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元・副会長のCinema Days

映画の感想文を中心に、好き勝手なことを語っていきます。

「アンジェントルメン」

2025-05-02 06:05:23 | 映画の感想(あ行)
 (原題:THE MINISTRY OF UNGENTLEMANLY WARFARE )いくらプロデューサーが“大味映画の元締め”みたいなジェリー・ブラッカイマーだとしても、この内遊空疎な建て付けは勘弁して欲しい。かつては才気走ったところも見せていたガイ・リッチー監督だが、いよいよヤキが回ったとしか思えない出来映えだ。正直、観たのは時間の無駄だった。

 第二次大戦の最中、イギリスはドイツ軍からの空襲に悩まされていたが、Uボートによる大西洋の通商破壊戦により米国の助力を仰ぐことも出来ず、窮地に追い込まれていた。特殊作戦執行部に呼び出されたガス・マーチ=フィリップス少佐は、ガビンズ“M”少将とその部下イアン・フレミングから、アフリカ西部にあるUボートの補給基地を無力化せよとの任務を命じられる。前科持ちながら腕の立つ仲間たちを集めて現地へ向かったフィリップス少佐は、早速作戦を開始する。



 何でも、実話をベースにしているらしい。とにかく、この緊張感のカケラも無い展開は勘弁して欲しい。主人公たちのミッションは、彼らにとってストレスフリーでサクサク進み、トラブルらしいトラブルも見当たらず。こちらが放つ銃弾は百発百中で、敵軍の銃撃は全然当たらない。ドイツ軍がこんなに弱いわけがないのに、いったい何を考えてこういう話をデッチ挙げているのか、作り手たちの常識を疑いたくなる。

 ならば各キャラクターが“立って”いるのかというと、全然そうではない。フィリップスをはじめ、どいつもこいつも個性も愛嬌も無いデクノボーばかり。そもそも、勿体ぶって出てくるチャーチル首相からしてあまり似ていないのだから、あとは推して知るべしである。同じことは敵方についても言えよう。主人公たちに立ちはだかるはずの敵の親玉や悪の塊みたいな凄みのある輩ってのが、まったく出てこないのだ。

 まあ、少し強そうな奴らは登場はするのだが、後半では呆気なく退場してしまう。過去のガイ・リッチー作品では、たとえストーリーが底抜けでも出てくる連中の面構えだけは目を引いたものだが、本作はそれは無い。ではアクション場面ぐらいは見どころがあるのかというと、困ったことにこれも不発。単純な銃撃戦と、インパクトの無い爆発シーンばかりが漫然と進むのみ。中盤過ぎからはいい加減面倒臭くなり、眠気との戦いに終始した。

 ヘンリー・カヴィルにエイザ・ゴンザレス、アラン・リッチソン、アレックス・ペティファー、バブス・オルサンモクンといったキャストはいずれも精彩が無い。救いはエド・ワイルドのカメラによる、アフリカ西海岸のリゾートっぽい風景だけだ。とにかく、とっとと忘れてしまいたいシャシンである。

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