ギリシャ神話あれこれ:純潔のヒッポリュトス

 
 長らく放置していて、ごめんなさい。元気でやってます。
 後味悪く、救いようのないギリシャ神話をば、ひとつ……

 好色の英雄テセウス。彼はミノス王の死後、クレタを攻略し、王女パイドラを妻として頂戴する。アリアドネ、ヒッポリュテに続いて、これで3人目の奥さん。
 
 ところでテセウスには、前妻ヒッポリュテとのあいだに生まれた、ヒッポリュトスという息子がいた。
 このヒッポリュトスは、父王テセウスの女たらしに反撥する気持ちもあったらしく、清純で潔白な青年。処女神アルテミスを崇めて狩猟や騎馬を好み、女性には見向きもせずに童貞を守っていた。

 が、ヒッポリュトスがアルテミスにばかり仕えるのを、愛神アフロディテは黙っていない。ギリシャの神さまたちって、各々の権能が互いに対立するから困る。アフロディテは自分の神威を馬鹿にされたと憤り、ヒッポリュトスの継母に当たるパイドラに、彼に対する絶望的な恋情を抱くよう仕向ける。
 ……ギリシャの神さまたちの、誰かを敬愛すれば、他の誰かがそれに嫉妬する、というパターン。
 
 まだ若く美しいパイドラは、しきりにヒッポリュトスを誘惑する。が、ここは、アルテミスを崇拝する純潔なヒッポリュトス。パイドラの恋に応じるどころか、その汚らわしさに怒り心頭。淫らな女め、お前なんか、節操のない親父が似合いだ! とかなんとか罵倒する。

 To be continued...

 画像は、アルマ=タデマ「ヒッポリュトスの死」。
  ローレンス・アルマ=タデマ(Lawrence Alma-Tadema, 1836-1912, Dutch)

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