先日、『アイリス』を観ました。
いつものように“NHKBS”で放送された録画です。
この作品、出演俳優も、作品内容も、世間の評判も、何の予備知識もなく見たのです。
オープニングは全裸の水中シーンから始まるのです。もちろん全裸で泳ぐのは女性です。もう一人の男は下着姿です。まあ、それほど鮮明ではなく、それほど美しいシーンでもありません。
若き日のアイリスを演じた女優もそれなりに有名な方だそうで、
かなり大胆に脱いでいました。オジサンは眼が醒めました。立派な?躰です。
この全裸で泳ぐシーンには、それなりの意味があったようです。娯楽映画としての、サービスカットでもあり、私は知りませんでしたが、イギリスの観客は、それなりにこのシーンを分かって観ていたようです。
それで内容ですが、まあ、云ってしまえば、いわゆる“老老介護”なのです。但し、介護されるのはアルツハイマーの奥さんで、介護するのは旦那。それなりに良くある事です。
但し、奥さんが著名な作家で、旦那もそれなりの作家で、物語は旦那の視点で、過去と現在を行ったり来たりしながら展開していきます。
とても、とても、旦那の“ジョン”には同情を禁じ得ないのです。兎に角、奥さんの“アイリス”に振り回されるです。
兎に角、アイリスには堅苦しい世間の常識は通用しないのです。知識への興味、人間への興味、気の赴くまま、自由奔放なのです。
生真面目で、優しくて、常識人のジョンにとって、そんなアイリスは、とても、とても、魅力的に映ります。自分にないモノに惹かれるのは、古今東西世の常なのです。
アイリスには、ジョン以外に付き合っている男が何人も居るのです。
そして、その事をジョンに隠す風でもなく、問いかければ答えてくれるのです。
相手に知的な興味を抱けば、セックスしても当然、相手に妻子がいても、それは、それで、何の不都合もないと・・・、それが同じ女性であっても当然なのです。
アイリスにとってジョンは一部であり、ジョンにとってアイリスは全てなのです。自分が愛した女性の全てを知らないことの苦しみ、可哀想でした。
30代?で出会って結婚し、70代?で奥さんはアルツハイマー。作品では、40代、50代、60代は描かれていませんが、それなりに自由奔放だったのでしょう。
そんなアイリスを愛し続け、それでもアイリスは自分だけのものにできず、そして、そういうアイリスだからこそ、惹かれ、愛してしまう自分。
アイリスを理解しようとする自分が居て、しかし、許せない自分も居て、理解している素振りをし続ける事で、アイリスに振り向いて貰う、悲しい自分。
これは、とても、とても苦しいことです。ジョンに同情しました・・・・・・が、でも、男として、すこし情け無くも思えたのです。
でも、ふつう、アイリスのような女性は固定的な婚姻関係は嫌うと思うのですが、何故にジョンと結婚したのか? 単なる、心と身体の休憩所的な存在? だとしたら酷い女ですが、そこまでではなくても、アイリスはジョンの苦しみを充分に理解していた様には描かれていません。
老境に差し掛かり、ジョンは、やっと、やっと、アイリスを自分一人で独占できる、と、思っていたら、アイリスはアルツハイマーになりジョンを認識できなくなるのです。悲しいです。可哀想です。情け無いです。
アルツハイマーのアイリスは、すべてをジョンに頼らなくては生きて行けなくなったのです。アイリスにとってもジョンがすべてになったのです、でも、しかし、ジョンが誰だか分からないのです、ホント、可哀想です。
そんなアイリスの寝姿を見て、昔を思い出し、“誰と寝ている夢を見ているのか!”と感情を抑えきれず、大声で問い詰めてしまうのです。
未だに嫉妬しているのです。これは、ホント、悲しくて、可哀想で、そして、情け無いシーンした。
見終わって、悲しくて、寂しくて、少しだけ可笑しくて、どうしてそんな女に惚れたんだ・・・惚れてもいいけど・・・、でも、結婚はしない方が良かったのに・・・、男って、女って、男女関係って、そういうことが、あるんだよなぁ・・・何~て、思ったりしたのです。
それで、“アイリス”は実在の方で、『イギリスで最も素晴らしい女性』と形容された作家アイリス・マードックで、“裸で泳ぐのが好き”で、“バイセクシュアル”で、イギリス人はそれなりに知っているようです。
そりで、見終わって、調べたら、
アイリスの晩年を演じたのは、イギリスを代表する大女優“ジュディ・デンチ”で、
ジョンの晩年を演じた“ジム・ブロードベント”がアカデミー賞助演男優賞を受賞したそうで、
監督はイギリス演劇界の重鎮リチャード・エアーで、
原作はアイリスの夫で作家で文芸評論家の“ジョン・ベイリー”なのだ、そうです。
もしかして、“ジョン・ベイリー”はこの原作で初めて名前が知られるようになったの?
それと、“作家アイリス・マードック”の晩年の私生活は、この作品で知られるようになったの?
