのこぼれ球をカタールゴールに蹴り込みついに日本が終了間際にこの試合初めてリードを奪った。 

2007年10月17日。 北京五輪予選で日本はカタールと同組になり9月12日に国立で行われたホームゲームでは 1-0 で勝ったものの試合内容はカタールに押されていた。そしてドーハ Al Saad Stadium で行われたアウェーゲームでは43分青山直晃のゴールで先制するも77分に追い付かれ、ロスタイムに入り献上したPKを決められ勝点を逃したがその痛恨のハンドを犯したのが伊野波だった。 
結局日本は北京五輪出場権を勝ち取ったが、五輪メンバーには伊野波の名前は無かった。 最終予選6試合中5試合フル出場を果たしていたのだけど……
その伊野波が決めた勝ち越しゴールだった。
それにしてもこのシーン、何度も日本選手が倒され、特にPA内で香川に入れられたタックルはその時点で笛が吹かれても良かったと思ったけど、マレーシア人のSUBKHIDDIN MOHD SALLEH 主審はアドヴァンテージでも見ていたのかな…

これでスタジアムの雰囲気は完全に変わった。大歓声は消え日本人サポーター達からの声が目立つ。 しかしロスタイム4分と表示され再び地元サポーター達から歓声が上がる。 日本は92分香川が下がりDF永田が投入され逃げ切り態勢に入る。 
93分, ロスタイムに入って Alhamad に替って投入されたFW Al Marri からのパスを受けた右SB Al Ghanim が放ったシュートは GK 川島がパンチで弾きカタールのCKに。 そのCKを本田がヘッドでクリアーし再び Fabio Cesar がショートコーナーのパス交換から左足で入れたクロスに Sebastian Quintana がシュートを放つがサイドネット。 川島のGKから大きく前線の本田に送られるがカタールも最後の力を振り絞りそこからカウンターに転ずるが日本ゴール前に入れられたロングボールは永田がクリアー。そして91分40秒試合終了を告げるホイッスルが鳴り日本が4大会連続の準決勝進出を決めた…. 最後まではらはらしたけど、日本の底力を見せつけた試合でもあった……

  

無気力のサウジアラビアを撃破して準々決勝進出を決めた日本の対戦相手はカタール。私の希望は日本がGroup B を首位で勝ち抜き、 Group A はカタールに1位で抜けて貰い、中国が2位で抜けて準々決勝で対戦し、中国を殲滅してくれる事だった。しかし初戦でカタールがウズベキスタンに敗れたので“思惑”がすっかり狂ってしまった…
ホスト国のカタール相手に主審の“ホームアドヴァンテージ”な判定をされたり、PK 戦に持ち込まれそうな気がしてなるべく当たって欲しくなかった。
ワールドカップや五輪予選と異なり何試合もの試合結果で勝点数を競う試合の1つではなく、トーナメント戦の1発勝負。負けても残り試合で取り返しましょう…なんて事は出来ない。

カタールと言えば私にとってはワールドカップへの出場経験こそないがイラン、イラク、サウジアラビアに並んで中東の強豪国と云う印象が消えない。ロス五輪、バルセロナ五輪にはアジア地区予選を勝ち抜き出場権を獲得している。 U-17 U-20 となると日本がメキシコ五輪以来初めてアジア地区予選を勝ち抜いた1994年の AFC U-16, U-19 の前に何度もFIFAの大会に進出している。
確かにロス五輪予選以外の年齢制限のある大会では常に“年齢詐称”疑惑が点いて回ったけど… ただバルセロナ五輪予選は圧倒的な強さでアジア地区最終予選を1位で通過し五輪でもベスト8に進出した。

試合の前日FW HUSSAIN YASER M ABDULRAHMAN が監督の起用方法に不服を唱えたのでチームから追放された事が報道された。
しかし Sebastian Quintana とコンビを組む2トップは中国戦でスタメン起用され2ゴールを上げた Yusef Ahmed Aliだと思っていたのでそれほど“吉報”でもないと思った。一方の日本はGK 川島が復帰するが松井が怪我で離脱し内田が累積警告で出場停止。前線は岡崎を起用、内田のポジションはサウジアラビア戦で途中出場した伊野波 だった。
サウジアラビア戦で出て来た時にあの北京五輪予選のカタール戦を思い出した。 その試合に出場したメンバーで再びこのカタール戦に出場を果たしたのは他に本田圭祐がいた。李忠成、柏木が五輪予選ではスタメン起用され内田とGK西川は控え選手だった。
また前回大会のカタール戦に出場した選手は遠藤1人だった、というよりも今大会のメンバー自体、2007年大会経験者は他に今野、伊野波そしてGK川島の4人のみ。
それだけ世代交代が進んでいるのか?

