(原題:Pollock )2000年作品。50年代に活躍したアメリカの抽象画家ジャクソン・ポロックの伝記映画で、俳優のエド・ハリスの初監督作品。主演も彼自身で、相手役のマーシャ・ゲイ・ハーデンがアカデミー助演女優賞を受賞する等、高い評価を受けている映画だ。
しかし、私は少しもいい映画とは思わない。なぜなら、この映画は何も描けていないからである。孤高の天才であったポロックの内面的葛藤が画面上に活写されることは一度もない。自虐的な行為に至る彼の苦悩はどこにもなく、彼の妻をはじめとする周りの人間の当惑ぶりも伝わっては来ない。彼の芸術に影響を与えていたはずの時代背景も完全無視だ。単に実在のキャラクターを事実通りに動かしているに過ぎない。要するに映画的趣向はゼロである。
で、ハリスがこの映画でやりたかったものは何かというと、ポロックの絵に傾倒し、努力の末に彼の技法をマネすることを身につけた、自身の「芸能発表会」である。事実、彼が絵を描くシーンには驚かされる。筆の運びや体の動かし方はポロックそのもの。さらに本当にポロックの絵と似たような作品をアッという間に完成させてしまうあたりは凄い。
ただし、しょせんそれは「その程度のもの」なのだ。こっちは何も物真似芸を見るために劇場に足を運んだわけではない。ドラマ軽視の自己満足映画など、あまり観る価値はない。
しかし、私は少しもいい映画とは思わない。なぜなら、この映画は何も描けていないからである。孤高の天才であったポロックの内面的葛藤が画面上に活写されることは一度もない。自虐的な行為に至る彼の苦悩はどこにもなく、彼の妻をはじめとする周りの人間の当惑ぶりも伝わっては来ない。彼の芸術に影響を与えていたはずの時代背景も完全無視だ。単に実在のキャラクターを事実通りに動かしているに過ぎない。要するに映画的趣向はゼロである。
で、ハリスがこの映画でやりたかったものは何かというと、ポロックの絵に傾倒し、努力の末に彼の技法をマネすることを身につけた、自身の「芸能発表会」である。事実、彼が絵を描くシーンには驚かされる。筆の運びや体の動かし方はポロックそのもの。さらに本当にポロックの絵と似たような作品をアッという間に完成させてしまうあたりは凄い。
ただし、しょせんそれは「その程度のもの」なのだ。こっちは何も物真似芸を見るために劇場に足を運んだわけではない。ドラマ軽視の自己満足映画など、あまり観る価値はない。