
快進撃を続けて最後にテセウスが出会ったのは、プロクルステス(引き伸ばす男)と呼ばれるダマステス。
この男は旅人を自分の家に引きずり込み、無理やりベッドに寝かせて、旅人の背がベッドより小さければ槌で打ち伸ばし、大きければ鋸で挽き切って、殺していた、例の杓子定規男。テセウスは彼を捕まえ、これも同じやり方で殺してしまった。
こうして、ようやくアテナイへ到着したテセウスだったが、父王アイゲウスの横には、なんと、あの魔女メデイアがいた。
イアソンを捨てて、コリントスから竜の車に乗ってアテナイへと逃げてきたメデイアは、あれから、アイゲウス王の後妻にちゃっかり納まっていたのだった。
したたかなメデイアは、テセウスが自分に不利な存在だと見抜くと、テセウスが父子の名乗りを上げる間も与えずに、あれは王位を狙う不届き者だ、マラトンの荒牛退治にやらせて、始末してしまうがよい、と王をそそのかす。
メデイアの口車にまんまと乗せられた王は、テセウスをマラトンへ行かせる。が、テセウスは難なく牡牛を退治して凱旋。
メデイアはいよいよテセウスを怖れ、再び王をそそのかして、テセウスに供する祝杯の酒に毒薬を入れさせる。
が、そのとき王の眼に入ったのは、テセウスが腰に下げた剣。おお、倅よ! 王は急いでテセウスの手から毒杯を払い落とし、父子の対面を喜んだ。
一方、思惑の外れたメデイアは、もはやこれまで、と、さっさと竜車に乗ってずらかってしまった。
To be continued...
画像は、ルニョー「アリアドネとテセウス」。
ジャン=バティスト・ルニョー
(Jean-Baptiste Regnault, 1754-1829, French)
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