一方のカタールは前のクウェート戦からメンバーとほぼ同じスタメン。試合終了2分前に投入された 本来DFのMesaad Ali Alhamad が起用され2列目右に入った。
これは香川、長友対策か?
GK は不動のQasem Abdullhamed Burhan 。左SB Hamid Ismaeil Khaleefa はと CB BilalMohammed Rajab左SB Ibrahim Abdulla Al Ghanim らは北京五輪日本戦に出場。そしてもう1人のCB Ibrahim Majed は前回の Asian Cup 日本戦のスタメン。DFラインはみな“日本戦” 経験者。ボランチにガーナからの帰化人選手 Lawrence Awuley Quayne が前大会の日本戦にも出場した Wesam Rizik Abdulmajid と組む。
2列目右は上述した Hamid Ismaeil 左にはMohamed Elsayed AM Sayed 。
そして2トップはお馴染みの Sebastine Quintana と中国戦2ゴールのYusef Ahmed M Ali 。 Bruno Metsu 監督が日本と相対するのは確か4度目。どういう対策を講じて来たのだろう…

  

選手入場の際にまず審判団が映し出されマレーシア人の Subkhiddin Mohad Salleh 主審とわかりちょっと安心した。
2004年 Asian Cup のヨルダン戦で宮本の抗議を聞き入れてPKのゴールを替えてくれた主審だ。他にもACL等の国際試合で何度か主審を務めたのを見た事がある。この Asian Cup を最後に国際試合の審判から身を引くとの記事を見た。

  

日本のキックオフで始まった試合はまず日本が攻め込む。2分36秒には本田のパスを受けた香川がシュート体勢に入るが Hamid Ismael がCKマークに入りCKに。その前にマークに入った Mesaad Al Hamad の手に当たった様に見えたが.. 4分41秒には岡崎が本田とのパス交換で抜け出すが倒される。しかしここも笛はならない。 Salleh 主審ここは笛を吹いてくれても…と思った。
8分に今度はカタールがチャンスを作る。 Quintana のシュートが今野の足にあたりこぼれたところを Al Hamad がシュートを撃つが川島がナイスセーブで防ぐ。
11分、CB Ibrahim Majed が岡崎と交錯して倒れて動けずピッチの外に運び出される。 かなり傷んでいるらしいがなかなか交替選手が出てこない、と云うよりも準備が出来ていなかった様だ。 
しかしその1人少ない間にカタールが先制ゴールを挙げた。 中盤で吉田から岡崎のへのパスを拾った Al Hamad が前の Sebastian にフィード。そしてそのままドリブルで持ち込み最後は吉田をかわして中に切り返して日本ゴールにシュートを蹴り込んだ。今大会 Sebastian の初ゴールだった。
リプレーが何度か出たがSebastian にボールが出る時に逆サイドの伊野波が上がり切れておらずオフサイドにならなかった。 元々CBの伊野波にとっていきなり厳しい場場面に遭遇してしまった。

  

地元サポーター達の大歓声が上がる。その歓声の中、失点を許した川島の表情が映し出されるが唇が異様に紫色だったのが気になった。前の試合に出場停止だったので試合勘がちょっともどっていないと自身がかんじているのか…

日本はサウジアラビア戦でも開始早々あわや失点..という場面があった。この時期 Jリーガー達はシーズンオフ中。まだ試合モードに入るには時間が掛かるか??

