これまた世間ではあまり話題になりませんでしたが、小生の忘れられないアルバムです。木村純子というジャズ・ピアニストは同じくジャズ・ピアニストの菅野邦彦の奥さんで、そういった縁で実兄の菅野沖彦氏製作のオーディオ・ラボというレコード会社からアルバム"JUNKO"が出されました。菅野沖彦という人はオーディオ評論家としては雑誌等では有名な重鎮でJBLとマッキントッシュの礼賛者です。音へのこだわりからついにはレコードの録音まで手がけてしまったわけですね。
さてこの純子さんのピアノのスタイルですが、速弾きとかテクニックとは対極にある演奏です。シングルノートの連打が特徴的な演奏スタイルです。無器用な語り口といったら怒られてしまうでしょうか。そこに絡むドラムスのドナルド・ベイリーの色々な小道具を使って、くり出すラテンの香りがまたいい。彼は大変いい仕事をしています。
私がこのアルバムが忘れられないのは中音域がしっかりしている音の良さもさることながら、このアルバムのトップに収められている"Ricordo di Cairo"というボサノヴァ風の曲が気に入っています。最近まで『カイロのリカルド(英語でリチャード)』と男性名だとばかり思っていましたが、正しくは『カイロの思い出』のようです。(かってF1ドライバーだったリカルド・パトレーゼの表記は"Ricardo Patrese"でした。)
ところでこのアルバムですがCD化もされずネット上にも音源は存在しません。しかも『カイロの思い出』という曲でも音源が見当たりません。たしか何年か前にマイルドセブンのTVCMで流れていた記憶がありますが名曲のわりに他の演奏者もいないようでお伝えできずに残念です。ひょっとすると純子さんのオリジナルなのかもしれません。
(追記)
ごく最近音源がアップされました! ありがとう! 懐かしさでいっぱいです。
このアルバム、80年代後半か90年代初頭にCD化されて発売されています。余談ですが、リカードボサノバの最後の最後、終わる寸前に、純子さんのお声が録音されています。ボリウムを思い気入り上げないと聞こえませんが・・スタッフに向けて・「止(や)めて・・」と可憐な声で。探すと中古で見つかるかもしれませんね。もう一つ余談ですが、菅野邦彦氏とは離婚なさってています。
このレコードの存在を知っているだけでもマニアックなのにそんな裏話までありがとうございます。実はご本人だったりして。なお同曲はハンク・モブレーでも紹介させていただきました。
TVのCMで流れていたのはリカード・ボサノバの別名で、ザ・ギフトです。イーディ・ゴーメの歌です。リカードボサ・ノバで検索かけると、沢山出ます。ハンクモブレーなど。そしてジャズで一番の推薦はバーニー・ケッセルのオンファイアというアルバムの演奏です。是非!http://www.youtube.com/watch?v=6NkLaTaqLuY&feature=related