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魔法の絨毯 -美術館めぐりとスケッチ旅行-

 世界をスケッチ旅行してまわりたい絵描きの卵の備忘録と雑記

ギリシャ神話あれこれ:カラスの失着

2006-01-25 | 僕は王様
 
 カラスというのは非常に賢い鳥らしい。人間社会に適応し、針金ハンガーで巣を作るし、器用にゴミをあさるし、車を利用して胡桃を割ったりする。
 誤ってカラスを自転車で轢いてしまった相棒の友人は、そのカラスに思い切り睨まれ、カラス全快後、ウンチ爆弾で復讐されたのだとか。カラス、怖るべし。

 テッサリアのラリッサの王プレギュアスの一人娘コロニスは、美しく、いつしかアポロン神の寵愛を受けるようになる。そして、彼の子を身籠る。
 多忙なアポロン神は、使いとして、一羽のカラスをコロニスの許に送る。このカラス、銀色に輝く見事な羽を持ち、言葉も自在に喋る。銀翼のカラスはメッセンジャーとなって、アポロンとコロニスとのあいだを往復する。

 あるとき、カラスがコロニスの許に赴くと、彼女は、イスキュスという若い男と親しげに語らっていた。カラスは一散にアポロンに注進する。
 これは、実際にコロニスが心変わりしたのだとも、あるいは、カラスの勘違いで、イスキュスはコロニスの幼馴染にすぎなかったとも、あるいはまた、道草して遅くなったカラスが、コロニスの様子を見ないまま、まったくの虚偽を報告したとも言われる。

 とにかく、短気なアポロンは早とちりして、トンマなことに、カラスの告げ口を鵜呑みにする。そして、コロニス本人に確かめもせずに、逆上し、激怒の勢いで死の矢を射る。矢はコロニスの胸にはっしと刺さり、彼女は息絶える。

 さて、コロニスを殺してしまってから後悔にさいなまれたアポロンは、怒りの鉾先をカラスへと向ける。彼は、コロニスの喪に永遠に服すよう、カラスの羽を真っ黒に染め、お喋りな言葉も取り上げる。以来、カラスは黒い醜い姿で、ガーガーと嗄れ声で鳴くのだとか。
 このカラスが、からす座。
 
 なおアポロンは、コロニスの胎内から赤ん坊を救い出し、半人半馬のケンタウロス、ケイロンに預ける。これが、のちに医術の神となるアスクレピオス。

 別伝では、このカラスは、アポロンに水を汲むよう命じられ、クラーテルというコップ(優勝杯のような形のもの)を持って、泉へと向かう。途中、ふと、イチジクの木を見つけたカラス。イチジクの実がまだ熟していなかったため、食べ頃になるまで、寝て待つことにする。で、遅れた口実に、泉にいたミズヘビを加えて帰り、こいつが水を汲むのを邪魔したんです、とアポロンに言い訳する。
 カラスの嘘にプチ切れたアポロンは、カラスを黒い羽と嗄れ声に変えてしまったという。

 罰としてカラスは、うみへびの尾近くとまり、くちばしを伸ばしてもコップに届かない、星空の位置にいるのだとか。
 これが、からす座とうみへび座とコップ座。

 真っ黒い羽に嗄れ声、考えてみると、随分とケッタイな鳥。私はカラスって、結構好きなんだけれど、最近は鳥インフルエンザのせいで、怖くてちょっかいを出せずにいる。

 画像は、エルスハイマー「アポロとコロニス」。
  アダム・エルスハイマー(Adam Elsheimer, 1578-1610, German)

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