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“原節子を何となく” その③ 自らの選択

2011年06月08日 | 原節子
昨日の続きです。

『原節子あるがままに生きて』(貴田庄著 朝日文庫)を読みつつ、綴っています。

それで、横浜生まれで、二男五女の七人姉弟の末っ子でした。次女は日活の女優(大部屋俳優?)で、監督の熊谷久虎と結婚。この姉夫婦の存在が女優“原節子”の誕生のきっかけとなったようです。

次男は映画カメラマンだったそうで、やっぱり、周囲には、それなりに映画関係者がいたのです。なるべくして生まれた、映画スターだったのです。知りませんでした。

学校の成績もよく、小学校では学年でトップを争う成績だったそうです。得意科目は数学、体操も大好きで特に水泳が得意だったそうです。頭が良くて、スポーツも得意で、そして美人、小さいときから、とても、とても、目立っていたそうです。

小学校の頃は、外国に行くこと、教師になること、そんな夢を抱いていたようです。


小学校は横浜市立保土ヶ谷尋常小学校、卒業して“私立横浜高等女学校”通称“横浜高女”に入学します。このあたりから、いろいろあって女優の道に進むのです。

いろいろと云うのは、彼女の第一志望は通称“平沼高女”と云う、県立の高等女学校で、こちらの方がそれなりの名門だったようです。成績的には受かる筈だったのですが、入学試験の当日に風邪をひいてしまい、試験に失敗したそうなのです。

四年制の横浜高女を二年生の時に中退します。理由は、私立で授業料が高かったと云う経済的なこと、また、第一志望ではない、第二志望の学校だったこと、らしい?のです。

そのあたりの事情を、彼女自身が語っためずらしい記録があるのです。これは、1959年2月20日から3月27日までの週一で6回、東京新聞夕刊、「早春夜話」と云う記事で、

『・・・家の事情、主として経済的なことから急に女優なることに周囲で決められてしまい、横浜高女に一年とちょっと通ったきりで十五の年の八月に東京へ・・・、兄(熊谷久虎監督)夫妻の家へ引き取られ・・・』

こんな風に、語られています。たぶん、これは原節子の話を記者が聞いて記事にしたものでしょう。


これは私の推測ですが、中退したのは家の経済的理由ではなく、望まない学校で勉強しているよりも、“周囲に望まれていた”女優の道を“自らの意志で選択した”ものと思います。

自ら女優の道を選んだ、何てストレートに語ると、“女優になることは私の美貌であれば当然でしょ!”何て思っていた“美貌を鼻にかける嫌な女”何て、世間に思われる事を避けたのです。

俳優とか、歌手とか、タレントなんかで良くある話しで、姉弟や友達が勝手に応募したとか、応募した友達に試験会場に付いていったら、自分の方が選ばれたとか、そんな類の話を良く耳にします。でも、これは、ほとんど嘘です。謙遜しているようで、明らかに自慢しているのです。

でも、しかし、原節子さんの場合は、明らかに謙遜です。でも、彼女の性格から、女優の道は自らの選択だった。これは間違いありません彼女は小さい時から、いろいろな人に“望まれて”いたのは確かなのです。義兄の熊谷監督は13歳のときに原節子を見て、

『・・・まだほんの子供で色も黒く、眼をギョロギョロさせて居ましたが、私たちに応待する動作に何となく芸術的な感受性が秘められて居る気が・・・』

と、1936年11月26日の朝日新聞夕刊に語っているそうです。

また、あ有名な“マキノ雅裕監督”も、

『・・・初めて会ったのは、またぢ彼女が小学校の五、六年生の頃だったと思う。・・・ひと目見て私は驚いた。ただただ“素晴らしい少女”の一言につきた。この娘があと三年もすれば、きっと“素晴らしい女”になるにちがいないと思った。もし、女優になったら、育てようによっては、大スター間違いなし、という印象を持った』(『マキノ雅裕女優志・情』1979年草風社刊)

こんな風に語っています。まぁ、1979年に書かれたものですから、後からならば、どうでも云えるのですが・・・。

兎に角、小さい時から、プロの眼から見ても、相当に輝いていたのです。そのような評価は、当然、原節子の耳にも入っていたでしようから、彼女自身もそれなりに意識はしていた筈です。


そんな、こんなで、15歳の夏、彼女は、女優の道を選んだのです。


それでは、また明日。

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