Mr.コンティのRising JAPAN

マスコミの書かない&書きそうもない!スポーツ界の雑学・裏話を、サッカーを中心にコメントを掲載していきます。

プレッシャーに弱かったスルスカヤ

2006-02-24 | 冬季五輪
今朝行なわれたトリノ五輪の女子フィギュアースケート。日本期待の荒川が見事に金メダル。女子フィギュアーのメダルは1992年アルベールビル大会の伊藤みどりの銀メダル以来。金メダルは史上初の快挙。一番安心したのは五輪狂想曲を奏で続けたマスコミとそのスポンサー達だろう。特に女子フィギュアーのスポンサーをしていたロッテは最も安堵の息を漏らしたに違いない。浅田真央ちゃんの五輪出場に向けて陰から邪魔をしたのは彼らだとイタリアの地元紙に書かれていたぐらいだから。ただこれが日本人でなくアメリカ人であったらブッシュ大統領を初め世界的に圧力を替えて特例を認めさせていただろう。 荒川の金メダルの価値は計り知れない。冬季五輪では夏季五輪の男子100m競争に匹敵するくらい注目の浴びるくらいの種目。三流芸能人の声で賞賛することなどおこがましいくらいだ。この日の彼女の演技は華麗というよりも堅実。プッチーニの歌劇「トゥーランドット」の流れに乗り、伸びやかに手足が動く。序盤のジャンプでは、3回転-3回転の予定を、3回転-2回転に抑え、後半の、イナ・バウアーから続く3連続ジャンプに勝負をかけた。そして手を離すY字スパイラルや、ドーナツスピンとビールマンスピンを組み合わせるといった、オリジナルの技を次々と開発。演技が終わってNHKの解説をしていた佐藤有香(リレハンメル五輪5位)は“これはメダルの色は何色かというよりもメダルを狙うと言う内容の演技ですね。”と、そして得点がでるとコーエンを大きく上回った。この時点でスルスカヤに大きくプレッシャーを与えられることに。残り3選手となったところで村主が登場。この時点で日本選手のメダル獲得が決まった。彼女の事を“ずーっと日本のフィギュアをひっぱってきた(というか復活させた-伊藤みどり.佐藤由香以来ずっと低迷してたので)人なので、なんとかメダルをとってほしいなー”と祈っていた人も多いだろう。私もミキティ人気の中で彼女こそ最もメダルをとって欲しいと願った人だった。演技の終盤のジャンプを決めると佐藤解説から歓喜の悲鳴があがり私はこぶしを握った。最後の連続ジャンプを決めると、思わず白い歯がこぼれた。締めくくりは得意の高速スピンで、演技が終わると、いつもと同じように、こみ上げる涙を抑えるように両手で口元を覆い、観客席を見渡して引き上げる。リンク脇で待っていた佐藤信夫コーチに「もう(足が)動かない」と息を切らせて抱きついた。しかしコーエンには届かずこの時点で3位。前回ソルトレーク大会での5位は上回るだろうと思ったが、荒川の金メダルよりも彼女の銅メダルを私は願った。 最後のスルスカヤ。前回の五輪では金メダルを盗まれた、開催国がアメリカで無ければ、あの9.11 テロが無ければ彼女こそ金メダリストであるべきだった。大会前は彼女の金メダルを私は願ったがこの時点では村主を上回って欲しくないと思った。序盤で予定していた3回転の後の2回転ジャンプの省略は“高さが出過ぎた為”と佐藤解説員が。続く3回転-2回転は回転不足で2回転-2回転に。それでも彼女の演技は金メダルに向かって行ったが直後の3回転ループでは転倒した。この時点で荒川の金メダルは決まったのだろう。演技が終わって彼女の得点は 114.74 荒川を下回ったが村主を上回ってしまい村主のメダルはならなかった。しかし、コーエン、スルスカヤが転倒するなか日本の荒川、村主は転倒しなかった。それにしてもロシアの選手は旧ソ連邦時代からプレッシャーに弱い。女子の体操など表彰台を独占する様な種目は強いが他国の選手との競り合いになると以外にミスを連発する。日本が体操全盛期も最後にソ連の選手がミスをしたことも。あのセルゲイ=ブブカも五輪、世界選手権では楽勝は無く、晩年は記録無しも。サッカーでも五輪での金メダルはメルボルン、ソウルの2回だけでミュンヘン、モントリオールは銅メダル。地元開催のモスクワ五輪も銅メダル。今回の荒川の金メダルにも当てはまるが一人でなく複数がメダルを狙える選手層でなければ金メダルは取れない。今回もスルスカヤは不運に見舞われた。ショートプログラムでみせた、バックのインサイドエッジからスリーターン(半回転のそれ自体は難しくないターン)して、そのままエッジチェンジせず同じ足で踏み切ったアクセルジャンプは、彼女以外ありえない。コーエンですらまず不可能だ。そして彼女のショートプログラムの滑走順がおかしい。もし彼女の滑走順が終わりのほうだったら、絶対彼女がトップだったはず。あのショートプログラムでの点数は、絶対滑走順のせいだ!低すぎる!とおっしゃる方も多いだろう。 しかしだからといって荒川の金メダルの価値が低いわけではない。彼女も2004年の世界選手権覇者。長野で13位に終わり、前回のソルトレーク大会では出場できなかっただけに喜びもひとしおだろう。 それからミキティ。 4年後真央ちゃんと一緒に表彰台を独占してくれぃ。 最後にこの日の日本人の通勤を快適にしてくれた彼女達の活躍とこれまでの努力に敬意を表します。スポーツはすばらしい