そして試合再開のキックオフ時に交替選手 18歳のKhaled Muftah がピッチに入った。 先制点を挙げたカタールは攻撃に転ずるとボランチの2人の押し上げが早く前線の Sebastian と Ahmed M Ali の2人にどんどんボールを入れて来る。そして Sebastian はDFを背負いながらうまく相手を抑えたり転んでファールを取ろうとしたり。ドリブルの速さと力強さはやはりアジアでもトップクラスだ。
また両SB も高い位置をキープし攻撃に絡んでくる。そして日本選手がボールを拾うと早くに守備態勢にはいり攻守の切り替えが早い。こういうときにはDFの裏にボールを放り込んでラインを下げさせるなどすれば良いと思うのだけどパスは足元ばかりに。 その足元への縦パスが何度もカットされた。
24分24秒、右サイドで得たFKからカタールゴール前にボールが入るがクリアーされる。そのこぼれ球を拾った長友がミドルを放つがポストの右に外れて行った。これが日本が撃ったこの試合最初のシュートだった。だがようやく落ち着きを取り戻したのか前線でもボールが回る様になった。 
そして日本に同点ゴールが生まれる。前線で香川からのボールを中央で受けた本田が相手DFの裏に飛び出した右の岡崎にボールを送るとフリーで抜け出す。 そして逆サイドにループ気味にボールを上げるとそこに香川が Al Hamad に後ろから押されながらも身体ごとボールと一緒にカタールゴールに飛び込んだ。 

  

バイタルエリアでの見事なボール回しと岡崎、香川の裏への飛び出しだった。
大会前 AFC のホームページで Goal Machine と比喩された香川の大会初得点でった。
25分あたりから相手コート内に入ってワンタッチでボールを回す攻撃が非常に効果的だった。中東では天候のせいもあってかショートパスを速く回されたりワンタッチ、ツータッチのパスを回す動きに対応するのは苦手とするチームが多い。同点にしてからも試合の主導権は日本が握り本田が相手ゴールに御迫るシーン等何度かあったチャンスは得点に結びつかずに前半を終えた。 
それにしても日本サポーターの数も少なくない、あぁ見に行きたかったなぁ....

    

後に調べた公式記録では気温は17度だった。後半は日本の運動量が更に勝り優位に試合を進めるだろう..と思った。雨が降ってくれればカタールに不利になるのに…と思うもこの日は降雨の気配は無かった。

後半開始直後 Sebastian と吉田が交錯して転倒し吉田にイエローが出される。 ちょっといやなスタートだったが思えばこれが災難の始まりだったかもしれない。 Sebastian は前半にもまして日本DF陣に身体を預け何度も倒れる様になった。そして Yusef Ahmed とのコンビネーションも徐々に時間が経つにつれて脅威となる。 50分には Yusef Ahmed が右から中に切れ込んでシュートを撃つが川島の正面に。 52分には Sebastine がYusef Ahmed からのパスを受けフリーで日本ゴールに迫るが伊野波が必死に戻ってシュートを撃たせない。 開始からこの2トップめがけて放り込まれるロングボールを警戒してDF陣が押し上げられず中盤との間が空いてきていた。 そしてボランチ遠藤、長谷部が相手ボールになった時に入るマークがやや後手になっておりその分DFがマークに腐心する時間が続く。 ただこういう状況で攻守に渡って…と云うのは酷だろう。まずは相手の攻撃を抑えて…と思った。

  

57分に長友がサイドを上がりいれたクロスに岡崎が飛び込み CB Ibrahim Majed の前でヘッドを放つが惜しくもポストの右に。60分にはようやく前田にボールが入り左に振り走り込んだ長友がミドルを撃つがGK Qasem Abdull の正面に。
これで日本もペースを掴むか…と思った63分、とんでも無い事が起こる。 
カウンターから Yusef Ahmed がドリブルで上がったところに吉田がスライディングでストップ。両者ともに脚をぶつけた様で立てないところに Salleh 主審が歩み寄り胸ポケットからカードを取り出そうとする…あぁ吉田退場か。厳しいなぁ…と思うと案の定この日吉田に対して2枚目のイエローカードを提示しすぐにレッドカードを出した。 
大歓声が沸き上がる厳しい判定に見えたがリプレーを見るとスライディングで倒した Yusef Ahmed が起き上ろうとした時に吉田の脚に再びカニばさみの様に脚がはさまり吉田が故意に行く手を阻んだと取られたのだろう。日本はこれでシリア戦に続いて1人少ない状況になりカタールは絶好の位置でFKを得た。しかも4分前にブラジルからの帰化人選手 Fabio Cesar Montesin が投入されたばかりだった。
左足得意の Montesin がボールをセットする。上げられると吉田がいないのでちょっと...と思うと直接日本ゴール目がけて蹴り込まれた弾道は両選手の間を縫う様にそのままゴールネットを揺らした。