そして、見終わって考えたのですが、当たり前ですが、これは、“ジョン・ベイリー“から見た、“アイリス・マードック”なのです。
と、云う事は、そして、ですから、描かれているのは、“アイリス・マードック”の半生ではなく、これって、もしかして“ジョン・ベイリー”の半生では? と、思えてきたのです。
たぶん、間違い無い。
兎に角、それなりに、イイ作品でした。
それでは、また。
いつものように“NHKBS”で放送された録画です。
この作品、出演俳優も、作品内容も、世間の評判も、何の予備知識もなく見たのです。
オープニングは全裸の水中シーンから始まるのです。もちろん全裸で泳ぐのは女性です。もう一人の男は下着姿です。まあ、それほど鮮明ではなく、それほど美しいシーンでもありません。
若き日のアイリスを演じた女優もそれなりに有名な方だそうで、
かなり大胆に脱いでいました。オジサンは眼が醒めました。立派な?躰です。
この全裸で泳ぐシーンには、それなりの意味があったようです。娯楽映画としての、サービスカットでもあり、私は知りませんでしたが、イギリスの観客は、それなりにこのシーンを分かって観ていたようです。
それで内容ですが、まあ、云ってしまえば、いわゆる“老老介護”なのです。但し、介護されるのはアルツハイマーの奥さんで、介護するのは旦那。それなりに良くある事です。
但し、奥さんが著名な作家で、旦那もそれなりの作家で、物語は旦那の視点で、過去と現在を行ったり来たりしながら展開していきます。
とても、とても、旦那の“ジョン”には同情を禁じ得ないのです。兎に角、奥さんの“アイリス”に振り回されるです。
兎に角、アイリスには堅苦しい世間の常識は通用しないのです。知識への興味、人間への興味、気の赴くまま、自由奔放なのです。
生真面目で、優しくて、常識人のジョンにとって、そんなアイリスは、とても、とても、魅力的に映ります。自分にないモノに惹かれるのは、古今東西世の常なのです。
アイリスには、ジョン以外に付き合っている男が何人も居るのです。
そして、その事をジョンに隠す風でもなく、問いかければ答えてくれるのです。
相手に知的な興味を抱けば、セックスしても当然、相手に妻子がいても、それは、それで、何の不都合もないと・・・、それが同じ女性であっても当然なのです。
アイリスにとってジョンは一部であり、ジョンにとってアイリスは全てなのです。自分が愛した女性の全てを知らないことの苦しみ、可哀想でした。
30代?で出会って結婚し、70代?で奥さんはアルツハイマー。作品では、40代、50代、60代は描かれていませんが、それなりに自由奔放だったのでしょう。
そんなアイリスを愛し続け、それでもアイリスは自分だけのものにできず、そして、そういうアイリスだからこそ、惹かれ、愛してしまう自分。
アイリスを理解しようとする自分が居て、しかし、許せない自分も居て、理解している素振りをし続ける事で、アイリスに振り向いて貰う、悲しい自分。
これは、とても、とても苦しいことです。ジョンに同情しました・・・・・・が、でも、男として、すこし情け無くも思えたのです。
でも、ふつう、アイリスのような女性は固定的な婚姻関係は嫌うと思うのですが、何故にジョンと結婚したのか? 単なる、心と身体の休憩所的な存在? だとしたら酷い女ですが、そこまでではなくても、アイリスはジョンの苦しみを充分に理解していた様には描かれていません。
老境に差し掛かり、ジョンは、やっと、やっと、アイリスを自分一人で独占できる、と、思っていたら、アイリスはアルツハイマーになりジョンを認識できなくなるのです。悲しいです。可哀想です。情け無いです。
アルツハイマーのアイリスは、すべてをジョンに頼らなくては生きて行けなくなったのです。アイリスにとってもジョンがすべてになったのです、でも、しかし、ジョンが誰だか分からないのです、ホント、可哀想です。
そんなアイリスの寝姿を見て、昔を思い出し、“誰と寝ている夢を見ているのか!”と感情を抑えきれず、大声で問い詰めてしまうのです。
未だに嫉妬しているのです。これは、ホント、悲しくて、可哀想で、そして、情け無いシーンした。
見終わって、悲しくて、寂しくて、少しだけ可笑しくて、どうしてそんな女に惚れたんだ・・・惚れてもいいけど・・・、でも、結婚はしない方が良かったのに・・・、男って、女って、男女関係って、そういうことが、あるんだよなぁ・・・何~て、思ったりしたのです。
それで、“アイリス”は実在の方で、『イギリスで最も素晴らしい女性』と形容された作家アイリス・マードックで、“裸で泳ぐのが好き”で、“バイセクシュアル”で、イギリス人はそれなりに知っているようです。
そりで、見終わって、調べたら、
アイリスの晩年を演じたのは、イギリスを代表する大女優“ジュディ・デンチ”で、
ジョンの晩年を演じた“ジム・ブロードベント”がアカデミー賞助演男優賞を受賞したそうで、
監督はイギリス演劇界の重鎮リチャード・エアーで、
原作はアイリスの夫で作家で文芸評論家の“ジョン・ベイリー”なのだ、そうです。
もしかして、“ジョン・ベイリー”はこの原作で初めて名前が知られるようになったの?
それと、“作家アイリス・マードック”の晩年の私生活は、この作品で知られるようになったの?
そして、見終わって考えたのですが、当たり前ですが、これは、“ジョン・ベイリー“から見た、“アイリス・マードック”なのです。
と、云う事は、そして、ですから、描かれているのは、“アイリス・マードック”の半生ではなく、これって、もしかして“ジョン・ベイリー”の半生では? と、思えてきたのです。
たぶん、間違い無い。
兎に角、それなりに、イイ作品でした。
それでは、また。