元・副会長のCinema Days

映画の感想文を中心に、好き勝手なことを語っていきます。

「永遠の片想い」

2010-07-16 21:13:50 | 映画の感想(あ行)
 (英題:Lovers Concerto )2003年作品。二人の女を同時に愛した5年前の美しい記憶と、ホロ苦い現実に追われる今の主人公の姿とを交互に組み合わせて描く韓国製ラヴストーリー。ちょっと気恥ずかしい映画である。

 いくらイノセントな青春時代とはいっても、プラトニックな恋愛感情を一度に複数の異性に持つなんてのは“偽善”としか思えない。主人公役には「猟奇的な彼女」のチャ・テヒョンが扮しているが、彼の朴訥な持ち味(=女に手を出せそうもない雰囲気)をいたずらに強調したような展開は作為的に過ぎる。もっとハンサムで女にもてそうな俳優を起用し、そんな主人公がプラトニックな(彼にとってはイレギュラーな)恋愛に陥るハメになった様子を、葛藤を交えて深く描き込んだ方が納得できただろう。

 これが長編映画デビューだというイ・ハンの演出は平板で、個々の描写もテレビ番組に毛の生えたようなレベル。終盤には韓国ドラマ得意の“死病ネタ”が出てくるに及んでは、観ていて脱力してしまった。

 とはいえ、相手役の女優二人の頑張りは評価できる。だいぶん映画女優らしくなったソン・イェジンの健闘ぶりもさることながら「ブラザーフッド」では出番が少なかったイ・ウンジュの大熱演はラストで観客の紅涙を誘うことは必至だ。イ・ウンジュは若くしてこの世を去ってしまったが、改めて惜しいことをしたと思う。映画「イル・ポスティーノ」のセリフを小道具として扱っている点も悪くない。
コメント
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