ベンチ裏に引き上げる道中だった吉田の表情がアップになる。
Montesin の見事なFKだった。そしてナイスタイミングの投入だった。でも壁が香川1枚だけというのも…人数が減ったから仕方なかったか… Montesin はワールドカップ予選にも出て来た選手なので特徴は解っていたと思うんだけど…

スタンドはもう大歓声にお祭り騒ぎ。 流れは完全にカタールだ。 こんなに苦戦するとは…やはりホームゲームは特別な力が備わるのか…
試合再開直前にCBに岩政を入れてトップの前田を下げ、岡崎の1トップに。この劣勢はどう挽回するのか… 再びリードを奪ったカタールは日本が攻撃に転じてもファールでプレーを止めて守備を整える。 Sebastian も前線からプレスに入る。それにしてもこの大会の Sebastian は必要なことなのだけど攻守に献身的だ。
2006年アジア大会で“衝撃のデビュー”を飾って以来こんな Sebastian は前のワールドカップ予選ではお目にかかれなかった。
まさか 2022 年の地元開催のワールドカップに出場しようとは思っていないだろうが次のワールドカップ予選も本当に要注意だ。
このまま負けてしまうとは思わなかったけど、相手もなかなか研究しているかなぁ…と思った。ワールドカップ予選でも2試合対戦しているし….

しかし次のゴールを奪ったのは日本。70分香川が相手から奪ったボールを本田に送り、本田は前線に出す。そこには岡崎、香川、Bilal Rajab 、Muftah が犇めいているがボールはピンボールの様に選手間に当たって最後は右前方にこぼれ、香川が抜け出しフリーでコントロール。最後は左足で振り抜いたシュートがカタールゴールに突き刺さり、日本は再び同点に追い付いた。 
   

フリーで抜け出たとはいえ香川の落ち着いて放った見事なシュートだった。
再び追い付かれたカタールは3点目を狙いボランチのドリブル得意の Lawrence が前に出てくる。そしてその度に大歓声が後押しをする。82分Montesin がドルブルでPA内に切れ込んでくるが伊野波がクリアーでCKに。そのCK に Bial Rajab が岩政と今野の間に割り込んでヘッドを放つが外れて行く。
Sebastian はサイドによってチャンスメークを試みる。これも彼のプレースタイルが変わった一面。前はそういうプレーが見られなかった。83分には Montesin がシュートコーナーを Bial Rajab に送り、そのままシュートを撃つが川島がキャッチ。 Lawrence がしっかと詰めていた。 85分には Montesin から右サイドでボールを受けた Sebastian が岩政がマークに入る前に放ったミドルはサイドネットを直撃。一瞬ひやりとさせられた。 1人少ない日本は前線に人がいない。香川が中盤より後ろに下がって来ている。延長戦に入るとさらに劣勢を強いられる。こうなるとワールドカップで見せた良い位置でのFKに期待するしかないか…
87分長谷部が倒され絶好に位置でFKを得た………

何とかカタールを振り切った日本だった。
この3年半で3回日本と対戦している Metsu 監督はかなり研究をして試合に臨んだのではないかな….

Semi-Finalist は他にウズベキスタン、オーストラリア、韓国。 中東、西アジア勢は全滅となった。この結果をみて湾岸諸国そして西アジア諸国は五輪、ワールドカップ予選に向けてどう巻き返して来るだろう..

  

日本は準決勝で韓国との対戦が決まった。 
韓国はカタールよりの力があると思う。苦戦は免れない。昨年は2敗1分。

今はでも韓国戦よりもカタール戦の勝利の余韻に浸りたい…

そして睡眠不足はどこで穴埋めしようか…

そして一言云わせてくれぃ。 伊野波 ナイス雪辱ゴールだったぞぉぉ…


   



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