世界をスケッチ旅行してまわりたい絵描きの卵の備忘録と雑記
魔法の絨毯 -美術館めぐりとスケッチ旅行-
ノルウェーの印象派画家
最近、美術館で、フランス印象派の絵と並んで、パリを描いたタウロヴの絵も、たまに見かけるようになった。
モネと親交があったせいか、タウロヴは印象派に括られるみたいだが、画風から言うとリアリズムの画家。タウロヴやヨンキントのような、印象派の色彩から影響を受けた、大胆なタッチの写実絵画って、どうも私の一番の好み。
フリッス・タウロヴ(Frits Thaulow)は、フランスで印象派が盛り上がりつつあった1880年代、ノルウェー絵画を主導した。最初、海景画を志し、ノルウェーのロマン派画家ギューデらに師事。パリに出て、まず海景画家として成功した。
この時期、フランス・リアリズムを思いっきり吸収。その後、故郷オスロに戻って、ノルウェーで活動する。オスロの街路や広場、郊外など、ノルウェーらしい市景や冬景をモティーフに、フランス仕込みの明るい、洒脱なリアリズムを取り入れて、独自の新鮮なノルウェー風景画を描くようになった。
タウロヴはフランスとは近しい画家だったし、当時のフランスは印象派興隆の時期。当然、印象派からは強烈なインパクトを受けたけれども、それが主要な画風として取って代わることはなかった。
が、フランスのほうが居心地が良かったらしく、人生半ばでフランスに移住。フランス国内を転々と移り住む。
フランスに住むようになってからも、ノルウェーに旅行に出かけ、フランス絵画とノルウェー絵画との架け橋であり続けた。
タウロヴの風景画で秀逸なものは、川景。彼は様々な場所、様々な季節、様々な時間の川景色を描いている。彼は旅の画家でもあって、絵がワンパターンにならないよう、しょっちゅう旅行してまわったという。
ところで彼は、北欧で最も有名な画家ムンクの師でもある。ムンクとまでは行かないが、タウロヴの絵も、晩年にはかなり詩的で、象徴的な雰囲気を醸している。
それがまたいい感じなんだけど。
画像は、タウロヴ「粉挽き場」。
フリッス・タウロヴ(Frits Thaulow, 1847-1906, Norwegian)
他、左から、
「川沿いの古い教会」
「川景色」
「川岸の村」
「冬の川岸」
「真夜中のミサ」
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