ギリシャ神話あれこれ:テセウスの冒険(続々々々々)

 
 テセウスは生贄の若者たちを連れ、示し合わせてあったアリアドネと合流。追っ手を防ぐためにミノス王の軍船の底に穴を開けてから、アテナイの船へと乗り込み、密かにクレタを出港する。

 ところがテセウスは、船がナクソス島に立ち寄った際、あっさりと誓いを破って、眠っているアリアドネを一人、島へと置き去りにしてしまう。
 アリアドネの手引きで迷宮を脱出し、誓いまで立てたくせに、大嘘吐きめ!

 彼女が絶望して嘆いていると、酒神ディオニュソスが現われる。美しい彼女を見初めた酒神は、優しく慰めて彼女の心を癒し、彼女が人間にも関わらずやがて自分の妻とした。
 ちなみに、アリアーヌ(「昼下がりの情事」のヒロインの名)は、アリアドネのフランス語読み。

 アリアドネの冠はディオニュソスによって天へと上げられ、冠座となったという。

 さて、無事アテナイ外港へと戻った薄情男テセウスだったが、生還したときには白い帆を掲げて帰還する、という父王アイゲウスとの約束を、すっかり忘れていた。間抜けめ。
 船の帰還を聞きつけた王は、自らアクロポリスの丘の上に駆けつけた。が、船にはためくのは、出航のときそのままの黒い帆。王はテセウスが死んだものと思い込み、すっかり絶望して、そのまま丘の上から海に身を投げてしまう。
 以来、その海は、アイゲウスの名に因み、エーゲ海と呼ばれるようになったという。

 To be continued...

 画像は、ウォーターハウス「アリアドネ」。
  ジョン・ウィリアム・ウォーターハウス
   (John William Waterhouse, 1849-1917, British)


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